『Going!Sports&News』出演中の日本テレビ・忽滑谷こころアナ日本テレビのスポーツ・情報番組『Going!S…



『Going!Sports&News』出演中の日本テレビ・忽滑谷こころアナ

日本テレビのスポーツ・情報番組『Going!Sports&News』に、10月から担当となった忽滑谷(ぬかりや)こころアナウンサー。学生時代にはダンスやラクロス、スキーにサーフィンなど数々の競技に打ち込み、真摯に向き合ってきた。そんなアスリートのマインドを持つ忽滑谷アナに、2021年のスポーツ名場面についてインタビュー。自身の競技経験や、キャスターとしての仕事の話も交えながら、スポーツに対する想いを熱く語ってもらった。

──今年は東京五輪・パラリンピックを中心に、さまざまなスポーツシーンがありました。忽滑谷さんが感動した心に残る名場面を教えてください。

 まず東京五輪で言うと、今回、初めて採用された競技が盛り上がったなという印象があります。なかでも名場面として挙げたいのが、男子サーフィンの銀メダリスト・五十嵐カノア選手が出場した決勝戦です。

 この競技は、制限時間内に波に乗って得点を競い合うので、いい波が来ないと乗れなかったり、あるいは高得点をとれなかったりと、選手によってはストレスのかかる試合形式なんですね。そのなかで対戦相手のイタロ・フェレイラ選手(ブラジル)は、いい波に乗れて「これは勝ったな」と、制限時間の前に海から上がってきたんです。私がもし対戦相手で、その光景を見たら心が折れてしまうと思うんですよ。それでもカノア選手は、沖に向かって泳いで、自分の波を待ち続けていました。結果的に金メダルを逃してしまいましたが、相手どうこうじゃなく、自分自身と戦っている姿に、感動してしまいましたね。

 カノア選手は以前、私が10月から担当することになった『Going!Sports&News』で、カノア選手なりの波の乗り方について話していたのですが、サーフィンは「海と向き合うスポーツなんだ」ということを熱く語っていて。対、人じゃなく、対、自然なんだという考え方。それがすごく神秘的だなと思いました。

──何が起こるかわからない自然と向き合うスポーツ。実際に波に乗っている選手にしかわからない奥深さがありますね。

 そうですね。しかもカノア選手は同世代で、学生時代からずっとカノア選手のライフスタイルに憧れていたんです。サーファーとして世界各国をまわってる写真をインスタグラムに挙げていて、「こういう生活羨ましいな」と思いながら見ていました。カノア選手が日本中に名前が知られる瞬間を目撃した感じで、すごく興奮しましたね。

──パラリンピックはいかがでしょう?

 女子マラソン・視覚障害のクラスで金メダルを獲得した道下美里選手のレースが印象深いです。目がほぼ見えないというハンディキャップがありながらも、それをまったく感じさせないすばらしい走りでした。彼女のことは前々から応援していて、今年44歳という年齢でも、明るく前向きに競技に取り組んでいる姿勢がすごく好きなんです。

 それと志田淳さんと青山由佳さんという、伴走の方々がいるんですけど、選手と彼らをつなぐ"伴走ロープ"は「絆(きずな)」と呼ばれていて、それほど大切でこだわりがあるんだと、テレビで特集しているのを見たことがあって。私たちには知り得ない想いや奥深さがたくさんあるなと、そしてもっとパラ競技について知りたいなと思いました。

──ひとりでは目的地にたどり着けなくても、仲間とならゴールまで走りきれる。チームの絆の強さが伝わるレースでした。

 そうでしたね。ふだんは忘れがちですが、私たちもたくさん周りから支えられている。それを思い出させてもらえるというか、一つひとつのことに対する周囲への感謝の気持ちを常に持ち続けなければいけないと、改めて教えてもらえた気がします。

──ここまで今年のスポーツ名場面についてうかがいましたが、忽滑谷さんの競技経験についても教えてください。幼少期からクラシックバレエを習っていたんですよね。

 はい。まだ3歳のとき、地元のクラシックバレエの発表会を見に行ったことがあって、そのあとすぐに「これがやりたい」と両親に頼み込んで始めました。あまり上手いほうではありませんでしたが、とにかく踊ることが楽しくて。気がついたら結局、中学高校でもダンス部に入ってジャズやヒップホップなど、いろんなジャンルのダンスに挑戦し続けていましたね。

 聖心女子大学文学部進学後もダンスを続けようと思っていたのですが、そこのダンスサークルが、スタジオを借りる料金や時間帯の関係で、終電から始発の間に練習するということで参加を断念したんです。「さすがに寝てしまうな......」と思って(笑)。そこで実は母が聖心女子大のラクロス部出身で、創部当時のメンバーということもあり、「楽しいから」と勧められて入部することにしたんです。

──実際にやってみていかがでしたか?

