タテジマの2017年が始まる。8日、満開の桜に彩られながら六大学野球春季リーグが開幕した。ひとつも負けられない戦い。立大は15日、初戦の法大戦へ臨む。 今季に復活を期す藤田 今季、立大投手陣の柱となるのは藤田(営4=県岐阜商)、田中誠(コ2…

タテジマの2017年が始まる。8日、満開の桜に彩られながら六大学野球春季リーグが開幕した。ひとつも負けられない戦い。立大は15日、初戦の法大戦へ臨む。

今季に復活を期す藤田

今季、立大投手陣の柱となるのは藤田(営4=県岐阜商)、田中誠(コ2=大阪桐蔭)、手塚(コ2=福島)の3人。昨秋、藤田は4試合に先発するも防御率7.94と安定さを欠いた。また今春のOP戦では5試合に先発し、防御率は5点台。エースには程遠い内容だった。それでも左腕は4.15の開幕マウンドを見据え、「自分が一番やらなければならない」と投手陣を引っ張る覚悟を示す。藤田の復調なくしてチームの勝利はない。副将となった最終学年、勝利へ導くために左腕を振り続ける。田中誠は1年目8試合に登板(うち先発は0)。キレのある直球と完成度の高い変化球を操り防御率1.54と安定感を見せつけた。OP戦ではさらに絶好調で、5試合に先発し31イニングを3点に抑え防御率0.87と圧巻の成績。今年の目標に「先発完投勝利」を挙げた2年目左腕のさらなる飛躍に期待したい。昨秋に公式戦初勝利を挙げた右腕手塚は140㌔前後の直球とカーブ、スライダー、チェンジアップなどを低めに集める丁寧な投球が持ち味。OP戦では主に中継ぎで起用され、リーグ戦でもブルペン待機が予想される。もちろん先発としても計算が立つ投手であり活躍の幅は広そうだ。また、2人のニューフェイスも大きな戦力に。アンダースローの中川(コ1=桐光学園)と琉球の変則左腕の比屋根(営1=興南)は新人ながらメンバー入り。彼らのタテジマデビューがチームを救う。

野手に目を向けると、引退した佐藤竜(現HONDA)、佐藤拓(現JR東日本)、田中和(現楽天)らが抜けた外野陣の穴をどう埋めるかが大きなポイントとなる。現時点では山根(営4=浦和学院)、田中健(営4=大垣日大)、寺山(社3=神戸国際)、井上(コ3=履正社)らが候補。松崎(文3=横浜)も外野転向するなどスタメン争いは激化している。内野は三塁手笠松(コ4=大阪桐蔭)、遊撃手熊谷(コ4=仙台育英)、一塁手飯迫(社3=神戸国際)で固定だろうか。4番候補の笠松は昨秋、0本塁打に終わるが春のOP戦で3本のサク越えをマークするなど打撃好調で復活の予感。今季は「5本塁打、10打点」を目標に掲げフルスイングを続ける。主将熊谷の打棒もチームを左右する。OP戦では1番や6番などを打ったが、「どの打順でも自分ができることをやるだけ」とチームプレーに徹し優勝へ導く。そして、スタメン争いが激しいのは捕手陣。昨年はレギュラーであった高田(コ4=浦和学院)や副将の江波戸(コ4=成田国際)などがいる中で藤野(営2=川越東)が一歩リードしている。強肩と安定した守備が評価されOP戦からスタメンマスクを任されるが、このまま開幕マスクも彼になるだろうか。

恐怖の4番打者中山

昨年、六大学からは9人がプロ野球界へ。黄金世代が抜けた今季、各大学の構成は大きく変わり、混戦となることが予想される。そんな中での法大戦である。法大は昨秋、圧倒的な強さで新人戦優勝したメンバーの学年が上がり、スタメンに名前を並べる。何といっても強みは打撃力。特に上位打線は盤石だ。現役最多安打の大西千(営3=阪南大)、50㍍5秒66の俊足を持つ斎藤(社3=大宮西)、昨春ベストナイン入りした小林(法3=中京大中京)らが打線を引っ張る。そして、4番に座るのが中山(人3=履正社)。ベンチプレスを140㎏あげるというキン肉マンは昨秋、3本塁打放ち一躍ブレ-ク。その後の六大学選抜対東京ヤクルトの一戦ではプロの投手を相手に3安打の猛打賞と大暴れし、打棒は日々進化している。初週の早大戦では早速2ランを叩き込むなど2試合で4安打し、最大級の警戒が必要だ。また、5番以降もつなぎに徹する打線が待ち、ベンチにも船曳(キャ2=天理)、福田(人2=大阪桐蔭)、向山(営3=法政二)などの実力者が控える。早大戦で不完全燃焼だった打撃陣が橙魂をバットに込め立大に襲いかかる。

一方、投手陣にはつけ込む隙がありそうだ。法大は熊谷(キャ4=平塚学園)と菅野(キャ3=小高工)のWエースを中心とした、多くの投手を小刻みに継投するスタイル。初週の早大戦は2試合で7人の投手を継ぎこむも被安打20、失点12と炎上。左腕の森田(営3=富山商)はケガが完治した模様だが、スタンドから戦況を見守るようだ。ブルペンには195㌢の長身から投げ下ろす内沢(キャ2=八戸工大一)、新人の柏野(営1=広陵)などが待機するが、右腕中心の構成は大きな穴となる。

立大の対法大戦はここ3年間で8勝7敗とほぼ互角。それだけに、優勝へ向かうならば2連勝で蹴散らすことが必須だ。ただ、昨秋は菅野から6得点、熊谷から7得点と打ち崩しているためWエースに対しては相性が良い。そこで、立大打線のキーマンを上げるとすれば飯迫。菅野に対して「タイミングがとりやすく、打ちやすい」と自信を見せる。さらに「チャンスで自分に回ってきたら絶対にランナーを返す」と強く言い切り、法大崩しは飯迫のバットに期待したい。また、立大の開幕投手争いも面白い。藤田か田中誠か。とにもかくにも、強力法大打線を封じるために重要なのは、上位打線を抑え、ランナー無しで中山を迎えることだ。中山や鎌倉(法3=日本文理)以外は左打者が並ぶことは立大両左腕にとっては好材料だろう。

立大打線のキーマン飯迫

2017年は「戮力同心」を合言葉に、チーム一丸で優勝を目指す。そのための最初の法大戦、死に物狂いで勝ち点1を掴んでほしい。春の終わり、最高の結末を迎えるのは立大だ。

(4月11日・浅野光青=文)