女子バレー日本代表石川真佑が振り返る東京五輪 後編 前編:悔やんだ韓国戦のあと1点>> 東京五輪を戦い終えた女子バレー日本代表メンバーは、それぞれの所属先に戻り、10月15日に開幕する「V.LEAGUE」の戦いに向けて調整を進めている。昨季…

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石川真佑が振り返る東京五輪 後編 前編:悔やんだ韓国戦のあと1点>>

 東京五輪を戦い終えた女子バレー日本代表メンバーは、それぞれの所属先に戻り、10月15日に開幕する「V.LEAGUE」の戦いに向けて調整を進めている。昨季の準優勝チームである東レアローズの若きエース・石川真佑は、東京五輪での経験を踏まえてさらなる成長を目指す。

 理想の未来像として思い描くのは、東京五輪の初戦でケガを負いながら、コートに戻りチームを牽引した古賀紗理那(NECレッドロケッツ)。石川が苦しい戦いの中で見た古賀のすごさとは。


東京五輪で死力を尽くした古賀紗理那(中央)と石川真佑(左)

 photo by AFP/AFLO

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――東京五輪が終わってから約1カ月が経ちました。大会後はどのように過ごしていましたか?

「チームに戻ってから会社や自治体の方々にあいさつをして、越谷章監督とも話をして、少しゆっくりする時間をもらいました。お盆が明けた頃からチームに合流して、別メニューで徐々に体を動かしています」

――今季のリーグに向けて、特に意識して高めていこうと思っているプレーなどはありますか?

「代表の時から意識していたことですが、まずはサーブレシーブを安定させること。それを含めた守備面は全体的に向上させたいです。攻撃の調子がなかなか上がらない試合などでも、守りで貢献できたらと思います。

 あとは自分のサーブの向上も必要ですね。東京五輪でも、特に後半はあまりよくなかった。有効なサーブになるかどうかは個人の技による部分が大きいので、どういう状況であってもしっかりいいサーブを打ち続けられるようにしたいです」

――東京五輪は苦しい戦いが続きましたが、その中で個人的に手応えを掴めた点はありますか?

「ベストな状態で臨んできた海外チームのブロックはすごく高かったですが、被ブロックの回数はそこまで多くなかったように思います。高いブロック相手には、手に当てて外に出すといったことが必要になりますが、ワンタッチされたボールが自分たちのコートじゃなく相手のコートに落ちることも多かった。そこは手応えを感じたもののひとつです」

――10月15日に開幕するVリーグが、オリンピックで得たものを生かす場になると思います。昨シーズンはレギュラーラウンドを全勝で終えるも、ファイナルの決勝で敗れて準優勝。優勝するためには何が必要だと考えていますか?

「昨シーズン、レギュラーラウンドを全勝できたからといって、今年も同じように勝てることは絶対にないと思います。もちろん優勝のためにも、自分たちが去年よりもさらにチームにならないといけない。簡単なミスをなくして、すべてのプレーの精度を高めていかないといけません。昨シーズンから、『チームとして一体感を持って戦う』ことを目標にしてきましたが、今シーズンもそれを継続していきたいです」



リモートで取材に応じた石川

――さらにチームの一体感を上げるためには何が必要でしょうか。

「個人的には、プレーで引っ張ることも大切だと思っていますが、コミュニケーションが重要になると思っています。例えばプレーのあとに『今のは、自分はこうしようとしていたから、あなたはこうしてほしい』といったように、チームメイト同士で意思疎通がしっかりできるように、私も積極的に声をかけていきたいです。

 それは、東京五輪で紗理那さんが見せてくれた姿でもあります。ブロッカーとディグ(スパイクレシーブ)の連携でも、『あの選手は長いコースあるから、このゾーンを意識して拾っていこう』と指示をしてくれたり、攻撃では『相手ブロッカーのカンチャン(手と手の間)が開いているからそこを狙って』『今は自分の得意なコースに打っていいよ』と声をかけてもらえたことが、すごく助けになりました。

 時には細かい指示ではなく、『さあ、いこう』といった流れを持ってくるための声かけもありましたね。リベロのマコさん(小幡真子)も常にチームを盛り立ててくれました。私もそういう部分でチームを助けていけたらと思います」

――古賀選手は、東京五輪の初戦(ケニア戦)の途中で右足首を捻挫してしまいます。その瞬間のことは覚えていますか?

「初戦でしたから、『これからの試合、どうなるんだろう』ということが頭をよぎりました。それでも、試合の途中でしたから目の前の試合に集中しないといけなかった。次戦からは紗理那さんが一度チームを離れたので、私も『やらなきゃいけない』と強く思いました。

 第4戦の韓国戦で復帰した時も、コンディション的にはすごく難しかったでしょうね。それでもエースとして、チームを引っ張ろうという姿勢はすごかった。そういった部分を見習っていきたいです」

――古賀選手にアクシデントがあったことで、東レのチームメイトである黒後愛選手と共に大きなプレッシャーを背負って戦っていたと思います。東京五輪のことについて、黒後選手と話をすることもありましたか?

「個人的にいろいろと考えること、反省点などはあると思いますが、2人でオリンピックについて話をすることはまだないです。自分たちがVリーグで結果を出せた時に、あらためて振り返ることはあるかもしれませんね。とにかく今は、しっかり気持ちを切り替えて、昨シーズンにあと一歩で手が届かなかった優勝するための話をしていきたい。他のチームメイトも含めて、東レが勝つために全力を尽くしていきたいです」

@m_ish_0514