箱根駅伝2022全チーム紹介【シード校編】(予選会校編:シード権を奪取できそうな有力校は?>>) 前回の箱根駅伝はノーマークだった創価大が往路を制すと、復路も終盤まで独走した。しかし、駒澤大が残り約2kmで世紀の大逆転に成功。13年ぶりの総…

箱根駅伝2022
全チーム紹介【シード校編】(予選会校編:シード権を奪取できそうな有力校は?>>)

 前回の箱根駅伝はノーマークだった創価大が往路を制すと、復路も終盤まで独走した。しかし、駒澤大が残り約2kmで世紀の大逆転に成功。13年ぶりの総合優勝に輝いた。今季は東京国際大が初出場した出雲駅伝で初優勝を成し遂げると、出雲で5位に終わった駒澤大が全日本大学駅伝で連覇を達成。青学大が出雲と全日本で2位に食い込んだ。

 2022年の箱根駅伝は駒澤大と青学大の"2強対決"を予想する声が強いが、往路V、総合優勝を目指しているチームは他にもある。正月決戦はどんな戦いになるのか。前回10位までに入りシード権を獲得した各大学の注目選手と戦力をチェックしていこう。

※紹介は前回大会の総合結果順



全日本は青学大とのアンカー勝負で駒澤大が優勝。果たして箱根は?

【駒澤大学】
連覇に向けてエース田澤を軸に戦力充実

 駅伝王者はトラックシーズンで圧倒的な強さを見せた。日本選手権10000mで田澤廉(3年)と鈴木芽吹(2年)が2位と3位に食い込み、関東インカレ2部の5000mと10000mでは唐澤拓海(2年)が青学大勢を抑えて日本人トップに輝いた。しかし、9月に鈴木が右大腿部を疲労骨折。鈴木の欠場と唐澤の不調もあり、出雲駅伝はまさかの5位に沈んだ。

 それでも全日本大学駅伝は7区・田澤が3人抜きでトップを奪うと、8区・花尾恭輔(2年)が青学大との"アンカー決戦"を制して連覇を達成した。田澤は12月4日の日体大長距離競技会10000mで、日本人学生最高の27分23秒44(日本歴代2位)をマーク。全日本を欠場した唐澤も世田谷ハーフで3位に入るなど調子を上げている。

 前回のVメンバー6人に加えて、出雲と全日本で活躍した安原太陽(2年)、全日本1区で区間賞を獲得した佐藤条二(1年)、日本インカレ5000mで2位に入った篠原倖太朗(1年)らがレギュラー候補。前回6区で区間賞を獲得した花崎悠紀(4年)が登録から外れたこともあり、同5区(区間4位)を担った鈴木の復調がポイントになりそうだ。登録選手上位10人の10000m平均タイムは史上最高の28分24秒65。自慢のスピードで連覇に向けて突っ走りたい。

【創価大学】
前回から大幅アップした戦力で往路V2を狙う

 センセーショナルなレース運びを見せて、前回は往路V、総合2位と大躍進した。今季は6月の全日本大学駅伝関東学連推薦選考会で落選するなど、前半戦はかみ合わなかった。それでも9月の日本インカレで3人の入賞者を出すと、10月の出雲駅伝で7位。そこからグンと調子を上げている。
11月にはフィリップ・ムルワ(3年)が10000m27分35秒29、嶋津雄大(4年)が28分14秒23と自己ベストを更新。濱野将基(3年)、桑田大輔(2年)、吉田凌(1年)、緒方貴典(3年)、葛西潤(3年)、新家裕太郎(3年)も28分40秒前後のタイムを残した。登録選手上位10人の10000m平均タイムは、前年の13位(29分05秒37)から大幅アップして5位(28分35秒81)につけている。

 往路は前回のVメンバー4人が残っており、2区・ムルワ(区間6位)、4区・嶋津(区間2位)は前回以上の走りを見せるだろう。3区を快走した葛西は故障で出雲駅伝を欠場したが、一気に調子を上げており、今回は1区を担う可能性も出てきた。そして5区には前回区間2位と好走した主将・三上雄太(4年)が控えている。選手層は厚くなっただけに、1区で好スタートをきることができれば"前回の再現"が見られるかもしれない。

【東洋大学】
5区の区間記録保持者・宮下で逆転して往路Vを!

