勝負強さを見せて首位の川崎 日本代表の活動のために中断に入ったJ1リーグ。新型コロナウイルスの関係で中止となった試合もあ…

勝負強さを見せて首位の川崎

 日本代表の活動のために中断に入ったJ1リーグ。新型コロナウイルスの関係で中止となった試合もあり、またACL出場の4チームに関しては前倒し開催の試合もあって、各チームの消化試合数にバラつきはあるものの、史上2度目の3連覇を狙う川崎フロンターレが早くも首位に立った。



勝負強さを見せて今季もスタートダッシュ成功の川崎フロンターレ

 その川崎を追うのは、3年前に優勝し、昨年も準優勝だった横浜F・マリノス。横浜FMは直接対決でも川崎に完勝しており、今シーズンもこの両チームの争いとなりそうな展開だ。

 川崎フロンターレはシーズン開幕を告げる富士フイルムスーパーカップで浦和レッズに敗れ、開幕節ではFC東京に辛勝。そして、続いて行なわれた横浜FM戦では2-4と完敗と「前途多難」を思わせた。

 三笘薫、田中碧、旗手怜央がいた昨年前半、「1試合3ゴール」ペースで圧勝していた頃と比べれば明らかに破壊力は落ち、ジェジエウの故障などもあって相手のスピード攻撃に対する脆さも露呈した。

 しかし、その後はガンバ大阪戦では後半追加タイムに追いつくなど持ち前の勝負強さを発揮。中断前には前倒し分を含めて7試合を消化して勝点は16。2位の横浜FMに勝点4の差をつけて首位に立っている。

 新加入のチャナティップが試合ごとに自らのストロングポイントを生かせるようになり、また中村憲剛の「14」を継承した脇坂泰斗が攻撃を組み立て、家長昭博は絶好調を維持。守備陣でもジェジエウの代役の山村和也も安定感を増した。さらに、左サイドバックの登里享平が故障したものの、新戦力の佐々木旭があっという間にチームに馴染んできた。

 毎年のことだが、新加入の選手がすぐにチームに融合できるところがこのチームのすごさだ。昨年、新加入で急成長したのは橘田健人。俊足のボランチとして今季もすばらしい働きをしている。

 スタートでは苦しんだものの、川崎の戦力はさらに上がってくるはず。今季も川崎中心の争いとなる可能性が高い。

日替わりでヒーローが出る横浜FM

 川崎を追うのが横浜FMだ。昨年得点王に輝いた前田大然をはじめ、扇原貴宏、ティーラトン、天野純などが抜けて戦力ダウンかと思われたが、蓋を開けてみればスピード感あふれる攻撃サッカーは健在だった。

「メンバーが変わっても同じような戦いができるようにする」という言葉をよく聞くが、今季の横浜FMはまさに「絶対のエース」はいないものの、誰が出ても同じように戦えるチームに仕上がっており、日替わりでヒーローが現われている。

 一方、期待外れだったのが、リーグ戦初優勝も期待されたヴィッセル神戸。7試合を消化して未勝利で得点もわずかに3という成績で、ついに三浦淳寛監督の契約解除が発表された。戦力はそろっているはずだったが、エースの大迫勇也や武藤嘉紀が負傷したり、アンドレス・イニエスタもフル出場できない状態が続いている。

 先日は激戦の末にプレーオフを制してACLグループステージ進出を決めた。この大会が立ち直りのきっかけとなるかもしれないが、逆に日程が激化してさらに苦境に追い込まれる可能性もある。新監督の手腕に期待するしかないだろう。

 評価が難しいのが、リカルド・ロドリゲス監督就任2年目の浦和レッズ。スーパーカップで川崎を倒して期待は高まったが、リーグ戦開幕後は負けが先行。湘南ベルマーレ戦やジュビロ磐田戦など、勝った試合では攻撃面で流れるような連携を見せるのだが、次の試合ではチグハグな攻撃に終始するなど、安定感を欠くのは昨季と同様だ。

 先発メンバーが毎試合変更され、異なったポジションでプレーする選手もいる。戦術的な変化を求める気持ちは理解できるが、当面はメンバーを固定することで安定感を求めるべきではないだろうか?

 新型コロナウイルス対策の影響で「監督不在」が続いた鹿島アントラーズは、岩政大樹コーチが代行としてしっかりとした守備を構築。守備さえ安定すれば、タレント豊富な攻撃陣はコンスタントに点がとれる。

 総得点数が5試合で8というのは物足りないが、持ち前の勝負強さも発揮して3位につけているのは大健闘と言っていい。レネ・ヴァイラー監督もようやく合流し、これから戦力を上げていければ優勝争いにも絡めるだろう。

最大のサプライズは柏

 新型コロナウイルス感染陽性者を出したことで試合中止が続いたFC東京は、第5節終了時点で4試合と消化試合数は他チームより少ないが、3勝1敗と好調を維持。唯一の敗戦も王者、川崎相手のもので、しかも内容的には優勢に進めていた。

 今シーズンから指揮を執るのがアルベル・プッチ・オルトネダ監督。スペイン人指揮官らしく、中盤でのスペースを利用するためのポジション取りなど指示が明確だ。青森山田高出身の新人、松木玖生は好守でチームに貢献できる総合的なMFだが、アルベル監督は彼の戦術理解度などの才能を見抜き、松木は早くもチームの中心選手に成長した。

 今後、中止となった試合の代替日程も入るが、上位争いをするクラブと違ってACLの負担もない。新指揮官の戦術がさらに浸透していけば、優勝争いに絡める存在となることだろう。

 序盤戦の最大のサプライズは、柏レイソルだった。

 昨年はシーズン途中で江坂任が移籍、さらにこの冬にはクリスティアーノなどがチームを離れて大幅な戦力ダウン必至と見なされて、「降格」を予想する向きも多かった。ところが、相手チームに退場者が出たこともあって開幕2連勝。一時的には首位にも立ち、第5節終了時点でも4位につけている。

 これまで、攻撃面ではクリスティアーノやマイケル・オルンガなど外国籍選手に頼りがちだった柏だが、今季は全員が縦への推進力を身につけた。

 引いた守備が多いのは仕方がないが、ボールを奪うとすぐに前を向いて全選手が動き出し、素早くボールを前線に送り込む意識が高まった。そして、最前線の細谷真大(U-21日本代表)や中盤右サイドのマテウス・サヴィオなどが、攻撃にスピードと変化を加えている。

 横浜FMに勝利し、名古屋グランパスとも引き分けと上位チーム相手にも健闘している柏。これからどこまで勝点を伸ばせるかに注目したい。