「究極のチームスポーツ」だなと経験して感じました。そもそも比較的新しいスポーツでもあるラクロスは、五輪に正式競技として採用してもらうために動いていくうちに、毎年ルールが変わるなど、まだまだ発展途上の競技なんですね。それでも絶対に変わらないのが、選手ひとりでも手を抜くと、ボールをゴールまで運べないというシステムです。出場する10人全員が全力でプレーしないとまず勝てない。チームワークが一番重要視されるスポーツと言っていいでしょうね。



カレッジスポーツも盛り上げていきたいと語る忽滑谷アナ

──チームは選手同士、強い信頼関係で結ばれていそうですね。

 そう思います。私たちの時代も、朝6時半から練習するんですけど、朝から晩までずっと一緒にいるので、本当にみんな家族のような存在でした。競技を通じて選手間に強い絆が生まれるところが、カレッジスポーツのいい部分だなと思います。

 ただ、ラクロスを含め、カレッジスポーツはもうちょっと普及してほしいなと思っていて。日本テレビ入社1年目に、『オードリーのNFL倶楽部』というアメリカンフットボール専門番組を担当させてもらったんですけど、まだまだアメフトの魅力はたくさん伝えられるなと、番組を通じて感じました。

──日本のアメフト界はプロリーグがなく、社員として仕事をしながら選手活動をする企業チーム、別の会社で働きながら出場するクラブチームしかありません。

 だからせっかくおもしろいスポーツなのにその魅力を知らない人がいるのはもったいない。なんとか少しでも知ってもらえないかと、いつも考えています。ただそういった状況のなか、2015年のイングランドで行なわれたラグビーW杯で、日本代表が強豪・南アフリカを下すなど3勝し、ラグビーブームが起きた時は本当にうれしかったですね。他のスポーツも刺激をもらえた現象でしたし、アメフトやラクロスも続いてほしいなと思いながら見ていました。

──2019年のW杯日本大会でも盛り上がりましたよね。ちなみに、ダンスやラクロス以外にもたくさんスポーツを経験されていますよね。部活以外でやられていたんですか?

 いろいろやっていました。サーフィンは嗜む程度ですけど、新型コロナウイルスが流行する前までは家族で海に行って、スクールに1日体験入学して習っていました。スキーも学生時代にやっていて、小中高の12年間、毎シーズン父と一緒に軽井沢へ滑りに行っていました。かなり通いつめていて、スキーの検定も受けるぐらい、かなり真剣に取り組んでいたと思います。

 加えてボクシングにも一時期とてもハマっていて。いい汗をかけるし、ストレス発散にもなるので、ひたすらグローブをつけて打ち続けていました。あとは一輪車ですかね。小さい頃からなぜか家に置いてあって、小学生の時の移動手段はずっと一輪車でした。そのせいか、かなり支障が出ていて......。自転車をちゃんと練習したことがないので、いまだに車が走っている公道は怖くて乗れないんです(笑)。

──今回のインタビューで一番驚きました(笑)。それにしても、ここまで多くの競技での経験・知識があると、今の仕事にはかなり生きているのではないですか?

 そうですね。特にダンス、ラクロスと私ひとりだけではなく、チームで打ち込んできたスポーツでの経験は、社会人になってから役に立っていることが多いです。やはり団体競技は、チーム内での自分の役割を知る力が非常に重要。会社でも自分のやるべきことを見極めることが求められます。もちろん、自分の思いどおりにいかなかったり、努力が報われずに落ち込んだりすることもあります。でもそこで「じゃあ今の私はどういう立場で活躍できるかな」とポジティブに思考を切り替えて、会社のチームの一員として考えられているのは、スポーツで培った経験が大きいなと思いますね。

──さて、10月から『Going! Sports&New』の担当となりましたが、この約1カ月間、現場に入ってみていかがでしょう?

