三河に88-80と競り勝ち約2カ月ぶりの勝利、松脇圭志が試合後に繰り返した言葉 バスケットボールB1の三遠ネオフェニック…
三河に88-80と競り勝ち約2カ月ぶりの勝利、松脇圭志が試合後に繰り返した言葉
バスケットボールB1の三遠ネオフェニックスが、ようやく長い、長いトンネルを抜け出した。
中断明けから、少しずつ光は差し込んでいた。例えば12月12日の千葉ジェッツ戦では、残り1分29分の時点で80-81と昨季のチャンピオンに対して大接戦を演じた。敗れはしたがそれまでの敗戦に比べ、明らかに内容に手応えを感じられるようになってきていた。
そして迎えた26日、シーホース三河との“三河ダービー”第2戦。ロバート・カーター、津屋一球と2人の中心選手の不在を補うように、全員が40分間アグレッシブにプレー。88-80で競り勝ち、10月24日の茨城ロボッツ戦(83-66)を最後に約2か月遠ざかっていた白星を手にした。
第4クォーターに3本の3ポイントシュートを含む12得点をマークしてチームを勝利に導いた松脇圭志は、試合後「エナジー」という言葉を繰り返した。
「本当にチームみんなでエナジーを出し切って勝つことができました。エナジーの部分だったり、変わると言って結局は何も変わってなかった部分が、今日の試合で変われたかなと思っています。バイウィーク中にいろいろと話をしましたが、その話で変わったというわけではなくて、結局は自分たちのエナジー、自分たちがやるかやらないか次第だったんだなっていうのは、今日の試合に勝って思いました」
土曜日の第1戦では前半は互角に戦いながら、徐々に三河が得意とする走る展開に持ち込まれて、第4クォーターで失速。69-97の大差で敗れた。
「昨日のゲームでは自分たちが弱さを見せてしまった。オフェンス面でもディフェンス面でもかなりソフトにプレーしてしまいました。選手がしっかりと自分たちは何ができなかったのか、どれだけ連敗していて危機的な状況なのかということを全員が理解できていたので、今日はミーティングを短くしました。選手たちがそれをコート上で表現できたと思っています」(ブラニスラフ・ヴィチェンティッチHC)
ヴィチェンティッチHCが短いミーティングの中で強調したのも「エナジー」だったと松脇は続ける。
「相手の戦術どうこうじゃなくて、自分たちのエナジーを出すか出さないかみたいなことを最終的には言っていました。今日はそのエナジーがより出た試合だった。今日はみんな疲れていると思いますよ(笑)。でも、ディフェンスのプレッシャーであったり、オフェンスで走ったりするとか、それくらいやらないと勝てないということが分かった。今日の試合をスタンダードにしていきたいです」
大事な場面を「任せられる選手に」
今季の三遠は、ベテランの太田敦也と岡田慎吾、昨季加入した津屋、サーディ・ラベナ以外のロスターを刷新する改革を断行。外国籍選手も総入れ替えを行った。昨季リーグワーストだった失点数(平均87.2点)、リーグ最少の3ポイントシュートの成功数(6.37本)という攻守の課題を改善すべく、ディフェンス力とシュート力に定評のある松脇、杉浦佑成、津山尚大らを積極的に獲得。チームスローガンを「SHIN!SAN-EN」と定めて、一からチームづくりを進めてきた。
開幕前のインタビューでヴィチェンティッチHCは、「12人全員がキープレーヤーだと思っています。1人のプレーヤーが活躍したからといって勝てるわけではないので、毎試合キープレーヤーが変わって出てくるようなチームが理想。その中でチームが勝つためにコート上でリーダーシップを発揮できる選手がどんどん出てくることを期待しています」と語っていた。連敗ストップのキープレーヤーとなったのは、ファイルアウトになったが、鬼の形相でリングにアタックし続けたラベナと、クラッチタイムに3ポイントシュートを決め切って三河に流れを渡さなかった松脇の若い2人だった。
今季富山から加入した松脇は、昨季も平均5.2得点と新人王候補にも挙げられる活躍を見せていたが、「(周りの選手に)任せてしまっている部分があった。チームは勝っていましたが、自分が貢献して勝ったという感じではなかった。自分のプレーもできていないし、自分的には納得していなかった」という。
新天地に活躍の場を求めたのは、「任せられる選手、『やってこい』と信頼される選手になりたい」という思いがあったからだ。「外国人選手だけでなく、日本人の誰かが二桁(得点)取らないと勝てないとよく津屋とも話すんですけど、去年よりも自分がやらなきゃという気持ちはありますし、そこは自分が変わった、成長した部分だと思います。チームに貢献したと思えて、勝てた方がより嬉しいので」と、充実感が晴れやかな笑顔に表れる。
積み重ねてきたことがようやく実を結んだ。しかしシーズンはまだ3分の1を終えたばかり。松脇もこの後が大事なことは重々承知している。つい「これで良い気分で年を越せそうですね」と口走った筆者の言葉に、「いや、まだありますから。連敗を止めたことは大きいですけど、まだ1勝しただけなので」と松脇は表情を引き締めた。
「今日のようなエナジーを、常に全試合出した状態で戦って、次は琉球(ゴールデンキングス)ですけど、西(地区)の1位のチームに勝てばもっと自信につながると思うので、チャレンジャーの気持ちで戦いたいです」(山田 智子 / Tomoko Yamada)
山田 智子
愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。