厳選!2歳馬情報局(2021年版)第30回:ブエナエルドラード 2007年、ウオッカが牝馬として64年ぶりに日本ダービー…
厳選!2歳馬情報局(2021年版)
第30回:ブエナエルドラード
2007年、ウオッカが牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制した。以来、日本の競馬界も"牝馬が強い時代"に突入。GIの舞台で強豪牡馬を蹴散らす歴史的な名牝が次々に登場してきた。
2008年にデビューしたブエナビスタもその1頭だ。
彼女はGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)を制して2歳女王に輝くと、3歳牝馬クラシックのGI桜花賞(阪神・芝1600m)とGIオークス(東京・芝2400m)も勝って、牝馬二冠を達成した。
その後、秋にはなかなか勝利に恵まれなかったが、古馬となって4歳春にGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)を制覇。秋には牡馬相手のGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)で戴冠を遂げた。続くGIジャパンC(東京・芝2400m)でも2着降着の憂き目にあったものの、ゴール板をトップで駆け抜けて現役最強馬としての力を示している。
以降もGI戦線で奮闘し続けたが、GI有馬記念(中山・芝2500m)、ヴィクトリアマイル、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)と、いずれも僅差の2着と涙を飲んだ。それでも、5歳秋のジャパンCで牡馬一線級を相手に快勝。前年のリベンジを果たすとともに、GI通算6勝目を挙げた。
まさしく"女傑"として一時代を築いたブエナビスタ。引退後は繁殖牝馬となり、これからデビューを迎える2歳馬のなかにも将来を嘱望されている愛娘がいる。
美浦トレセンの国枝栄厩舎に所属するブエナエルドラード(牝2歳/父ロードカナロア)である。

ブエナエルドラードの母は、現役時にGI6勝を挙げた女傑ブエナビスタ
同馬は現在、どういった状況にあるのか。関東競馬専門紙のトラックマンが厩舎スタッフに話を聞いてきた。
「ブエナエルドラードは今週、ゲート試験に合格しました。このあとは再び放牧に出されて、デビューに向けて再調整するようです」
名牝の子ゆえ、早くその走りを見たいものだが、期待の血統馬ということもあって、大事に、じっくりと調整していく方針のようだ。トラックマンが続ける。
「ブエナエルドラードはまだ気の強さが残っているそうで、ゲート試験でも『少し手こずった』と聞いています。また、スタッフによると『体も少し緩さが残っている』とのこと。その辺りも含めて『あくまでも馬の成長に合わせて作っていきたい』と話していました。
とにかく現状では、放牧先でじっくり体を作ってからデビュー、という青写真を描いているようです。それでも、スタッフは初陣について『年明け2月の東京開催ぐらいに間に合えば......』と、希望を口にしていました」
ブエナエルドラードがターフを駆ける姿を見られるのはもう少し先になりそうだが、先述のトラックマンによれば、「馬体は480kgほどで『馬格は大きく、雰囲気がある』とスタッフの評価は高い」という。万全の状態が整えば、デビュー戦から圧巻の走りを見せてくれるかもしれない。今はその日が来るのを楽しみにしたい。