3月23日、東京・辰巳の森海浜公園ラグビー練習場。代表チームを底上げするナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の第3回キャンプが大詰めを迎え、練習内容がタフになっていた。 実戦形式セッションの強度は高まる。守備の連携確認とシャト…

 3月23日、東京・辰巳の森海浜公園ラグビー練習場。代表チームを底上げするナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の第3回キャンプが大詰めを迎え、練習内容がタフになっていた。

 実戦形式セッションの強度は高まる。守備の連携確認とシャトルランを交互におこなうメニューも組まれた。

「(激しいぶつかり合いを)久しぶりにやった割には、結構、動けている」

 こう口を開いたのは、松島幸太朗だった。2016年度は日本代表の正FBとして活躍した24歳だ。

 身長は178センチと決して大きくはないが、バネとフットワークを活かして楕円球界を席巻。神奈川・桐蔭学園高を出ると南アフリカへ渡り、スーパーラグビーに参加するシャークスのアカデミーで経験を積んできた。

 サントリーで戦ってきた国内シーズンの最中から、筋量のアップに挑戦している。試合期とあって81キロとしていた体重を、いまでは公式記録に「87キロ」と書くほどに増やしていた。列強国の防御に、強いインパクトを示すためだ。

 以前から「体重を上げた時は疲れが出ることが多いのですが、いまは疲れにくくなってきた」と、肉体改造に手ごたえを感じてきた。ハードな練習があったこの日は「疲れが出てきている」としたが、それも想定内といった口ぶりだ。

「慣れていければ。今回はずっとしんどい状況を作る練習だったので、疲れるのはしょうがない、と」

 今季は、3季連続でスーパーラグビーに挑む。ワラターズ、レベルズに次ぐ3つ目のチームに選んだのは、日本のサンウルブズだった。松島は海外からのオファーも受けていたが、2019年のワールドカップ日本大会に向けサンウルブズ入りを決めていた。

 サンウルブズは、代表チームとの連携に注力。フィロ・ティアティア ヘッドコーチ(HC)のもとへ、ジェイミー・ジョセフHC率いる日本代表のスタッフをずらりと並べる。松島は、現体制の求めるプレースタイルをより深く理解したいという。その思いを「頭を慣らすために」と説明したこともある。

 もっともサンウルブズのジャージィへは、いまだに袖を通していない。

 関係者らとの話し合いを経て、2月中旬から約1か月の休養を取得。リフレッシュとさらなるウェイトアップに時間を割き、3月はジョセフHCの仕切るNDSに加わっていた。サンウルブズは目下、開幕5連敗中。4月8日には東京・秩父宮ラグビー場でブルズを迎え撃つが、初勝利に向けて松島の復帰も待たれている。

 当の本人は、力強く応じた。

「僕自身はそこをターゲットにして、そこに出るという気持ちで…意識しています」

 チームはバイウィーク(試合のない週)を経て、2日に集合。バージョンアップした走り屋は、姿を見せるだろうか。(文:向 風見也)