Jリーグ2022開幕特集このオフも数多くの選手がチームを動いたJリーグ。それによって、効果的な戦力補強がなされたチームも…
Jリーグ2022開幕特集
このオフも数多くの選手がチームを動いたJリーグ。それによって、効果的な戦力補強がなされたチームもあれば、かなりの痛手を被ったチームもある。ここでは後者、移籍状況だけで判断すると、今季は厳しい戦いが予想されるチームの「ワースト3」を識者3名に挙げてもらった――。

坂元達裕が海外へ移籍するなど、戦力ダウンした印象が強いセレッソ大阪
主力選手の海外流出が相次ぐJリーグ
そのあおりをもろに受けたC大阪
浅田真樹氏(スポーツライター)
1位=セレッソ大阪
ヨーロッパ移籍の間口が広がった現在、20代前半の若手を中心に、各クラブの主力選手の海外流出が相次いでいるJリーグだが、そのあおりをもろに受けたのがセレッソ大阪だろう。
もはやチームのエースと呼ぶべき存在となったMF坂元達裕(→オーステンデ)、そして21歳ながらDFラインの要であった瀬古歩夢(→グラスホッパー)と、日本代表クラスの大黒柱を2本まとめて失ったのはかなりの痛手だ。
その他にも、FW豊川雄太(→京都サンガ)、MF藤田直之(→サガン鳥栖)といった準主力級がクラブを離れた一方で、実績のある選手の移籍加入は少ない。大久保嘉人の引退も手伝って、大きく戦力ダウンした印象が強くなる。
2位=サガン鳥栖
クラブの財政問題などもあり、昨季開幕前の戦力評価は高くなかったにもかかわらず、一時は上位争いにも加わるなどして、最終順位は7位と健闘。自前のアカデミー出身者やJ2クラブからの個人昇格組を生かした、名より実の強化が実った成果だろう。
だが、その結果としてMF仙頭啓矢(→名古屋グランパス)、MF小屋松知哉(→柏レイソル)の他、アカデミー出身のMF樋口雄太(→鹿島アントラーズ)、DF大畑歩夢(→浦和レッズ)、あるいは個人昇格組のFW山下敬大(→FC東京)、MF酒井宣福(→名古屋)といったレギュラークラスが、昨季の活躍をステップにまとめてクラブを離れてしまった。
加えて、シーズン開幕が近づいたところで、最終ラインの要であるエドゥアルド(→横浜F・マリノス)まで引き抜かれてしまっては、戦力ダウンは避けようがない。それなりに補強も施されているとはいえ、現時点での移籍収支は大幅マイナスと言わざるを得ない。
3位=柏レイソル
攻守の要だったFWクリスティアーノ(→V・ファーレン長崎)、MFヒシャルジソン(→セアラー)のブラジル人コンビをはじめ、FW神谷優太(→清水エスパルス)、FW瀬川祐輔(→湘南ベルマーレ)、MF仲間隼斗(→鹿島)ら、貴重な働きをしてきた主力級の選手がごっそり抜けてしまった。
もちろん、それ自体が大きな戦力ダウンであることは間違いないが、オルンガ、江坂任と大黒柱の移籍が相次いだのに続いて、これだけの数の主力が一気に流出してしまうのは気になるところ。どうしても"事業規模縮小"を図っている、ネガティブな印象が強くなる。
現実的な戦力値がどれだけ下がるかということよりも、クラブ全体の士気が低下してしまうのではないかと心配になる。
放出した選手の穴を埋められていないC大阪
コンセプト見えないチームの継続も気がかり
小宮良之氏(スポーツライター)
1位=セレッソ大阪
単純に放出した選手の穴を、獲得選手で埋められていない。
森保ジャパンにも選ばれているMF坂元達裕(→オーステンデ)、DF瀬古歩夢(→グラスホッパー)の移籍の痛手は大きいだろう。FW豊川雄太(→京都サンガ)、MF藤田直之(→サガン鳥栖)の2人も貴重な選手だった。そして、J1リーグ歴代得点王の大久保嘉人も引退でチームを去った。
獲得選手は出戻りやJ2、もしくはJ2に降格したチームの選手などがほとんどで、スケールダウンは否めない。出戻りが悪いわけではないし、下のカテゴリーから来ても力を出せる選手はいる。
しかし、一昨季まで指揮を執っていたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督と契約を更新せず、昨季はチームとしてのコンセプトが見えないままだった。そんなシーズンを指揮した監督が継続で、さらにこの補強では、苦しい見込みにならざるを得ないだろう。
2位=FC東京
補強メンバーの顔ぶれ自体は悪くはない。しかし、アルベル・プッチ・オルトネダ監督(アルビレックス新潟→)を招聘し「攻撃的スタイル」を掲げるわりに、そのための面子がそろったとは言い難い陣容だ。
例えば、右サイドバックの中村拓海はポゼッションサッカーを追求するなら、ボールの出所になるし、プレーメーカーの役割もできるはずだった。しかし、完全移籍で横浜FCに放出。特性を考えれば、ファーストオプションになるべきだった。
