全日本大学駅伝は駒澤大と青山学院大のアンカー勝負になった。正月の箱根駅伝でも"2強対決"が有力視されているが、全日本で3位に入った順天堂大も面白い。 順大といえば、東京五輪3000m障害で7位入賞の快挙を果たした三浦龍司(2年)が注目を浴…
全日本大学駅伝は駒澤大と青山学院大のアンカー勝負になった。正月の箱根駅伝でも"2強対決"が有力視されているが、全日本で3位に入った順天堂大も面白い。
順大といえば、東京五輪3000m障害で7位入賞の快挙を果たした三浦龍司(2年)が注目を浴びている。しかし、今年のチームは三浦だけではない。総合力がすこぶる高いのだ。
全日本大学駅伝で順大のアンカーを務めた四釜峻佑
全日本は1区・平駿介(3年)がトップと20秒差でスタートすると、2区・三浦が10人抜きでトップに立つ。前半のエース区間である3区は、伊豫田達弥(いよだ・たつや/3年)が区間5位でまとめるも3位に。4区・石井一希(2年)も順位をひとつ落とした。
しかし、5区に回った野村優作(3年)が2位に浮上し、6区・牧瀬圭斗(4年)が順位をキープ。7区・近藤亮太(4年)が駒大、青学大、明治大にかわされて5位に転落するが、アンカーの四釜峻佑(3年)が明大と東京国際大をかわして、3位でフィニッシュした。
長門俊介駅伝監督は「5位以内、あわよくば3位以内を目指していたので、3位に入れてよかったなという思いがありますけど、途中、優勝を意識できるタイミングがありました。少し悔しさを残しながらも、次につながるレースになったのかなと思います」とチームを評価した。
順大が全日本でトップ3に入ったのは2001年大会以来、20年ぶりだった。
今季は「箱根駅伝の総合優勝」を目標に掲げているが、初戦の出雲駅伝は三浦が欠場。野村が前半のポイント区間である3区で区間16位に沈んだこともあり、10位に終わった。全日本ではエース格である野村の自信を取り戻すために、主要区間をあえて外している。
「起用するのもギリギリまで迷ったんです。出雲で自信をなくした部分があるので、負担の少ない区間に起用しました。本人には、『エースとしての走りではなくて、つなぎの走りをしてください』と伝えたんですけど、しっかり走ってくれたので安心しましたね」(長門監督)
順大は3年生世代の進化がチームの躍進につながっている。そのなかで主軸を担ってきたのが、野村と伊豫田だ。昨季は箱根予選会を歴代最速タイムでトップ通過。全日本で8位、箱根は7位に入った。箱根では野村が"花の2区"を区間10位で乗り切り、伊豫田が3区で4人を抜いて順位を7位に上げている。
今季は共にトラック種目で自己ベストを大きく更新した。5000mは野村が13分41秒73、伊豫田が13分43秒71。10000mは伊豫田が28分06秒26、野村が28分19秒01をマークしている。5月の関東インカレは1部10000mで野村が5位、伊豫田が6位。9月の日本インカレは5000mでは伊豫田が7位、野村が9位に入っている。
3年生世代は野村と伊豫田に続いて、今季に"3本目の柱"ができた。出雲と全日本でアンカーを務めた四釜だ。
学生駅伝未経験ながら、関東インカレの1部ハーフマラソンで優勝。出雲は最終6区を区間4位と好走すると、6日後の順大記録会10000mで28分36秒03の自己新をマークした。全日本では長門監督から「3位死守」を頼まれて、きっちりと役目を果たしている。
「出雲の時はほぼ単独走だったので、他校の選手と競った時にどこまで走れるのか。不安も少しあったんですけど、今回、順位を2つ上げられて自信がつく結果になりました」(四釜)
3年生では平も力をつけており、出雲は2区で区間2位と活躍した。4年生も全日本で意地を見せたが、日本インカレ10000mで8位に入った吉岡智輝の欠場が残念だった。
箱根に向けては前回メンバー8人が残っている。そこに四釜、平、吉岡らが加わる形だ。今季はすでに10000m28分台が14人を数え、選手層は厚い。
さらに三浦という"切り札"もいる。今季は3000m障害で大活躍しただけでなく、5000mでも13分26秒78(日本人学生歴代8位)をマーク。本人は前回区間10位と不発に終わった1区でのリベンジマッチを希望している。
「これまではいい流れでないと走れないチーム層でしたが、全日本でもしっかり立て直せたことを考えると、今年のチームは流れが悪くても挽回できる。力では負けるかもしれませが、箱根駅伝は特殊性のある区間でカバーしたい。
四釜は長いところ、タフなところでの安心感、信頼感があります。三浦もまだこんなものではありません。距離が長くなるので、自信を持てない部分があるかもしれませんが、箱根では爆発力のある走りを期待したいと思います」(長門監督)
来季に「駅伝3冠」を目指すためにも、箱根で15年ぶりの総合優勝を奪いにいく。