秋の早慶戦は今年も熱戦となった。東京六大学野球秋季リーグが31日、神宮球場で行われ、早慶2回戦は慶大が早大に3-3で引…
秋の早慶戦は今年も熱戦となった。東京六大学野球秋季リーグが31日、神宮球場で行われ、早慶2回戦は慶大が早大に3-3で引き分け。2季連続39度目、チームでは30年ぶりとなる春秋連覇を達成した。歓喜の輪が解けると、主将の福井章吾捕手(4年)はホッとした表情で、キャッチャーメットのつばを前に向け列に並んだ。優勝の瞬間を「ホッとしました。その1つでした」と振り返った。
雨が降る中始まった運命の一戦。序盤は慶大にとって苦しい展開だった。先発した増居翔太投手(3年)が初回2死から満塁のピンチを招き、岩本久重捕手(4年)に右中間へ走者一掃の適時二塁打を浴びた。試合前まで防御率1点台と安定感を誇ってきた左腕が、4回で降板した。
打線は6回まで毎回安打を放ったが、早大の先発・徳山壮磨投手(4年)を捉えきれず苦しんだ。5回2死二、三塁から渡部遼人外野手(4年)の遊撃への内野安打で1点を奪うと、試合が大きく動いたのは7回だった。2死一、二塁から渡部遼が右前適時打。さらに右翼の送球ミスも絡んで同点に追いついた。

引き分けすら許されない早大は、簡単には引き下がってくれない。8回には2本の安打で2死一、二塁のピンチを招き、昨年悔しい一発を浴びた蛭間拓哉外野手(3年)を打席に迎えた。1ボール1ストライクからの3球目、3番手・橋本達弥投手(3年)が投じたフォークが暴投となり、一、三塁に。もう単打も許されない状況。それでもマスクを被る福井は冷静だった。
「夏もリーグ戦期間も、ワンバンを止める練習を続けてきた。ミスしていましたけど、監督も点をやらなければいいとおっしゃられている。練習をしてきた自信があったので、(フォークの)サインを出すのに嫌な考えはなかった。逆に蛭間君を抑えるには橋本達弥のあの球しかないと思ったので、続けて要求しました」
2球目に投じたフォークへの反応を見て、直球狙いだと判断。暴投のあとに2球フォークを続け、蛭間を空振り三振に抑えた。攻めの配球で、ピンチを凌いだ。

優勝を懸けた早慶戦。昨秋は9回に蛭間に逆転2ランを浴び、目の前で逃した。その時もマスクを被っていた福井の脳裏には、あの光景が焼き付いている。「昨日寝れなくて、4時くらいに目が覚めて、勝たなきゃいけないというキャプテンとして、キャッチャーとしての責任があった。嫌でも頭にフラッシュバックするものがあって、早慶戦で優勝が決まるとなった時から、不安の日々でした」と苦悩を明かした。
主将として春季リーグ、全日本選手権とチームを優勝に導いてきたが、早稲田相手には特別な思いがある。「昨年本当に悔しい思いをして、秋の早稲田に勝たないと、やってきたことが報われないと言ってやってきました。勝てはしなかったですけども、優勝という形で終われて、やってきたことが実ったと感じています」と感慨深げに語った。
指揮官には「今、監督になってもいい」と言われるほどの信頼感と、キャプテンシーを持つ福井。明治神宮大会では、2008年の東洋大以来史上6度目の“4冠”へ、チームを引っ張る。
(Full-Count 上野明洸)