 私はこれまで、この番組を一視聴者として見ていた時は、画面に映る映像や言葉のみを受け取ることしかできませんでした。でも実際に番組の制作スタッフと一緒に仕事をしていくと、1時間の放送のなかには収まりきらず、あえなくカットされた映像を知ることができるんです。「自分が視聴者として見ていた内容よりも、本当はもっと奥深くて、いろんなドラマやエピソードがスポーツにはあるんだな」って。それを見られるのは、すごく貴重な経験だなって思います。本当は、朝までぶっ通しで5時間ぐらい放送したい気持ちでいっぱいです(笑)。

──それほど伝えたい内容がたくさんあるんですね。上田晋也さん、赤星憲広さんとは共演してみてどんな印象ですか?

 上田さんはオンエア中も、CM中も常に気遣ってくれていて、加わったばかりの私にもフランクに話しかけてくれるので、すごくありがたいです。こんなにプロフェッショナルな人でも、誰にでも心を開いてくれるんだなと驚いたと同時に、出演者として目指すべき姿だなと思いました。

 赤星さんは、オンエア前から、野球の一つひとつのプレーについて「なるほど、そういうことだったのか」ということをいろいろ教えてくれて、毎回勉強させてもらっています。でも赤星さん、CMに入った途端、野球とは全然関係ない話を上田さんとずっとしているんですよね(笑)。「最近あったおもしろい話」とか、競馬の話を延々と。でもそれによってスタジオの雰囲気がすごく和むので、本当にありがたいですね。

──競馬コーナーに入ると、おふたりとも楽しそうですよね。

 そこだけ友達同士の飲み会みたいになってます(笑)。私が競馬の原稿を読み始めて、「上田さんの馬は何着でした」みたいな感じで言うと、「うわーーー!!!」ってすごい爆音で歓声や悲鳴をあげるんですよ。一瞬、家でテレビを見ているお父さんに戻ってるような感じがして、大先輩ではあるんですけど、ほほえましいなと思いながらいつも見ています。

──今後もさまざまなスポーツシーンを届けていく上で、心がけていきたいことは何かありますか?

 ふたつありまして。ひとつ目は、やはり「アスリート・ファースト」で、たくさんの人に競技や選手について興味を持ってもらえるようにしたいなと思います。先ほどお話ししたラグビーブームもそうですし、今回の東京五輪もそうですけど、一度バッと燃え上がった熱を、絶やさずに持続させる。それによって、もっともっとスポーツの魅力が伝わり、アスリートたちにとっても、よりよい未来につながるんじゃないかと思うんです。それを実現させるためにも、テレビを通じて、見ている人の心に響くアスリートのエピソードなどを探して届けていきたいですね。

 そしてふたつ目は、私自身がカレッジスポーツに打ち込んでいたので、そういった競技人口の多くないスポーツをどんどん盛り上げていきたいです。あまり知られていないかもしれませんが、掘れば掘るほどすごい能力を持った人はいっぱいいるんですよ。それをもっと知ってもらえるように、私の競技経験を生かしながら頑張っていこうと思います。

──最後に、今後、期待するスポーツや大会があれば教えてください。

 年末年始の箱根駅伝と全国高校サッカー選手権は注目ですね。日本テレビが放送するというのもありますが、箱根駅伝には私も社員として初めて携わらせてもらうことになったので、自分からどんどん取材して、よりよい放送になるよう少しでも貢献できたらなと思っています。全国高校サッカー選手権も、今大会で記念の100回目を迎えますから、放送側も選手たちもものすごく気合が入っています。若いアスリートがどれだけ活躍するのか楽しみですし、届ける側としても、それぞれ一生の記念になるような放送にして、年末年始をかたちづくれたらと思っていますので、ぜひ見ていただきたいです。

Profile
忽滑谷こころ ぬかりや・こころ
1998年、神奈川県出身。幼少期からクラシックバレエを始め、中学・高校ではダンスに没頭しながらスキーやサーフィンなど多数のスポーツを経験。聖心女子大学文学部進学後はラクロスに挑戦し、2020年に卒業後、同年4月に日本テレビ入社。現在は『Going! Sports&News』『ZIP!』『Oha!4 NEWS LIVE』などの番組を担当している。