第5回に登場するは、ここまで漕艇部を率いてきた宇野聡恵主将(スポ4=大分・日田)と、同じ舵手なしクォドルプルに出場する…
第5回に登場するは、ここまで漕艇部を率いてきた宇野聡恵主将(スポ4=大分・日田)と、同じ舵手なしクォドルプルに出場する中尾咲月(スポ3=三重・津)だ。女子対校である本種目に出場するお二人に、日本一への想い。そして最後のレースへの想いを伺った。
※この取材は10月17日に行われたものです。
メンバーと楽しくレースを

主将として名実ともに漕艇部を引っ張ってきた宇野主将
――まず初めにですが、この夏に東京五輪が開催されました。みなさんは寮などで五輪をご覧になりましたか
宇野 見ていました! ここでも、ボートの中継を監督さんが繋げてくれていたので見ている人は多かったと思います。何時からだよって教えてくれていたので、練習終わりに試合を見始めたらずっと見ているって感じでしたね。
――そんな東京五輪で、ボートに限らず印象的だったシーンはありますか
中尾 私は女子バスケをけっこう見ていました。準々決勝のベルギー戦で、最後の最後で3Pが決まり逆転した瞬間は鳥肌が立ちましたね。
宇野 同じスポ科の友達が出場していて、遠いと感じていたオリンピックの舞台で、知っている選手が頑張っている姿に、勇気づけられました。
――その出場された方はどなたですか
宇野 授業や実習で同じになったこともある、須崎さん(優衣、スポ4=千葉・安部学院)や山内さん(大夢、スポ4=福島・会津)です。スポーツ実習でへたっぴなサッカーを一緒にしたこともあります(笑)。
――また漕艇部OGである大石綾美さん(平26スポ卒=愛知・猿投農林)が出場されましたが、今でも交流はありますか
宇野 戸田にはあまりいないので、一緒に漕いだり、艇庫に頻繁に来てくださることまではないのですが、とてもフレンドリーな方で会った時には、優しく接してくださります。
――ありがとうございます、本題に入っていきましょう。そんな東京五輪もあった夏でしたが、早慶レガッタ以降の春夏とどのように過ごされてきましたか
宇野 当初は9月に向けてやってきましたが、1か月の延期となりました。それでもこの期間があったからこそ、シート順やメンバー編成などでブラッシュアップをすることができました。またお互いに意見を言い合えるようになったので、船の上でもすぐに意見交換をするようになりました。
中尾 長いシーズンとなり、ずっと一緒に練習してきましたが。その期間の分だけクルーの距離も縮まってきたと思います。初めの頃は言いにくかったことも、今ではすっと言えるようになっていますし、技術的にも精神的にもいい形のクルーができていると思います。
――意見交換もしながらという中で、特にこの夏に取り組まれてきた課題などはありますか
宇野 各々の技術力がないということではなく、1人ずつで乗っていた期間が多かったり、今までで一緒に乗ったことがないメンバーなので、4人の漕ぎのスタイルを合わせることに注力をしてきました。
――一緒に漕ぎ始めたのはいつ頃からですか
中尾 6月末、7月頃からですね。
宇野 6月の早明中タイムトライアルでは他のメンバーとクォドに乗っていたりと、今のメンバーにおいては2、2で分かれていたような感じですね。ケガなどもあって現メンバーで漕いでいるのは、今から3週間前からになります。
――早慶レガッタの時と比べて、ここが違うなという点はありますか
宇野 そうですね・・・スカル種目とスイープ種目という違いがありますね。
――早慶レガッタではスイープ種目のエイト、今大会はスカル種目の舵手なしクォドルプルで出場されるということで、具体的にどのような点が異なるのか教えていただけますか
宇野 スカル種目は1人2本ずつオールを持って、スイープ種目は両手で1本を持って漕ぎます。スカルの方は1本が軽くてオモチャみたいなオールです(笑)。ブレードの大きさから全く異なります。
中尾 全然違いますよね。
宇野 スカルは左右にオールを持つことから、1人でバランスをとりやすいのですが、その分、漕ぎを合わせるのが難しかったり。
中尾 それでもスイープの方は、1人1サイドになるので、2人で1セットのようにして、左右の動きを合わせるという難しさがあります。
宇野 それとスイープの方が、写真撮った時にかっこいいんですよ!
中尾 エイトは特にかっこいいです!
