「ロシアの妖精」と呼ばれたマリア・シャラポワ(ロシア)は現役を引退したが…

「ロシアの妖精」と呼ばれたマリア・シャラポワ(ロシア)は現役を引退したが、今でもテニス界で起きていることを見守っている。テニス界は昨今、元ダブルス世界ランキング1位のペン・シューアイ(中国)が中国の元政府高官による性的暴行を告発したこと、そしてそれに続いて彼女のソーシャルメディア上の投稿が削除されたことを受けて揺れている。【関連記事】選手の告発をめぐり、WTAが中国での大会開催中断を発表

ペンの所在についての懸念が膨らむなか、WTA(女子テニス協会)は中国から全ての大会を引き上げた。中国メディアが数本の映像を公開したものの、WTAはペンの安全について完全に納得できなかったのだ。

最近行われたインタビューで、シャラポワはこの件についての考えを口にした。元選手仲間であるペンとその家族の安全を願いながら、シャラポワはWTAがこの件にどのように対処しているかについて感銘を受けたと言う。スポーツウェブメディアSportskeedaが報じている。

シャラポワは、WTAのスティーブ・サイモン会長が「正しいことをしている」のを見るのは「素晴らしい」と語った。

「彼女は長年にわたって私の選手仲間であり競争相手だった。もちろん彼女と家族が安全で問題なく過ごしていることを願っているし、そう祈っているわ。WTAが立ち上がって態度を表明したことにすごく感動したのよ。WTAは私が長い間所属していた組織だから、スティーブ・サイモンが正しいことをしているのは素晴らしいわ」

シャラポワにとって、人間に関わる側面はビジネスに優先するため、彼女は現在のWTAの立場を完全に支持している。「私はビジネスのことを考える前に人のことを考える。人間的な要素や人間的な側面について考えるの。だからこそ、私は完全にWTAを支持しているわ」

WTAの大胆な動きは、巨額の経済的損失につながる。というのも、WTAは中国での大会を中止することで何十億円にも相当する収入を失う立場にあるからだ。しかし、このことによってさらに、WTAがこの事件についていかに真剣であるかが鮮明になっている。

WTAの動きを支持することを公言した選手はシャラポワだけではなく、テニス仲間である多くの選手が支持を表明している。世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は最近の記者会見においてWTAの動きを支持すると発言し、ダニール・メドベージェフ(ロシア)も同様の発言をした。この件について初めの頃から発言をしていたレジェンド選手のマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)やビリー・ジーン・キング(アメリカ)も、WTAの立場を支持している。

この事件はテニス界をかつてないほどに団結させており、可能な限り最良の形で事件が解決されることを誰もが切望している。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2016年の会見でのシャラポワ

(AP Photo/Damian Dovarganes, File)