4月22日からのアジアラグビーチャンピオンシップの日本代表スコッドが10日、発表され、昨季の国内トップリーグで大学生選手として話題になったSOの山沢拓也が入った。 身長176センチ、体重81キロの22歳。本格的にラグビーを始めた埼玉・深谷…

 4月22日からのアジアラグビーチャンピオンシップの日本代表スコッドが10日、発表され、昨季の国内トップリーグで大学生選手として話題になったSOの山沢拓也が入った。

 身長176センチ、体重81キロの22歳。本格的にラグビーを始めた埼玉・深谷高の1年時から、そのしなやかな動きとスキルが注目されてきた。前年度は筑波大4年生ながらパナソニックに選手登録されると、シーズン終盤にその才を発揮する。高校3年時に初めて候補入りした日本代表へ、今回は正式に加入。心境を問われ、こう応じた。

「そうですね。いろいろとあって…。時間はかかったんですけど、いい経験だったとは思う。ここでもいろいろ学びたいと思います」

 日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)は、「ポテンシャルがあると見極めた」。代表選考の基盤のひとつとしてきたナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の第1~3回合宿(3月)へは招集しなかったが、テストマッチを控えたこのタイミンでリストアップ。「NDSに呼ばなかったのは、パナソニックと連携しているハイランダーズで経験を積むためです」と説明した。

 山沢は2月中旬から約3週間、ニュージーランドへ留学。現地のハイランダーズでトレーニングをしていた。帰国後は大学時代に怪我をした膝の状態回復に時間をかけ、この日からNDSの第4回キャンプに参加した。満を持し、代表デビューを見据える。

「向こうの選手は、ウェイトの時には出されたメニュー以外のことを自分たちでやっている。そういう選手と一緒にやって刺激を受け、勉強になりました」

 新しいチームへの適応には、これまでの経験が助けになろう。現日本代表は、昨年までジョセフHCが率いたハイランダーズ、ハイランダーズのHCを務めるトニー・ブラウンと縁の深いパナソニックと似た戦術を志向する。パナソニックとハイランダーズでエッセンスを吸収してきた山沢にとって、その背景は渡りに船か。ジョセフHC率いる日本代表で求められることは、と聞かれ、本人はこう即答した。
 
「まずはしっかりとした形をはめる(作る)。そのなかで空いたところを(攻める)というラグビー。それについては、パナソニックと同じようだなとは思いました。まずはいろいろなコール(プレー中の動きを表す言葉)をしっかりと覚えなきゃな、と。一番は、ランで勝負したいですけど、それ以外にもやることは多い。戦術に沿ったプレーができるように…」

 代表ではサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦)の小倉順平、同じパナソニックの松田力也らと背番号10を争う。「皆、すごい人たちで、いろいろな特徴がある。自分は、そこに負けないようにというよりは、強いチームを作るために、すごい人のすごいところを盗みながら、自分のレベルを上げていきたい」と、前だけを見る。(文:向 風見也)