熱いバンタム級世界戦線の展望は ボクシングのバンタム級世界戦線が活発な動きを見せている。11日(日本時間12日)にWBC正規王者ノニト・ドネアが暫定王者レイマート・ガバリョ(ともにフィリピン)に4回KO勝ち。主要4団体統一を目指すWBAスー…

熱いバンタム級世界戦線の展望は

 ボクシングのバンタム級世界戦線が活発な動きを見せている。11日(日本時間12日)にWBC正規王者ノニト・ドネアが暫定王者レイマート・ガバリョ(ともにフィリピン)に4回KO勝ち。主要4団体統一を目指すWBAスーパー&IBF世界同級統一王者・井上尚弥(大橋)は、来春に予定する統一戦の相手はドネアが最有力となった。

 ドネアはガバリョを左ボディーで粉砕。ダウンを奪い、4回KO勝ちで団体内の王座統一に成功した。次に期待されるのは井上との再戦だ。井上は14日にWBA10位&IBF5位アラン・ディパエン(タイ)との防衛戦(東京・両国国技館)を予定。これに勝てば、来春に計画している統一戦に臨む。

 ボクシングには、WBA、WBC、WBO、IBFの主要4団体が存在。そのうち2つのベルトを持つ井上は、かねてから全てのベルトを統一することを目標に掲げてきた。ターゲットにしてきたのは、WBC王者ドネアとWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)。しかし、カシメロは11日(同12日)に予定していた防衛戦の前日計量を直前でキャンセル。減量苦もあり、ウイルス性胃腸炎で入院したと海外メディアに報じられ、試合中止となった。

 WBOはカシメロ陣営に対し、正式な診断書と医療記録を期日まで提出するよう要求。医学的な証明ができなかった場合は、カシメロから王座を剥奪するとした。王座剥奪となれば、カシメロと対戦予定だったWBO1位ポール・バトラー(英国)らによる王座決定戦となるが、バトラーは減量を終えて体に負担を抱えたため、すぐに試合はできないだろう。空位のWBO王座は来春頃に争われる見通しとなる。

 ボクシングでは世界王者が楽な相手との対戦を選び続けることを避けるため、各団体が期日を決めて上位ランカーとの指名試合を義務付ける。仮にカシメロが医学的根拠を示し、WBO王座を保持したとしても、バトラーとの指名試合をクリアしていないため、次戦の相手は他団体王者ではなく指名試合になるのが基本線だ。

ドネア「目標は統一戦」井上「必ず実現させる」 夢の再戦、実現はいかに…

 そうなれば、井上が来春に統一戦を行うのはドネアしかいなくなる。春を逃せば、WBAやIBFから指名試合を義務付けられるため、陣営の大橋秀行会長も「次、統一戦を春にやらないと、また大変になる」と11月半ばに語っており、実現に前のめり。この日、ドネアもリング上で「目標は統一戦だ」と息巻いた後、井上戦について「プロモーターに任せたい。(井上と)互いにリスペクトしている。リチャード(プロモーター)がお膳立てしてくれるに違いない」と心待ちにした。

 実現に障壁はない。2人が拳を交えれば、2019年11月7日のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で井上が判定勝ちした激闘以来。井上もこの日ドネアがKO勝ちした直後にツイッターで「期待が膨らむドネア2 まずは明後日の試合に集中 ドネア2は必ず実現させる」とつづった。

 バンタム級には、井上戦の敗戦から世界王座返り咲きを狙う前IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)や前WBC王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)、ラウシー・ウォーレン(米国)、ゲーリー・アントニオ・ラッセル(米国)、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)、そして井上の弟・拓真などがいる。

 タレント揃いの階級で中心は間違いなく井上。14日にディパエンを倒すことが大前提だが、日本人初の3団体統一への夢が膨らむ。(THE ANSWER編集部)