日本中に勇気を与えた東京五輪。ただ、女子ボクシングフライ級銅メダリストの並木月海選手(23)は当初、準決勝でブルガリアのストイカジェリアスコバ・クラステバに敗れたことをすぐには受け入れられなかったという。 「負けた直後は悔しくて。あんまり…
日本中に勇気を与えた東京五輪。ただ、女子ボクシングフライ級銅メダリストの並木月海選手(23)は当初、準決勝でブルガリアのストイカジェリアスコバ・クラステバに敗れたことをすぐには受け入れられなかったという。
「負けた直後は悔しくて。あんまり銅メダル、嬉しくないという気持ちではあったんですけど」
(c)自衛隊体育学校
そこで並木の気持ちを変化させたのはある言葉が大きかった。
「みんなが誇りに思うよと言ってくれて。たくさんの方々におめでとうと言ってもらえて本当に幸せと感じるようになりました。周りの方々の支えでこのオリンピックの舞台に立つまでにすごく頑張ってきた。それを全て否定するのは違うんじゃないかと思えるようになって、この銅メダルも誇りに思えるようになりました」
周囲の人々の言葉で自分の歩んできた道を冷静に振り返ることができたというのだ。
金メダルに輝いた入江聖奈選手と共に一躍、女子ボクシングが脚光を浴びている。この点についても自身の役割を自覚している。
「2人でメダルを取って、(女子ボクシングが)今まで以上の注目を集めていると思うんですけど、それが持続するかはこれから自分たちがどれだけ結果を出せるかにあると思うので。今のままが続くというのは考えてなくて。結果なり何なりで色々な方々に応援してもらえるような、ボクシング、働きをしたいなと思いますね」。
そして、今や「カエル女子」としても人気急上昇中の入江選手についても、どう見ているのか、この点についても率直に語ってくれた。
「お互いマイペースというか、リズムを持っている。海外の試合で一緒の部屋になることも多いので、リズム感が分かっている。今まで通りという感じですね」
現在は階級も分かれているが、かつては同じ階級だったこともある。それでも同志のような意識が強いという。
「階級同じだったときは高校生の頃だったので特にライバルというわけでは全然なくて、自分がライバルとして見ているというよりは、一緒に戦っている仲間という形で。入江以外の代表選手メンバーもすごく支えてくれて、チーム一丸となって、このオリンピックを迎えられた。そういうメンバーの中の仲間という形です」と語った。
また女子ボクシングといえば、「サンデーモーニング」の張本勲氏の発言も最近では注目を集めた。先月8日に行われた放送の中で同氏が金メダルを獲得した入江選手について「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。どうするのかな、嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って」などと発言。これが女性蔑視にあたるとして物議をかもし、その後、番組内の謝罪につながった。この点についても並木の受け止め方は冷静だった。
「私自身は特に何とも思ってないです。それにやはりなじみのないモノには抵抗があるというか、女子ボクシングを知られていない自分たちが悪いというか。レスリングとか柔道とか行っている女子選手に対してはそういうことは言わないじゃないですか。そのためにもこれから女子ボクシングがなじみのあるものになっていけばいいなと思います」と言葉に力を込めた。
以前は知名度が低かった女子レスリングや女子柔道に関しても、吉田沙保里が五輪三連覇を成し遂げたりなど、各選手が結果を残していくことで道を切り開いてきた歴史がある。自身が率先して結果を残し、女子ボクシングをこれまで以上に発展、普及させていくことで今回のような発言をなくすことにつながっていくと考える。
今後の道も少しずつ見えてきた。まずコロナが収束したら1番に取り組みたいことは支えてくれた人々に感謝の気持ちを伝えること。
「コロナ禍でもこの1年間、すごく地方の方々が合宿なども協力してくださったので、落ち着いたらイベントなども開いて、色々な方々にボクシングに触れ合える機会を作って頂けたらなとは考えています」
困難な状況下でも五輪を目指せたのは周囲の支えがあってこそ。直接お礼を伝えると共にボクシングに親しんでもらいたいと願っている。
さらに自身の競技生活については「パリ五輪というとこまではまだ見ていなくて、考えられていないというのが正直なところなんです」と率直に語る。その上で「今は世界一を目標に考えているので、毎年ある世界大会だったり、色々な世界大会で結果を残していって、それをやっている間にパリを目指したいと思えば、しっかりパリを目指していきたいと思っています」と前を見据えた。
女子ボクシングをさらにメジャー化したい。大きな夢に向かって、並木は歩みを止めることはない。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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