――続いて全日本選手権兼全日本選手権に向けて伺っていきます。宇野主将は1年時から全日本大学選手権(インカレ)で優勝もされていますが、ご自身にとってインカレとは、どのような大会でしょうか
宇野 私は試合が好きなので、インカレや全日本でもメンバーと楽しくレースをしていると思います。1年生の時からクォドに乗らせてもらっていて、1年生では何もわからない挑戦って感じでしたが、2、3年生においても自分たちのベストを更新していけるようにと、チャレンジしてきた試合と思います。
中尾 1、2年は舵手付きフォアで出場してきました。1年の時はスイープ種目の経験があまりない中であったので、チャレンジの意味が大きかったです。2年目ではリベンジしたいところだったのですが、あまり達成できずという感じです。今年は舵手なしクォドで大きく種目は異なりますが、女子の対校として、チームの結果に大きく影響するので、責任感を持って臨みます。
――2年生のインカレを終えてからは、舵手なしクォドルプルでの出場を目指してこられたのですか
中尾 2年の付きフォアが終わった時には、このリベンジを来年したいという気持ちもありましたが、女子としての対校はクォドなので、クォドに乗りたいという気持ちもありました。当時は半分半分ぐらいであったと思います。
――今年はインカレと全日本の延期、そして併催という形になりました。選手として、そのような発表があった際には不安や戸惑いはありましたか
中尾 不安というよりは、その時クルーの完成度が高くなかったので、延期になったことで練習できる期間が増えまだ完成度を高められるという安心の方が大きかったと思います。
宇野 若干の不安はありましたが、ポジティブに捉えることができたと思います。できることが増えたからには今ある課題をどうしようか、という雰囲気があったと思います。
――併催という形式というところで、例年にはない難しさがありますか
中尾 それはありますね。兼任は初めてですし、インカレで優勝という時に、社会人にも勝たなければ1位になれないレースなので。
宇野 全日本ではエイト、インカレではフォアというように種目変更する予定だったメンバーもいますが、私たちは最初から全日本とインカレではクォドで出場することが決まっていました。この部分では、大会は合体となりましたが、狙うことや、やるべきことに変わりはなかったかなと思います。
――またこの延期に伴い、昨年に引き続き新人戦がなくなってしまいました
宇野 1、2年生のみが出場できる新人戦は、同期と一緒に乗れるチャンスです。それがなくなってしまったことは残念ですが、その分1、2年生もインカレにかけてくれればと思います。多くの女子はインカレにも出られるので、その分ここで頑張ってもらえたらと思います。
――今回お二人が出場する、舵手なしクォドルプルはどんな雰囲気や特徴のあるクルーですか
中尾 ワイワイ?
宇野 うるさいよね(笑)
中尾 いい意味で学年を超えて。
宇野 後輩だからといってすごい気を遣うわけでもなく、後輩からもアドバイスをくれます。いい意味で友達って感じです(笑)。メリハリもあると思います。陸にあがるとキャーキャーしていますが、船の上では真剣に良くしていこうと向き合っています。
――そんなクォドとしての目標を教えてください
宇野 インカレ優勝はもちろんで、全日本でもメダルを取りたいと思います。表彰台に乗りたいですね。
――女子全体としてはいかがですか
宇野 各々がしっかりと目標を持って取り組んでいるので、各クルーが達成してくれると思います。私たちは私たちで女子の対校、クォドととして優勝したいと思います。
気持ちでは負けないように

和やかにインタビューに答える中尾選手
――ここで宇野主将にここまでの4年間について振り返っていただきたいと思います。様々なことがあったと思いますが、どんなことに苦労をしたなと振り返りますか
宇野 波はあったのですが、1年生の最初の時は分からないことも多くて。どうやって先輩たちについていったらいいかであったり、練習スタイルや生活スタイルに少し戸惑った部分がありました。あと先輩と乗っていることが多かったので、主将になった時に後輩や同期と乗るときの接し方に苦労しました。
――お二人を見ていると、後輩と先輩の関係性がとても良いと感じるのですが、なにか心がけていることはありますか
宇野 私はそんなないです。後輩がいい後輩なだけです(笑)。
中尾 私は基本的に人が好きなので、だれと話すときも同じ距離というか、年上だからとか、年下だからとか考えているわけではないです。そんな感じかな。
――また大変だった時期に支えになっていたことはありますか