また、新たに獲得したヤクブ・スウォビィク(ベガルタ仙台→)は、名古屋グランパスのランゲラック、サガン鳥栖の朴一圭と並ぶJリーグ屈指のGKと言えるが、キックは得意とせず、ビルドアップでの貢献度は期待薄だ。
高校選手権で顔になったMF松木玖生(青森山田高→)など話題性はあるし、チーム戦力としては低くない。しかし、クラブ路線と補強がちぐはぐだ。
3位=柏レイソル、サガン鳥栖
ネルシーニョ監督の体制を保って"監督を交代しない"代わりに、"選手を総入れ替えした"感がある。残った選手も、ここ1、2年で入団したケースが多い。世代交代を図っているのだろうが、やや時代錯誤感が出てきたブラジル人監督でやり遂げられるのか。
選手一人ひとりのクオリティは決して低くはない。その点で「強化になっていない」とは言いにくいところはある。例えば、FWドウグラス(ヴィッセル神戸→)は34歳で衰えも見えつつあるが、カウンターサッカーにはハマるだろう。MF中村慶太(清水エスパルス→)も万能で、センスを感じさせる。
ただ、今回の布陣がうまくいかない場合、"低調""マンネリ"が長いスパンで、悪いスパイラルを描くことになる危険も孕(はら)む。
鳥栖に関しては予算面で限りがあるなか、主力を抜かれる一方で、クオリティやパーソナリティに即した補強をしている。GK朴圭一を残留させたことは何よりのヒットだった。
状況を考えれば、強化に対しては小さな賞を贈るべきところだったが......、キャプテンで守りの要だったDFエドゥアルド(→横浜F・マリノス)を、キャンプも佳境に入ったところで抜かれたのは痛恨の極み。移籍違約金を満額積まれ、破格の給料を提示されたら、手の打ちようがない。
これによって、チームコンセプトが歪むことはないだろうが、「戦力ダウン」と言わざるを得ないだろう。
予想以上の戦力ダウンに直面している鳥栖
土台からのチーム作りを強いられそう
中山 淳氏(サッカージャーナリスト)
1位=サガン鳥栖
ある程度の主力流出は予想していたものの、予想以上の戦力ダウンに直面しているのがサガン鳥栖だ。
確かに、昨季の途中でチームの至宝とも言えるMF松岡大起がチームを離れた時点で不穏な空気は流れていたが、慢性的な財政難に加え、パワハラ問題が噴出したことも拍車をかけたのだろう。そういう意味では、この状況は仕方のないことかもしれない。
とりわけ、唯一の希望とも言えたDFエドゥアルドの残留も、開幕を目前に消滅。横浜F・マリノスに移籍した打撃は計り知れない。加えて、MF仙頭啓矢(→名古屋グランパス)、DF大畑歩夢(→浦和レッズ)、FW山下敬大(→FC東京)、MF樋口雄太(→鹿島アントラーズ)、MF小屋松知哉(→柏レイソル)、MF酒井宣福(→名古屋)らが流出したことで、今季は土台からのチーム作りを強いられるだろう。
MF藤田直之(セレッソ大阪→)、MF福田晃斗(アルビレックス新潟→)の復帰組がチーム内でどのような役割を果たせるかが注目される。
2位=柏レイソル
昨季は成績不振に陥った柏レイソルも、財政難にあって状況は厳しい。
チーム内得点王だったFWクリスティアーノがJ2のV・ファーレン長崎に移籍した他、FW神谷優太(→清水エスパルス)も流出。MFヒシャルジソン(→セアラー)、FW瀬川祐輔(→湘南ベルマーレ)、MF仲間隼斗(→鹿島)らが去ったことも確実に打撃となるだろう。
逆に、新加入の戦力でカギを握りそうなのが、新たな得点源として獲得したドウグラスだ。ヴィッセル神戸では実力を発揮しきれずに終わったストライカーが新天地で息を吹き返すかどうか。鳥栖から加入したMF小屋松知哉にも期待はかかるが、ドウグラスこそが攻撃陣最大のキーマンになるだろう。
3位=横浜F・マリノス
守備の要であるチアゴ・マルチンス(→未定)を失った横浜F・マリノスは、鳥栖や柏とは違った意味で厳しい補強状況と言える。
昨季も含め、近年は優勝争いの常連となっているが、チアゴ・マルチンス以外にも、攻撃陣では最大の得点源だった前田大然(→セルティック)を失い、MF扇原貴宏(→神戸)、DFティーラトン(→ブリーラム・ユナイテッド)、MF天野純(→蔚山現代)といった重要戦力も流出。
新加入選手としては、DF永戸勝也(鹿島→)、DF小池裕太(C大阪→)、FW西村拓真(ベガルタ仙台→)、MF藤田譲瑠チマ(徳島ヴォルティス→)、そして何よりDFエドゥアルド(鳥栖→)とFWアンデルソン・ロペス(武漢足球倶楽部→)の両助っ人に期待がかかるが、放出した戦力と比較すると、グレードダウン感は否めない。
今季も優勝争いに加われるか。真価が問われるシーズンになりそうだ。