7大会連続のW杯出場に向けて窮地に立たされていた日本代表。しかし、12日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア…

7大会連続のW杯出場に向けて窮地に立たされていた日本代表。しかし、12日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のオーストラリア代表戦では2-1と勝利。予選11連勝中と敵なしだったオーストラリアに土をつけた。

その舞台となったのは、埼玉スタジアム2002。今大会の最終予選で初めて日本のサポーターが集まり、1万4437人の後押しを受けて見事に勝利を収めた。

2002年の日韓ワールドカップに向けて建設された埼スタは、これまでも日本代表の試合で数々の名試合が行われた場所でもある。改めて、その歴史をまとめて見た。

◆20年目最後の日

埼スタのこけら落としは、2001年10月13日。J1リーグの浦和レッズvs横浜F・マリノスの一戦でスタートする。日本最大のサッカー専用スタジアムとして、浦和の本拠地としてだけでなく、日本サッカーを支える場所となって20年が経過。冒頭の日本vsオーストラリアの一戦は、奇しくも20年目最後の日に開催された。

日本代表の試合が初めて行われたのは、こけら落としからおよそ1年後の2002年11月20日。キリン・チャレンジカップのアルゼンチン代表戦だった。

エルナン・クレスポやファン・セバスティアン・ヴェロン、ハビエル・サネッティなど、当時の主軸が揃った一戦。日本は日韓W杯を戦ったメンバーが中心だったが、0-2で敗れた。

◆初勝利は2003年、その後“聖地”へ

黒星スタートとなった埼スタだが、その後はしばらく使われない。そして記念すべき初勝利は2003年12月7日。東アジアサッカー選手権2003の第2戦の香港代表戦だった。

大久保嘉人(セレッソ大阪)や遠藤保仁(ジュビロ磐田)らが出場した試合は、格下相手に1-0と薄氷の勝利。勝利へと導いたゴールは三都主アレサンドロが決めていた。

当時はかつての国立競技場が健在で、そちらをメインに日本代表の試合が開催。埼スタはメインとしてはあまり使われていなかった。

そんな中、埼スタが日本代表にとって重要な位置付けになっていったのがドイツW杯の予選。当時日本代表を率いていたジーコ監督は1次予選で6連勝を達成。そのうちの3試合が埼スタで行われたが、埼スタでの最初の予選勝利は、今大会で同組となっているオマーン代表。久保竜彦のゴールで1-0と勝利した。

そこから埼スタでのW杯予選連勝街道が始まると、ドイツW杯予選で合計5試合、南アフリカW杯予選で4試合、ブラジルW杯予選で5試合、ロシアW杯予選では9試合と毎年のようにW杯予選が埼スタで行われ、大会を追うごとに開催試合数が増えているのがわかる。

無敗を継続した日本は、引き分けも2008年のウズベキスタン代表戦と2015年のシンガポール戦の2 試合のみ。埼スタでの試合は勝利するという空気感も連勝街道を後押ししたはず。負けられないW杯予選での使用回数が増えたのも納得だろう。

そんな埼スタで初めて黒星を喫したW杯予選は、2016年9月1日に行われたロシアW杯アジア最終予選初戦のUAE代表戦。本田圭佑のゴールで先制した日本だったが、その後の2失点で1-2で敗れた。W杯予選においては、この試合が唯一の埼スタでの黒星となっている。

◆勝率8割超の“劇場型スタジアム”

12日に行われたオーストラリア代表戦も、最終予選初出場の田中碧が代表初ゴールで早々に先制し、PKを与えたシーンもVARチェックでFKに変更。運も味方したかと思った瞬間にFKを叩き込まれ、追いつかれる展開に。攻めあぐね、引き分けもチラついた中で、相手のオウンゴールで劇的勝利を収めた。

埼スタではこれまで数多くのドラマが生まれており、2016年10月6日のイラク代表戦では、UAEに敗れた次のホームゲームで、追いつかれて1-1のドローに終わると思われた後半アディショナルタイムに、こぼれ球をMF山口蛍がダイレクトで蹴り込み劇的勝利を収めたことは記憶にあるだろう。

2011年9月2日に行われたブラジルW杯アジア3次予選では、現キャプテンのDF吉田麻也が後半アディショナルタイムにヘディングシュートを叩き込み、1-0で勝利を収めていた。

2008年6月22日に行われた南アフリカW杯アジア3次予選のバーレーン戦も、90分に内田篤人のゴールが決まり1-0の勝利。土壇場での勝利が多いのも“聖地”ならではかもしれない。勝ってはいないが、2013年6月4日、ブラジルW杯最終予選のオーストラリア戦も、終盤に先制を許して敗色濃厚の中、90分に本田がPKをど真ん中に蹴り込み、引き分けに持ち込んでW杯出場を決めた。

ファンの熱気も高まる埼スタは日本代表にとっての“聖地”となり、これまでのW杯予選での戦績は25試合を戦い、21勝3分け1敗で勝率は驚異の84%を誇る。日本に敗れたオーストラリアのグラハム・アーノルド監督は敗因について「何が違ったかというと、大勢のファンがいたことだと思う。日本はこの3試合それがなく、今回の試合に関して日本はエネルギーを必要としていた。それを味方にできたと思う」と語っていた。相手にとっても、嫌なイメージがあるスタジアムとなっている。

◆“聖地”が使用できないピンチが?

