「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」1日目 テーマは「女性アスリートとキャリア」後編「THE ANSWER」は3…
「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」1日目 テーマは「女性アスリートとキャリア」後編
「THE ANSWER」は3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性アスリートの今とこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「女性アスリートが自分らしく輝ける世界」をテーマに1日から8日までの1週間、8人のアスリートが登場し、8つの視点でスポーツ界の課題を掘り下げる。1日目は「女性アスリートとキャリア」。銀メダルを獲得した東京五輪女子バスケットボール日本代表の主将・デンソーアイリス所属の髙田真希が登場する。
東京五輪の活躍で一躍、その名を知られる存在になった髙田だが、実はあまり知られていない顔がある。それが「社長」。現役選手にして、30歳だった2020年に「株式会社TRUE HOPE」を創業した。後編では、「人生を楽しく豊かに過ごす」と自身のキャリア観を明かした髙田。バスケ界で“過去の人”になる前に行動した理由とともに、人生におけるチャレンジの大切さを語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)
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何事もきっかけは大切だ。そして、同じくらい大切なのが、日常にある小さなきっかけを逃さないアンテナだろう。
「少ないチャンスをモノにできるか。きっかけって小さいことが多いと思うんですけど、自分がどうなりたいか、どうしたいか、それがあると掴みやすいんじゃないかと思います」
そう語るのは、東京五輪でバスケットボール女子日本代表主将として銀メダル獲得に貢献した髙田真希(デンソーアイリス)。現役アスリートであり、「株式会社TRUE HOPE」を立ち上げた起業家でもある。大好きなバスケットボールの魅力を広めたいという自身の夢、そして自身の経験を伝えながらバスケットボール選手になりたいと願う子どもたちの夢を叶える場所として「TRUE HOPE」を設立した。
アスリートにとって応援は最高のエネルギー源となる。女子バスケットボールがさらに盛り上がり、どの試合も満員となる日が来てほしい。髙田は「どうやったらファンになってくれるんだろう、どうやったら試合に足を運んでくれるんだろう、ということは常々考えています」と話す。だからこそ、ファンになってもらうきっかけを敏感にキャッチしている。
「ファンになってくれるきっかけは、本当にちょっとしたことなんですよね。オンラインショップでグッズを買ってくれた方に直筆メッセージを添えたり、試合会場で客席を見ながら手を振ったり、それだけでも『また応援したいな』と会場に足を運んでくださる方がいる。そこを意識できる選手が増えれば、普及や盛り上がりにつながってくると思うので、小さいきっかけを見逃さずにコツコツやっていきたいと思います」
何をしたら喜んでもらえるのか。どういう反応が返ってくるのか。アイデアを考えている時は「すごく楽しくて、すごく充実しています」と目を輝かせる。浮かんだアイデアを実行する場所は準備完了。初めてづくしの経験ではあるが、会社を立ち上げてよかったと思う。
失敗を失敗と捉えない発想、キャリアのテーマは「人生を楽しく豊かに」
4月に2周年を迎える「TRUE HOPE」では、オンラインサロンを開設したり、子どもたちとバスケットボールを通じた交流機会を作ったり、地元・愛知の名産品を使った梅シロップ製造計画に取り組んだり、着々と活動の輪を広げている。だが、「右肩上がりで順調に見られますけど、全然そんなことはないんです」と続ける。
「上手くいかないことの方がたくさん(笑)。でも、失敗の中にもきっかけや手応えを感じているので、次につながるアプローチとして、いい経験をさせてもらっています。成功の陰で見えないところがすごく重要ですし、自分を作り上げている部分だと思います」
失敗を失敗と捉えない考え方は、バスケットボールから学んだ。失敗やミスが起きた時、人は二つのパターンに分かれると感じているという。
「失敗した時、そこでマイナスのイメージを持って諦めたり、落ち込んでしまったりするのか。もう一つは、今回は失敗したけど、次はこうしてみようと考えて、行動に移せるのか。諦めてやめてしまったら何も生まれません。行動に移せる人はチャレンジする過程で失敗もするけど、きっかけや成功をつかむチャンスはある。私は『失敗を失敗と捉えずに、経験と捉えろ』と考えています。失敗ではなくて経験だと思って、次にチャレンジしていくことが大切。バスケットボールを通じて学んだことですが、会社をやっていく上でも役立っていますね」
