【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆先週の血統ピックアップ・11/6(現地時間) BCフィリ…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆先週の血統ピックアップ
・11/6(現地時間) BCフィリー&メアターフ(G1・米デルマー・芝2200m)
好位4〜5番手を進んだラヴズオンリーユーが直線で壁をこじ開けて抜け出しました。2005年にシーザリオがアメリカンオークス(米G1・芝10ハロン)を勝つなど、アメリカの芝中距離G1ではこれまで日本馬がしばしば善戦していました。したがって、現地の単勝オッズでは2番人気に推され、力量的に勝ち負けに持ち込むのは当然という下馬評でした。
ただ、アメリカだけでなくヨーロッパの強豪も加わるだけに簡単に勝てるレースではなく、しっかりと準備をし、攻略を果たした陣営の手腕は、すべてにおいてプロ中のプロだったと思います。もちろん、馬の実力も世界屈指でしょう。
「ディープインパクト×ストームキャット」という組み合わせで、ドバイターフ(首G1)を含めて重賞を3勝したリアルスティールの全妹です。「父ディープインパクト、母の父ストームキャット」は、すでに国内外で9頭のGI勝ち馬が出ており、スタディオブマン(仏ダービー)、エイシンヒカリ(イスパーン賞、香港カップ)、リアルスティール(ドバイターフ)、キズナ(ニエル賞)など海外での活躍馬も目立っています。洋芝適性が高い配合なのでしょう。
その一頭である本馬も、今年4月、香港でクイーンエリザベス2世C(G1・芝2000m)を制覇しました。3代母が世界的名牝ミエスク、2代母はキングマンボの全妹、そして自身はリアルスティールの全妹。そしてBCフィリー&メアターフ制覇ですから、繁殖牝馬としての価値はいまや天井知らずです。
◆今週の血統Tips
今週のエリザベス女王杯は、昨年と同じく阪神芝2200mで行われます。京都競馬場の改修工事は2023年3月まで行われるので、来年も阪神コースで行われる予定です。京都芝2200mは外回りコースでしたが、阪神芝2200mは内回りコース。京都と阪神のエリザベス女王杯をラッキーライラックが双方勝ったとはいえ、これは能力が高かったからこそできた芸当であって、内回りと外回りでは基本的に求められる能力が違います。内回りコースはステイゴールド系やスクリーンヒーロー産駒が得意としています。
今回の出走馬のなかではウインキートス(父はゴールドシップ、その父ステイゴールド)、ウインマリリン(父スクリーンヒーロー)がこれに該当します。ラヴズオンリーユーと4分の3同血の関係にあるテルツェット(父が同じで母同士が親子)は、母の父にデインヒル系が入るので、ディープインパクト産駒のなかでは小回り適性が高いタイプです。混戦ムードなので馬券的に楽しめるレースでしょう。
(文=栗山求)