宇野 後輩や同期がしっかりレスポンスしてくれるので、そういった面では一人じゃなかったという部分は大きかったのではないかなと思います。監督も相談にのってくれて、いいアドバイスをくれました。悩んだり、うまくいかないことがあったりしましたが、長期的に悩むというよりも、その日その日で悩みがあったくらいです。私は寝たらどうでもよくなるというか、ポジティブなのでそんなに深刻に悩むことはなかったです。
――それでは4年間で一番良かったことやうれしかったことはどんなことですか
宇野 やはり優勝した瞬間が一番良かったかなと思います。練習がきつかったり遊びに行きたいなとか、眠いなと思うこともあったりしたのですが、そのことも試合で優勝したらどうでもよくなるじゃないですけど。よかったなと思うのでそれが一番いい瞬間だし、その瞬間を味わいたいからこそ頑張っていたって感じです。
――とても難しい質問にははなってしまうのですが、何を得た4年間だなって思いますか
宇野 強くなれたかなと。人に揉まれ練習に揉まれという、他の人からしたらなんでそんなきついのにやっているのという感じかもしれませんが、その中で先輩や後輩との楽しい思い出だったり勝てる瞬間があるから、苦しいことにも耐える力も得たし楽しかったという感じかな。何を得たというより、楽しかったしメンタル面でも成長できたし強くなれました。
――一方で中尾さんは3年生となり、高学年として変わったなと思うことはありますか
中尾 3年生は下級生の指導係というか、1、2年生の時に先輩が色々教えてくれていたことを自分たちがやらなきゃいけないです。後輩に目を配るとかあまり普段話せない他の船に乗っている後輩とも、女子部屋とかで話して情報を得て、声をかけて後輩を支えられるように心がけています。
――また4年生の先輩方はどんな方たちですか
中尾 先輩後輩という感じはなくて、みんな個性があって距離が近いと思います。たまにご飯に連れて行ってくれたりと、コミュニケーションをたくさん取ってくれる、暖かい先輩方です。
――今回のインタビューも締めくくりになってきました。1か月以上延期になった今大会ですが、今回の取材日からあと10日ほどとなりました。練習面や精神面でのつめるべきところを教えてください
中尾 私は、今までのインカレもあまりいい結果を残せていなくて女子の対校としての責任もありますし、個人的なことですが日本一をまだとったことがないので、今まで以上に気持ちを高めたいです。来年は引っ張っていく学年になるので、あと10日でできることは限られていますが、自分自身の課題を意識しながら、気持ちでは負けないように強気な気持ちで臨みたいです。
宇野 技術面では、4人で合わせるところをより高めていってロスを減らしていければいいかなと。気持ちの面では、いつも私たちが勝つのはラストスパートが多いのですが、そこってみんなきついので技術というより、勝利に対する意地やプライドの部分が大きいので、4人とも勝利にこだわる姿勢を大切に。そして対校で優勝をしたいという中でも、楽しんでいけるようなメンタルやチームの雰囲気づくりができたらいいなと思います。
――大会を終えた後、どのような姿でありたいですか
宇野 笑顔がいいな。
中尾 んー。
宇野 かわいいとか(笑)
中尾 かわいいって思われたいです(笑)。
――宇野さんは今回が競技に一区切りの大会ということになりますか
宇野 はい、最後のレースになります。
――では最後に大会に向けて、改めて目標と意気込みをお願いします
中尾 やはりインカレはもちろん優勝で、全日本では少しでも高い順位、メダルを目指して頑張りたいと思います。女子の対校として、後輩にも自分のかっこいい背中を見せられるように頑張ります。
宇野 目標は中尾と同じで、しっかり優勝と一つでもいい順位、どっちも優勝を目指して頑張りたいなと思います。最後のレースとなりますが、最後まで楽しんで後輩といいレースをして、最高の日本一の瞬間を味わいたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 永留琴子、樋本岳 写真 樋本岳)

◆宇野聡恵(うの・あきえ)(※写真左)
大分・日田高出身。スポーツ科学部4年。女子対校であるクォドルプルの看板を長年背負ってきた宇野主将。優勝した瞬間の喜びがあるからこそ、ここまで頑張ることができたということです。最後のレースでも楽しみながら、勝利の笑顔を咲かしてくれることでしょう!
◆中尾咲月(なかお・さつき)
三重・津高出身。スポーツ科学部3年。先輩後輩関係なく、誰とでも仲がいいと話してくれた中尾選手。1、2年時は舵手付きフォアでインカレに出場してきました。まだ取ったことがない日本一の座へ、ゴールまで「爆漕」します!