国内女子ツアー第3戦・Tポイント×ENEOS 国内女子ゴルフツアー今季第3戦・Tポイント×ENEOS最終日が20日、鹿児島高牧CC(6419ヤード、パー72)で行われ、混戦を制して堀琴音(ダイセル)がツアー2勝目を飾った。1打差の単独首位で…

国内女子ツアー第3戦・Tポイント×ENEOS

 国内女子ゴルフツアー今季第3戦・Tポイント×ENEOS最終日が20日、鹿児島高牧CC(6419ヤード、パー72)で行われ、混戦を制して堀琴音(ダイセル)がツアー2勝目を飾った。1打差の単独首位で出て一時は2位に陥落も、勝負所のパットを決めて3バーディー、1ボギーの70でまとめて通算9アンダー。2位で通算8アンダーの西村優菜、葭葉ルミに競り勝った。勝利を支えたのは、56歳の大溝雅教キャディー。2020年夏に胃がんの手術を受けて入院した際は、スランプ中の堀に励まされたというが、この日は厳しい場面でも「大丈夫だから」と言葉をかけていた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 大溝氏は、堀が表彰式に出ている間に会見した。そして、率直に喜びを表現した。

「涙が出そうなくらい、うれしいです。娘のような感じですから。スランプがあって復活して、(昨夏の)ニトリレディスで回った時、ショットが安定していたので、『そのうち、また勝つな』と思っていました。最近はパターがちょこちょこ入っていましたから。ラインは1人で読んでいますよ。僕は笑わせるのが仕事です(笑)」

 堀の変化は技術だけではなかった。アマチュア時代から知る間柄で、初めてバッグを担いだのは2014年の伊藤園レディス。当時と堀と比較し、「怒らなくなった」ことに大溝氏は驚いたという。

「前はミスをするたびに怒っていましたけど、変わってきました。特に先週と今週は(ミスをしても)『あれで大丈夫ですよね』と言っていました。浮き足立つところでも落ち着いていましたね」

胃がん闘病時は堀が見舞い、会見のたびに「大溝さんと優勝がしたい」

 堀がスランプだった20年夏、大溝氏の早期胃がんが発覚。手術を受けて北海道の病院に入院していると、ニトリレディスに予選落ちした堀が見舞いに訪れ、「コース戻ってこないと大溝さんじゃないよ」と声を掛けていた。

 心から信頼する関係ゆえに、堀は今季も会見に呼ばれるたびに「大溝さんと優勝したいです。大溝さんが担いで優勝できない選手の方が少ないので、優勝できなければ私が下手なだけ」と話していた。そして、有言実行。大溝氏は照れながら言った。

「そういうのを聞くと、目頭が熱くなりますね。これからも、もうちょっと(堀と)勝ちたいです」

 選手を気持ちよくさせて、優勝させた試合は小平智の米ツアー1勝も含めて男女通算32勝。この日も堀が14番で西村、葭葉と並んだことを知ると、さりげなく「一時は(6連続バーディーの内田ことこに)抜かされていたよ。でも、また首位に戻れたから大丈夫。まだツキはある」と励ましていた。

 名キャディーと名選手になりつつある26歳。次戦のアクサレディス(25~27日、宮崎・UMKカントリークラブ)でもコンビを組むことが決まっており、大溝氏は「これから40勝目指して頑張ります」と声を弾ませた。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)