逆転の発想で、失敗を成長するためのきっかけと捉えている髙田は、「人生を楽しく豊かに過ごす」をテーマに据えて自身のキャリアについて考えることがあるという。現役の間は大好きなバスケットボールを中心に生活しているが、引退したら……? 「人生を楽しく豊かに過ごす」には、引退後もバスケットボールに携わる仕事をしていたい。そう気付いたことが、現役ながらに起業した理由の一つでもある。
「バスケットボールしか知らずに、引退して初めて社会に出て、本来はやりたくないことを仕事としなければならない人はたくさんいます。でも、私は自分のやりたいことを仕事にして、楽しく生活していきたい。バスケットボールに携わっていたい。そう考えた時、引退してから行動を起こしても“過去の人”として需要は減り、やりたいことができにくくなると思うんです。だったら今、現役のうちから行動すれば注目されやすいし、現役を離れた後でも引き続き応援していただける。自分がやりたいことをできる環境を今から整えていくことで、楽しく豊かな人生にしていきたいなと」
「なりたい自分を想像して、いろいろなことに挑戦を」
現役アスリートとしても、代表取締役としても、向上心を持って挑戦し続ける髙田の姿から、明日につながる活力をもらう人は多いだろう。トレードマークとも言える晴れやかな笑顔は、毎日が充実している証。チャレンジすることに年齢は関係ない。
「32歳になった今、私と同年代はもちろん年上の方にもいろいろチャレンジしてほしいと思って、私自身チャレンジしている部分があります。家族が増え、自分のために費やせる時間が減ってしまった人でも、本来やりたかったことって何かあると思うんですよね。年齢であったり忙しい毎日だったりを踏まえつつも、やりたいことに挑戦してほしいです。もし実現しなくても、その過程は楽しいし、日々が充実する。そうすると家族や周囲の人生も豊かになると思うんです。やりたいこと、なりたい自分を想像して、いろいろなことに挑戦してほしいと思います」
【女性アスリートが自分らしく、ありのままでいるために、必要なこととは?】
「挑戦しながら、いろいろな人たちに自分の夢を聞いてもらうこと。そうすると、いろいろな形のサポートが集まって、実現する環境が整っていくのかなと思います。私は20代前半まで人見知りで、初めての人に自分の夢を語るなんてできなかったんですが、今になると人前で話すことも大切なんだなと。子どものうちは親が想いを感じ取ってくれますが、大人になると自分から発信しない限り誰も感じとってくれませんから。バスケットボールを通じて、自分の想いを伝えられる人間に少しずつ変われてよかったと思います」
※「THE ANSWER」では今回の企画に協力いただいた皆さんに「女性アスリートが自分らしく、ありのままでいるために、必要なこととは?」と聞き、発信しています。
(「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」2日目は「女性アスリートと出産」、女子サッカー・岩清水梓が登場)
■髙田 真希 / Maki Takada
1989年8月23日生まれ、愛知県出身。小学5年からバスケットボールを始め、中学までは空手と両立。空手も全国大会で優勝するほどの実力者だった。バスケットボールの強豪・桜花学園高(愛知)では3年時はエースとしてインターハイ、国体、ウインターカップの3冠を達成した。2008年にデンソーアイリスに加入し、ルーキーシーズンから28試合に出場して新人王を獲得。2009年に日本代表チームに初選出される。ゴール下の攻撃や守備を担うセンターとして活躍し、2016年リオデジャネイロ五輪ではベスト8進出に貢献。2018年から主将となり、その翌年にアジアカップ4連覇を達成すると、2021年の東京五輪では銀メダルを獲得した。「株式会社TRUE HOPE」の社長として、競技の普及にも努める。
<3月6日に「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント開催>
女子選手のコンディショニングを考える「女性アスリートのカラダの学校」を6日に開催。第1部は「月経とコンディショニング」をテーマに元陸上日本代表・福士加代子さんをゲストに迎え、月経周期を考慮したコンディショニングを研究する日体大・須永美歌子教授が講師を担当。第2部は「食事と健康管理」をテーマにボクシング東京五輪女子フェザー級金メダリスト・入江聖奈をゲストに迎え、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師を担当。1、2部ともにアスリートの月経問題などについて発信している元競泳日本代表・伊藤華英さんがMCを務める。参加無料。(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)