真正面からぶつかり合うファイトでファンを魅了してきたタンク永井。現在37歳、2AWの看板選手としてプロレス界を面白くかき回しているレスラーの1人だ。だが妻の美央さんが3人目を妊娠、体調を崩し自ら家族を支えるという理由で引退を決意した。現在プ…

真正面からぶつかり合うファイトでファンを魅了してきたタンク永井。現在37歳、2AWの看板選手としてプロレス界を面白くかき回しているレスラーの1人だ。だが妻の美央さんが3人目を妊娠、体調を崩し自ら家族を支えるという理由で引退を決意した。現在プロレスに未練が残らないように、「引退ロード」と評し自ら希望した11試合の真っ只中にいる。

<前編はこちら>

――大日本プロレスとの対抗戦の中でも引退ロードが組まれていますね。

タンク永井(以下 タンク):2ヶ月に1度、2AWは大日本プロレスさんと合同興行を行います。1.16、大日本プロレスの団体対抗戦『BIG ADVANCE』で吉野と組んで神谷英慶、橋本和樹と戦います。神谷さんは自分よりちょっと早いデビューですが、ほぼ同期。2AW前身の団体KAIENTAI DOJOの時、若手選手のリーグ戦「K-METAL LEAGUE」の優勝決定戦で戦っています。その時は自分が勝ちましたが、神谷さんと再度戦いたいと思いました。橋本さんも若い頃から優しく接してくれて、若手の頃1度バチバチのエルボー合戦をやった記憶があります。だからもう1度、大日本プロレスの選手と激しくぶつかり合いたいですね。

                               【2AW タンク永井】プロレスの力で、地元千葉を元気に!

――そして1.23は笹村あやめ選手と組んで旧姓・広田さくら選手と植木嵩行選手と戦います。また笹村選手が道連れにされたカードですね(苦笑)。でもなぜこのカードが決まったのですか?

         【旧姓・広田レジーナさくら】テレビで観たプロレスの技を「私も掛けられたい」

タンク:2019年4月後楽園ホールで「敗者罰ゲームマッチ」を行い、そこで自分は佐藤悠己に敗れました。その罰ゲームでセーラームーンのコスプレをしました。これが楽しかった(笑)。その後ちばまつりの時、佐藤悠己にもセーラームーンのコスプレをさせました。夏すみれさんもセーラーマーズで出場してくれました。自分のプロレスの歴史には「美少女戦士セーラームーン」があるんです(笑)。

――はぁ…その姿を見て奥様 紫雷美央さんは何ておっしゃっていますか(苦笑)?

タンク:美央は自らコスプレをしたこともあるので、僕のコスプレに関して理解があります(笑)。今回1.23は少しだけ変わっている先輩レスラーと、そういうことをやりたいなと(笑)。それも笹村に継承したいと考えています。

――プロレス業界でも異彩を放つ旧姓・広田さくら選手と植木嵩行選手と戦いたいと言うことですね。笹村選手は完全に巻き込まれ事故(苦笑)。

タンク:事故ではない!笹村とは2人でタッグのベルトに挑戦もしているので信頼しています。ただ笹村は絶対にやりたくないと思います(笑)。

――そして1.30が身長195cm体重130kgの大巨人 全日本プロレスの石川修司選手と戦います。1.23の対戦相手とは真逆のスタイルです。

タンク:デカい石川選手に自分がガンガンぶつかっていくスタイルをお客さんにお見せしたいと思います。

――以前、DDTプロレスで現在KO-D無差別級王者の竹下幸之介選手が、「石川選手とぶつかりあって肩が外れた」と話していました。軽トラックどころか大型トラックとぶつかった衝撃を受けますよ。

タンク:自分がこの試合に勝ったらプロレス業界での格をあげることができると考えているんですよ。

               【DDT 竹下幸之介】4人の戦いなら現在進行形のプロレスが魅せられる!

――勝利したら、逆に後悔の念が強くなりませんか?「三冠王者にもなった石川選手に勝ったら俺も三冠王者に…」とか。

タンク:ないです!今後の人生、子供達に「石川修司に勝った」と自慢しドヤ顔で生きていきます(笑)。

――ドヤ顔ですか…ちょっと想像してしまいました(苦笑)。次の2.6と2.11は2AWの選手との戦いです。2.6が同じユニットの吉野選手・笹村選手と組んでの6人タッグマッチ。2.11の対戦相手は「2AW」となっていますが全選手と闘うのでしょうか?

