間も無く10試合を経過しようというところで、まだまだ振り返るには早すぎるか、スタートダッシュという点では決着がついた。今回、直近のカードを見て感じた各チームの語ってくれたのは、元広島、巨人で活躍した西山秀二氏。目についたのは若手の奮闘が目立…
間も無く10試合を経過しようというところで、まだまだ振り返るには早すぎるか、スタートダッシュという点では決着がついた。今回、直近のカードを見て感じた各チームの語ってくれたのは、元広島、巨人で活躍した西山秀二氏。目についたのは若手の奮闘が目立つ古巣の姿だ。
——西山さん、前カードもいろいろありました。開幕ダッシュに成功した巨人を広島が抜き、またパ・リーグでは楽天が単独首位の座に躍り出ています。
「各チーム、課題がみえてきましたね。オープン戦でよかったチームがつまづいていたり、選手個人をみても、良いスタートを切るかなと期待された選手が全然だったりと、結果が明確出ていますね」
——やっぱり、オープン戦は違う?
「まあ、オープン戦はあくまでオープン戦ですから。どこにむかってしっかりやってきたのかということですよね。巨人の阿部慎之助なんか顕著でしょう。キャンプでみたときもかなり良い調整をしているという感じでしたしね。さすがベテランという感じじゃないでしょうか」
——パ・リーグでは昨年下位に沈んだ2チームが現在上位にいます。
「そうですね。楽天は面白言っている解説者の方もたくさんいたけども、結果を残しているので納得ですね。あとはこれが続けられるかどうか。あとオリックスはやっぱり、外国人選手がいいですからね。これも続くかどうかというのがポイントになってくるでしょうね」
——さて、そんな中で西山さんが気になったカード、試合はどちらでしょうか?
「4月8日のマツダスタジアム。広島対ヤクルトの試合ですね」
——どういった理由でしょうか?
「この前の日に、カープはルーキーの加藤投手があわやノーヒットノーランかというピッチングをして勝ったんです。今年のカープはね、皆さんご存知のとおり黒田博樹という精神的な支柱が抜けて、その影響が心配されていました。誰がその穴を埋められるのかというのがひとつのポイントなわけです」
——たしかに、それを理由に、チームの評価がわかれています。
「ですよね。私は、かつて前田健太(現・ドジャース)が抜けたときのように、誰かが出てくるものだという風に考えていました。もちろん簡単ではないんですけど、大きな柱が抜けたといっても、誰かが出てくる世界ですから」
——そこに加藤選手がまず、出てきた?
「候補として出てきてくれましたよね。加えて、この日(8日)の先発は2年目の岡田だったわけです。今季は開幕2戦目を任されましたが、4回6失点と結果が出ていなかった」
——リベンジを果たし、この日は見事に勝ち投手になりました。
「そうですね。9回途中1失点。十分すぎる内容じゃないですか。しっかり立て直しましたよね。この序盤で何枚も新しく期待が持てる選手が出てきてくれたというのは、チームにとってはものすごくありがたいことですよね」
——野手陣も相変わらず元気です。
「昨年、優勝を達成して、どうなるかなと思ったんですが、予想以上に今年も力があるなと示したゲームだったと思いますね」
——今年も広島は強いと言ってよいでしょうか?
「上位争いには名を連ねることになるでしょう。次のカードは巨人戦ですか。これもまた、楽しみですね」
この後、日曜日のゲームでは九里亜蓮投手もまた好投し、早くも今季2勝目。西山氏の言う通り、若く頼もしい投手陣が結果を残して、黒田投手の穴を感じさせないスタートを切っています。かつては“鯉の季節”までとも揶揄された広島ですが、2年連続のVへ順調にあゆみを進めるのでしょうか。要注目です。
西山 秀二(にしやま・しゅうじ)
球歴:上宮高→南海→広島→巨人
中学時代に桑田真澄とバッテリーを組む。85年のドラフト4位で南海に入団。 87年途中に広島に移籍すると、93年から達川光男の後を受けて正捕手の座を掴み、94年、96年とベストナイン&ゴールデングラブ賞受賞。05年に巨人に移籍し、引退後は巨人のバッテリーコーチとして手腕を振るった。大阪府出身。右投げ右打ち。捕手。