 前回は2020年の10位から3位に浮上。主軸の宮下隼人(4年)と松山和希(2年)を欠いた今季の出雲駅伝でも3位に食い込んだ。しかし、2人が復帰した全日本大学駅伝は10位。6区と7区で崩れて、14年連続シードを逃した。それでも5区終了時では、優勝した駒澤大の前を走っており、「山」がある正月決戦には自信を持っている。

 往路は前回1区の児玉悠輔(3年)、2区・松山、3区・前田義弘(3年)、5区・宮下という経験者を軸に、出雲5区と全日本4区で区間賞を獲得した石田洸介(1年)が加わる形が濃厚だ。児玉は出雲1区でも7位と好走しているだけに、前回区間4位と活躍した松山の復調がカギになるだろう。
 
 石田は3大会連続での区間賞、主将・宮下は自身が持つ区間記録の更新に意欲十分。復路は出雲でアンカーを務めた柏優吾(3年)、同4区で区間2位と好走した九嶋恵舜(2年)、全日本1区を担った佐藤真優(2年)、同5区で区間4位の梅崎蓮(1年)らが候補か。前々回7区(区間6位)の蝦夷森章太(えぞもり・しょうた/4年)、前回10区で3位争いを制した清野太雅(3年)もエントリーされた。個々の力を集結させて、往路Vとトップ3を目指す。

【青山学院大学】
圧倒的な戦力で2年ぶりの王座返り咲きを狙う

 前回は2区と5区で後退して総合4位。今季は出雲駅伝で2位に入ると、全日本大学駅伝は駒澤大とアンカー勝負を繰り広げた。史上最少の8秒差で優勝は逃したが、箱根駅伝に向けて戦力を充実させている。

 圧巻だったのが11月24日のMARCH対抗戦10000mだ。4人が28分30秒をきり、19人が28分台をマーク。原晋監督が「過去最高」と豪語するほどチームは仕上がっている。今季は近藤幸太郎(3年)が、5000m(13分34秒88)と10000m(28分10秒50)で青学大記録を塗り替えるなどエースに成長。全日本7区でも駒澤大・田澤廉(3年)に食らいついた。近藤は2区が有力で、5区は前々回区間2位の飯田貴之(4年)が濃厚。前回苦しんだ2区間は不安が少ない。

 さらに、前々回の2区で、日本人1年生最高タイムの1時間7分03秒(区間5位)で快走した岸本大紀(3年)が復調。全日本3区を日本人トップで走っている。6区には前回区間3位の髙橋勇輝(4年)が控えており、原監督は復路に絶対的な自信を持つ。往路をトップの背中が見える位置で折り返して、復路での逆転Vにつなげたい。

【東海大学】
エース不在のなかでシード権を死守できるか

 前回は5位に入ったが、今季は3区で区間賞を獲得した石原翔太郎(2年)が夏前に戦線離脱。その影響もあり、出雲駅伝は9位、全日本大学駅伝は12位と低迷した。今季10000mで、U20日本歴代3位の28分05秒91をマークしている石原はエントリーから外れており、エース不在のなかで戦うことになる。

 10000m28分03秒37の市村朋樹(4年)、前回6区で区間5位の川上勇士(3年)、同7区6位の主将・本間敬大(4年)、同9区9位の長田駿佑(4年)、同10区8位の竹村拓真(3年)はキャリア十分。前々回7区(区間3位)を務めた松崎咲人(3年)が復帰して、全日本2区を区間7位、11月23日の10000m記録挑戦競技会を28分39秒46の自己新で走っている。

 また、神薗竜馬(2年)が出雲5区で区間5位、全日本5区で区間6位と好走。さらに溝口仁(2年)と梶谷優斗(1年)が10000mで28分20秒台をマークした。2区は厳しい戦いが予想されるだけに、他の区間でリカバリーするしかない。最低でもシード権を確保して、目標の「3位以内」に近づきたい。

【早稲田大学】
主力選手のカムバックで11年ぶりの総合Vも

 前回、箱根駅伝で6位に入ったメンバー9人が残っているが、今季はベストメンバーで勝負できていない。チームの主力は中谷雄飛、太田直希(ともに4年)、井川龍人(3年)の"10000m27分台トリオ"と、日本選手権5000m8位入賞の千明龍之佑(4年)。「駅伝三冠」を目指すも出雲は千明が、全日本は千明と太田が欠場して、ともに6位に終わった。

 一方で主力不在の影響もあり、箱根未経験者が成長している。出雲では菖蒲敦司(2年)が1区で2位と好発進して、石塚陽士(1年)が4区で区間賞。全日本は伊藤大志(1年)が1区で7位スタートをきった。また、前回4区(区間3位)を務めた鈴木創士(3年)は11月20日の早大競技会10000mで28分26秒41の自己ベストで走るなど、チームの総合力は高まっている。

 課題は、太田が前回区間13位に終わった花の2区と、3年連続で区間ふたケタ順位と苦戦している5区になるだろう。2区は1区を希望しているエース中谷が入る可能性もある。5区は千明、菖蒲、伊藤、石塚が候補。いずれにしても、11年ぶりの総合優勝は太田と千明の"完全復活"にかかっている。

