サッカーあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。まだ日本の年代別代表が世界大会の常連ではない頃から、世界を飛び回ってきた…

 サッカーあるところ、蹴球放浪家・後藤健生あり。まだ日本の年代別代表が世界大会の常連ではない頃から、世界を飛び回ってきた。赤道直下の国でも、タフに取材を敢行してきた。たとえ爬虫類が降りかかり、アクシデントに見舞われようとも……。

 去る10月10日の午後、JRの変電所の火災の影響で首都圏のJR各線が一斉に運転できなくなってしまうという事態が起こりました。

 停電といえば、2018年9月の北海道胆振東部地震の影響で北海道全土が停電する「ブラックアウト」が発生したのも記憶に新しいところです。森保一監督が日本代表(A代表)の監督に就任して最初の試合として2018年9月7日に予定されていたチリ戦が中止になってしまいましたよね。

 デジタル化が進んだ現代社会では、停電というのは社会全体に大きな影響を与えてしまいます。

 10月10日の事故の時、僕は味の素スタジアムにいたのですが、幸い味スタからはJRを使わずに帰宅できたので直接の影響は受けずにすみました。僕が停電で酷い目に遭ったのはエクアドルでのことです。今からもう26年も前のことですが……。

 1995年の8月、エクアドルではUー17世界選手権(現・Uー17ワールドカップ)が開催されていました。日本は1993年にこの大会を開催しており、この時は開催国枠で中田英寿などのチームが出場して準々決勝に進出し、この大会で優勝したナイジェリアに1対2で敗れていました。そして、1995年大会にはアジア予選を突破して本大会出場権を獲得しました。

 今では日本チームのワールドカップ出場は男女すべての年代別大会で当たり前のようになっていますが、このエクアドル大会は開催国枠としてではなく、日本が初めて予選を突破してFIFA主催の世界大会に出場した大会となりました(オリンピックはFIFA主催の大会ではない)。

 小野伸二や高原直泰、稲本潤一など未来のスター選手たちが目白押しというメンバーでしたが、なにしろ世界大会の経験がほとんどなかったので、選手たちは試合前のセレモニーなどに戸惑っているように見えました。結局、日本は1勝1分1敗。得失点差で開催国エクアドルに競り負けて3位でグループリーグ敗退となってしまいました。

■頭上から落ちてきた体調1メートルの爬虫類

 日本が所属していたグループAは首都のキトが会場でしたから、グループリーグの間、僕はキトに滞在していましたが、準々決勝のガーナ対ポルトガル戦を見届けた後、8月13日に太平洋岸の港町グアヤキルに移動しました。

「エクアドル」というのはスペイン語で「赤道」という意味です。エクアドルで赤道を見に行った話は「蹴球放浪記」の第62回「世界の中心で……何も叫ばなかったな」の巻でご紹介しました。

 首都のキトは、赤道直下でありながら標高2800メートルの高地にあるので、1年中快適な気候に恵まれていますが、太平洋岸のグアヤキルはもちろん海抜ゼロ・メートルの熱帯です。熱帯地域の低地は感染症などが多い場所だったので、南米の文明はアンデス山脈の高地に花開いたのですが、現在はキトよりもグアヤキルの方が人口が多くなっています(ともに約200万人都市)。

 気候はまったく違います。

 キトでは長袖を着ていても朝夕は肌寒さを感じていましたが、グアヤキルは1日中暑く、最高気温は38度くらいに達します。

 動植物もまったく違います。

 ある時、グアヤス川のそばの公園のベンチに腰かけていると、背後でドスンという音がしました。「何が落ちてきたのだろう?」と思って振り向くと、そこには体長1メートルほどのイグアナがいたのです。どうやら、木の上から落っこちてきたようです。それで、木の上をよく見てみると、同じような大きなのがウジャウジャたむろしていました。木の葉と同じような保護色だったので、気が付かなかったのです。

 イグアナといえばエクアドル領ガラパゴス諸島が有名ですが、イグアナは中南米各地の熱帯地方にいる爬虫類で、とくに珍しいものではありません(ガラパゴス諸島では各島に固有種が進化しているので有名なのです)。大きくてビックリしてしまいますが、大人しい草食動物なので危険はまったくありません。

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