タンク:2.6はユニットTollGlänzで6人タッグ。2.11は…どうなるのでしょうね(苦笑)。自分の希望として「引退ロードで2AWの全選手と戦いたい」と会社には伝えました。ただその辺りは相手選手の気持ちもありますから。自分の気持ちとしてはできる限り、2AWの選手みんなと戦いたいと思います。

――そして2.13が引退試合ですね。相手がTollGlänzの吉野コータロー選手。

タンク:僕の一つ下の直接の後輩。吉野は努力型、本当に良い選手になりました。バトンを渡すわけではないけど、最後に「タンク永井」というレスラーを受け止めて何かを感じてもらいたいと思います。

――吉野選手の胸に「タンク永井」を刻むわけですね。ところでこれまでのプロレス人生を振り返り、印象に残っていることはありますか?

タンク:やっぱり2014年2月後楽園ホール、佐々木健介さんの引退試合に出場したことですね。戦ったことや組んだことはありませんでしたが、憧れていた健介さんの大会に出場できたことは感慨深いですね。

あと12.26 TKPガーデンシティ千葉の「引退ロード」で木高イサミさんと組み真霜拳號・十嶋くにおさんと戦った試合。実は2018年の後楽園ホールで同じカードがあり自分は負けました。でも負けたけど気持ち良くできた試合だった。それで引退ロードの2戦目として組んでもらいました。その日、イサミさんは別会場でBASARAの試合があったのに自分のために時間を割いて出場してくれました。試合後、SNSで「どっかでシングルしないといかんな」と呟いてくれて嬉しかったです。

――2AWは千葉密着のプロレス団体として活動しています。千葉出身のタンクさんとしては千葉のさまざまな場所でプロレスができたことは思い出深いのではないかと。

タンク:千葉城を始め、本当にいろいろな場所で試合をさせて頂きましたね。自分は「地元千葉をプロレスで元気を届ける」ことをやりたかった。ただ自分が中心となって稲毛駅や鴨川、鋸南町で企画していたプロレスイベントがありましたがコロナで中止になったことが悔やまれますね。実現できなかったことが心残りではあります。

――引退したらプロレス業界から離れるのでしょうか?

タンク:2AWにスタッフとして残ることはないです。仕事を見つけながら当分は家のことが中心になりますね。

――それは寂しいですね。タンク選手には思い残すことがないように「引退ロード」を爆進してもらいたいです。

タンク:今回、引退ロードは自分の闘いたい相手やカードを会社に無理を言って組んでもらいました。2AWが定期的に試合を行う2AWスクエアはキャパが100人。その会場に全日本プロレスの石川修司選手を招聘しても会社的には赤字です。他団体の選手には自分のわがままで来てもらいます。最後に自分のわがままだけで終わらせてはいけない。

例えば、千葉城で初めてプロレスを観て「楽しい!」と感じてくれたら、次にお金を払って会場に足を運んでくれる。そう言ったことで少しずつお客さんを増やしていく形がベスト、プロレスはその繰り返しです。きっと自分の引退ロードで初めて会場に足を運んでくれる方もいるはずです。所属している2AWのプロレスは間違いなく面白いので多くの人に見てもらいたい。千葉でやることが多いので千葉の人に届くことが多いのかもしれませんが、先日2021年10月の福岡大会を見てくれた方が、熊本から千葉まで試合を観に来てくれました。試合後少しだけ言葉を交わしましたが本当に嬉しかった。「観たい」という思いは距離ではないと感じました。ですから「タンク永井の引退ロード」に少しでも多くのお客さんに来てもらい自分の最後のファイトを楽しんでいただくのと同時に、2AWが「こんなに良い団体なんだ」というのが1人でも多くのお客さんに伝わればいいと思います。

<おわり>

<インフォメーション>
タンク永井選手の引退試合「引退ロード~犀魂継承~」が2/13 GRAND SLAM in TKPガーデンシティ千葉で行われます。タンク選手の最後の勇姿を、その目に焼き付けろ!引退ロードの詳細・チケット購入は2AWのWebサイトをご確認ください

タンク永井 Twitter
タンク永井 Instagram
タンク永井 Blog
2AW Twitter

取材・本文/大楽聡詞
写真/本人提供