カタールW杯アジア最終予選の残りのホームゲームは3試合。中国、ベトナム、サウジアラビアとの試合が残っている。いずれも試合は2022年に入ってから。日本としてはこの3試合も、勝率8割超えの埼スタで行いたいところだろう。

しかし、埼スタは来年3月までに大規模な芝の張替えを計画。最終予選の日程と重なっており、日本代表だけでなく、本拠地とする浦和も使用が難しくなっている。

データだけを見れば勝率8割超え。5試合を戦えば4勝できると考えれば、残りの3試合も勝利する可能性が高く、そうなればW杯出場へ大きな後押しになるのだが、ピンチが訪れることとなった。JFAの田嶋幸三会長も「何とかできないかお願いしていきたい」と語っており、使用できるかは不透明。これからも埼スタが日本代表の心強い味方になれるのか注目だ。

★埼玉スタジアム2002でのW杯予選結果

◆ドイツW杯(2006)

・1次予選

【2004年】

2月18日

日本 1-0 オマーン

久保竜彦(93分)

6月9日

日本 7-0 インド

鈴木隆行(17分、54分)

福西崇史 (25分、60分)

中村俊輔 (29分)

中澤佑二 (65分、76分)

小笠原満男 (68分)

11月7日

日本 1-0 シンガポール

玉田圭司(13分)

・最終予選

【2005年】

2月9日

日本 2-1 北朝鮮

小笠原満男(4分)

大黒将志(90+1分)

3月30日

日本 1-0 バーレーン

オウンゴール(71分)

◆南アフリカW杯(2010)

・3次予選

【2008年】

2月6日

日本 4-1 タイ

遠藤保仁(21分)

大久保嘉人(54分)

中澤佑二(66分)

巻誠一郎(90+1分)

6月22日

日本 1-0 バーレーン

内田篤人(90分)

・最終予選

【2008年】

10月15日

日本 1-1 ウズベキスタン

玉田圭司(40分)

【2009年】

3月28日

日本 1-0 バーレーン

中村俊輔(47分)

◆ブラジルW杯(2014)

・3次予選

【2011年】

9月2日

日本 1-0 北朝鮮

吉田麻也(90+4分)

・最終予選

【2012年】

6月3日

日本 3-0 オマーン

本田圭佑(11分)

前田遼一(51分)

岡崎慎司(54分)

6月8日

日本 6-0 ヨルダン

前田遼一(18分)

本田圭佑(21分、30分、53分)

香川真司(35分)

栗原勇蔵(89分)

9月11日

日本 1-0 イラク

前田遼一(25分)

【2013年】

6月4日

日本 1-1 オーストラリア

本田圭佑(90+1分)

◆ロシアW杯(2018)

・2次予選

【2015年】

6月16日

日本 0-0 シンガポール

9月3日

日本 3-0 カンボジア

本田圭佑(28分)

吉田麻也(50分)

香川真司(61分)

【2016年】

3月24日

日本 5-0 アフガニスタン

岡崎慎司(43分)

清武弘嗣(58分)

オウンゴール(63分)

吉田麻也(74分)

金崎夢生(78分)

3月29日

日本 5-0 シリア

オウンゴール(17分)

香川真司(66分、90分)

本田圭佑(86分)

原口元気(90+3分)

・最終予選

【2016年】

9月1日

日本 1-2 UAE

本田圭佑(11分)

10月6日

日本 2-1 イラク

原口元気(25分)

山口螢(90+5分)

11月15日

日本 2-1 サウジアラビア

清武弘嗣(45分)

原口元気(70分)

【2017年】

3月28日

日本 4-0 タイ

香川真司(8分)

岡崎慎司(19分)

久保裕也(62分)

吉田麻也(83分)

◆カタールW杯(2022)

・2次予選

【2019年】

10月10日

日本 6-0 モンゴル

南野 拓実(22分)

吉田 麻也(29分)

長友 佑都(33分)

永井 謙佑(40分)

遠藤 航(56分)

鎌田 大地(82分)

・最終予選

【2021年】

10月12日

日本 2-1 オーストラリア

田中碧(8分)

オウンゴール(86分)

【動画】2年前は埼スタでどこと戦った?日本代表がゴールショー

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