■8月29日/J1第27節 横浜F・マリノス0ー2鹿島アントラーズ(日産スタジアム) 29年続く唯一の“オリジナル10対…

■8月29日/J1第27節 横浜F・マリノス0ー2鹿島アントラーズ(日産スタジアム)

 29年続く唯一の“オリジナル10対決”を鹿島アントラーズが制した!
 川崎フロンターレとの首位争いを繰り広げる横浜F・マリノスのホームに乗り込んだ一戦は、トリコロール軍団が13戦無敗の勢いのままに序盤からボールを握って攻め込む展開となった。しかし、そんな攻撃を尻目に鹿島の若手が躍動。高卒2年目の荒木遼太郎が15分に先制ゴールを決めれば、この日、23歳の誕生日を迎えた上田綺世が30分に追加点をゲット。22歳のGK沖悠哉の好守などでマリノスの猛攻をシャットアウトし、完封勝利を収めたのだ。

 DF永戸勝也が試合後にピッチに倒れ込んだ姿が、いかに激戦だったかを表していた。試合終了を告げるホイッスルが鳴った時点で、永戸は足をつっていた。立ち上がることができず、DF犬飼智也に足を伸ばしてもらったうえで、立ち上がらせてもらったのだ。

 首位争いに食らいつこうとするマリノスの猛攻は強烈だった。立ち上がりからボールを握って、サイドから攻め込んだ。強烈なアタッカーをサイドにそろえるマリノスだけに、永戸やDF常本佳吾の守備がカギを握ることは分かっていた。

 試合後に相馬直樹監督が話した「マリノスさんの高い攻撃力に対して最後まで粘り強く体を張りつつ、そして助け合いつつ、ゼロ失点で、そして勝点3を持って帰ってきてくれた選手たちに感謝したい」という発言は、素直なものだったはずだ。

■GKからシュートまで10秒の速さ

「マリノスさんがボールを持ち、われわれが速く攻めるのを狙うという形」

 これは相馬監督が鹿島戦を総括した表現だが、この展開は想定内だった。だからこそ、序盤から鹿島の選手たちはあえてシンプルな選択肢を選ぶ場面が多かった。ボールを奪えば、最前線で待ち構える上田に対してロングボールを送り込んだのだ。マリノスが横幅を意識しながらゴールを狙ったのに対し、鹿島は縦への速さで仕留めようとしたのだ。

 その作戦を結果に結びつけたのはアウェイチームのほうだった。

 右サイドにいた上田目掛けて、GK沖がゴールキックを送る。上田が競ったもののそのまま流れたボールを回収したのは土居聖真。その土居がサイドを持ちあがってゴール前にクロスを送る。ボールは、マリノスのセンターバックの間に走り込んだ荒木に呼び寄せられるような軌道を描くと、13番の頭を経由してゴールネットを揺らしたのだ。ゴールキックからシュートまでわずか10秒。思い描いた通りの攻撃だった。

 30分に奪った追加点も、縦に早い攻撃によるものだった。マリノスが鹿島のペナルティエリア内とその近くに7人もの人数をかけて攻撃を仕掛けた場面が起点だ。MF三竿健斗がボールを奪うと、MFディエゴ・ピトゥカに素早くパス。ピトゥカは、マリノスの守備人数がすくないと見るやそのまま持ち上がる。マルコス・ジュニオールの寄せの甘さも手伝って、スピードに乗って右サイドをドリブルした。

■シュート3本のうち2本を決める

 そのピトゥカの動きに合わせて裏を狙ったのが上田だ。マリノス陣地の半分ほどでスピードを緩めたピトゥカが放ったスルーパスに18番が反応。DF畠中槙之輔を置き去りにしてGK高丘陽平と1対1に。これを冷静に決めたのだ。三竿が奪ってからシュートまで12秒。先制点同様のスピード攻撃だった。

「一番の狙いである“速く攻める”というところで、前半のうちに素晴らしい形で2点を取ることができた」

 相馬監督が明かしたように、鹿島の狙いは縦に速い攻撃だった。そしてそれを見事に結実させた。公式記録では、鹿島が放ったシュートはわずかに3本。しかし、その2つを決めたのだ。常勝軍団のしたたかさを感じさせる内容と結果だった。

 そしてそれを具現化したのが、期待の若手だった。しかも、それが生きるための選手編成で、鹿島は試合に挑んだのである。

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