2021年10月27日、東京六大学野球秋季リーグの第6週4日目が行われ、明大と法大は両者で得点を奪い合い6対6で引き分け。明大は4勝2敗4分の勝ち点6、法大は1勝3敗6分けの勝ち点4 でそれぞれ今季のリーグ戦を終えた。【前日に大きな悔しさ…

 2021年10月27日、東京六大学野球秋季リーグの第6週4日目が行われ、明大と法大は両者で得点を奪い合い6対6で引き分け。明大は4勝2敗4分の勝ち点6、法大は1勝3敗6分けの勝ち点4 でそれぞれ今季のリーグ戦を終えた。

【前日に大きな悔しさを味わった上田が同点打を放った】

 前日の1回戦で、9回裏二死満塁同点の場面で空振り三振に倒れ、最後の打者となってしまった明大の4番・上田希由翔(2年・愛産大三河)が9回表に意地の同点打を放って敗戦間際のチームを救った。

 前日の試合で明大は優勝の可能性が消滅。「あそこで打っていれば、まだ優勝の可能性があったので本当に悔しくて」と落ち込んでいたが、先輩たちからの「下を向いている時間は無い」との声にも励まされ、今季最終戦に臨んだ。

 第4打席までは無安打だったが「何か1つでも勝利に貢献したかった」と入った最終打席で、法大・三浦銀二(4年・福岡大大濠/DeNAドラフト4位指名)から右中間へ運ぶ同点のタイムリー二塁打を放ち塁上でガッツポーズを見せた。

 高校時代には侍ジャパンU-18代表の国際大会対策研修合宿にも招集され、明大でも将来を嘱望される存在。それだけに今年は不動の4番打者として起用され続けてきた。その中で主将を務める丸山和郁(4年・前橋育英/ヤクルトドラフト2位指名)の「私生活から真剣に野球に向き合っていました」という姿勢から大きな刺激を受けたといい、「僕はまだ甘い部分があるので、もっとしっかりとやっていきたいです」と、さらなる飛躍を目指していく。

 学生野球最後の試合となった4年生たちは様々な表情を見せた。丸山は涙が止まらず「コーチ時代からずっと野球を教えてもらい、苦しい時には一緒に練習も付き合ってもらいました」と田中武宏監督への感謝の思いがあふれた。また主将として当初は迷いもあったが、田中監督から「自分の色に染めていけ」と言われたことで迷いが消え、前橋育英時代から大切にしてきた凡事徹底の精神をチームに浸透させた。プロ野球の世界では「明治の看板を背負って、恥ずかしくない行動をしていきたいです」と母校愛を胸に戦うことを誓った。

 前日に続き勝ちきれず、今季6回目の引き分けに終わった法大は、前日の最終回に続く登板で先発となった山下輝(4年・木更津総合/ヤクルトドラフト1位指名)が5回途中2失点で降板と流れを作れず。7回に岡田悠希(4年・龍谷大平安/巨人ドラフト5位指名)の同点打などで勝ち越すも7回途中から登板していた三浦銀二(4年・福岡大大濠/DeNAドラフト4位指名)が最終回にリードを守りきれなかった。

 主将を務める三浦はシーズンを通して「勝利に届きそうで届かなかった試合がいくつもありました」と悔しそうに振り返り、プロに進むにあたっては「冬の間にレベルアップをして開幕一軍に残れるようにしていきたいです」と決意を新たにした。

 ともに優勝の可能性は潰えていたが、それぞれが目の前の一球に全力を尽くして熱戦を繰り広げ、来年以降に繋がる大きな一歩になったようだった。

【今季苦しんだ岡田だったが最終戦でなんとか打率を2割に乗せてシーズンを終えた】

【走攻守三拍子揃った外野手としてプロの世界でも活躍を狙う丸山】

■明治大vs法政大2回戦
明大 100 010 301=6
法大 000 004 200=6
【明】竹田、藤江、高橋、西城、村田-蓑尾
【法】山下輝、扇谷、武冨、三浦、-村上

◎明大・田中武宏監督
「引き分けが今季は4試合もあり、“あと1球”という課題が最後まで残りました。4年生たちと4年間野球ができて楽しかったです。高校時代から見てきた選手たちなので、その思いが強いです。丸山も彼の色に染まったチームにしてくれました」

◎法大・加藤重雄監督
「(新型コロナウイルスの集団感染でリーグ戦の参加が遅れ)ご迷惑をおかけしました。スケジュール変更をしてまで試合をすべてさせていただいて、お詫びと感謝の気持ちです。(6個の引き分けがあり)もう一歩攻撃が足りなかったですし、負けない粘り強さもありました。粘り強さに関しては、三浦と山下を中心によくやってくれました」

【三浦は50試合上がった神宮球場のマウンドについて「特別な場所。ずっといたいと思える場所でした」と感慨深く語った】

文・写真=高木遊