【順天堂大学】
三浦のスピードだけでなく、高い総合力を誇る

 前回の7位メンバーが8人残っており、今季はトラックシーズンから目覚ましい活躍を見せた。特に三浦龍司(2年)は東京五輪の男子3000m障害で、7位入賞の快挙を達成。予選では、自身が持つ日本記録を6秒以上も更新する8分09秒92を叩き出した。その三浦が欠場した出雲駅伝は10位に終わったが、エースが復帰した全日本大学駅伝は3位に食い込んでいる。

 全日本2区で区間賞を獲得した三浦は、1区(前回10位)でのリベンジを熱望。2区は前回(区間10位)も務めた野村優作(3年)と、全日本8区で活躍した四釜峻佑(しかま・しゅんすけ/3年)が候補に挙がる。10000mでチーム最速の28分06秒26を持つ伊豫田達弥(いよだ・たつや/3年)は前回区間5位と好走した3区が有力か。4区(区間5位)に石井一希(2年)、5区(区間13位)にも津田将希(4年)という経験者が残っている。

 一方、起伏に強い四釜は山を希望しており、どんなオーダーで勝負するのか。さらに平駿介(3年)が出雲2区で区間2位、全日本で1区を務めるなど主力に成長した。復路の後半区間は主将・牧瀬圭斗、近藤亮太、吉岡智輝ら4年生が軸となる。8区を2年連続で担っている西澤侑真(3年)もエントリーに間に合い、虎視眈々と15年ぶりの総合優勝を狙っている。

【帝京大学】
3区候補の遠藤と5区候補の細谷に注目!

 前回は4年連続シードとなる8位に入った。今季は出雲駅伝で8位。「3位以内」を狙った全日本大学駅伝は13位に沈み、チームは危機感を持っている。

 箱根駅伝では前回出場した5人の4年生が主力になる。なかでも攻撃起点となるのが3区で日本人最高記録を持つ遠藤大地と、前回5区で区間賞を獲得した細谷翔馬だ。1区と2区は不安だが、前回4区(区間9位)の中村風馬、同7区(区間10位)の寺嶌渓一、同9区(区間3位)の主将・橋本尚斗の4年生トリオが主要区間を担うことになるだろう。

 他にも10000m28分台の森田瑛介(4年)、小野隆一朗(2年)、西脇翔太(2年)、福島渉太(1年)らが控えており、復路の戦力は充実している。スタートダッシュが決まれば、目標の「往路優勝」と「総合3位」に近づけるだろう。

【國學院大學】
強力な7人の個性を生かしてトップ3を目指す

 前回は9位に終わったが、「2年計画」の集大成に向けてチームを仕上げてきた。出雲駅伝(4位)は、アンカーに抜擢された平林清澄(1年)が熱中症で終盤苦しんだものの、途中までは2位争いをリードした。全日本大学駅伝は過去最高となる4位に入っている。

 10000mでチーム最速タイム(28分10秒30)を持つ藤木宏太、前回6区の区間4位で全日本1区を3位で発進した島﨑慎愛、出雲2区の区間賞を獲得した主将・木付琳(いずれも4年)がチームをけん引。そこに、前回2区を担った中西大翔(3年)、全日本8区で区間賞を獲得した伊地知賢造(2年)、全日本でもロング区間の7区を区間3位と好走した平林を加えた6人は強力だ。

 さらに前回5区(区間8位)の殿地琢朗(4年)が「激坂最速王決定戦」登りの部で学生トップを飾るなど、調子を上げている。往路に主力を並べるオーダーが濃厚なだけに、先行逃げきりのレース運びで目標の「3位以内」に突き進みたい。

【東京国際大学】
出雲Vを果たした爆発力で往路優勝を狙う

 前回は2年連続シード権獲得となる総合10位を確保して、今季は出雲駅伝で初出場・初優勝の快挙を達成。1区・山谷昌也(3年)がトップと5秒差で滑り出すと、3区・丹所健(3年)がトップを独走する。日本人選手だけで28秒ものリードを奪い、6区のイェゴン・ヴィンセント(3年)がさらに後続を引き離して、1993年以降では最大となる1分57秒差をつけて圧勝した。

 全日本大学駅伝(5位)でも、3区ヴィンセントと6区・丹所で2度もトップに立った。箱根駅伝では1区・山谷、2区ヴィンセント、3区・丹所という"超攻撃的"なオーダーが濃厚だ。山谷は10000mで28分11秒94のタイムを持ち、ヴィンセントは2区の区間記録保持者。丹所は出雲と全日本で他の日本人選手に大差をつけており、3区終了時までに大量リードを奪うことができる可能性は十分だ。

 前回4区(区間13位)の宗像聖(むなかた・ひじり/3年)も出雲5区を区間3位と好走している。復路は全日本7区で区間6位の野澤巧理、主将・三浦瞭太郎ら4年生が軸となる。山をうまく乗りきることができれば、目標の「往路V」と「総合3位以内」が見えてくるだろう。

(予選会校編:シード権を奪取できそうな有力校は?>>)