第89回選抜高校野球大会(第5日)は24日、神戸国際大付(兵庫)が東海大福岡(福岡)に1-2でサヨナラ負けを喫した。エース左腕・黒田倭人(3年)が好投を演じたが、同点の9回1死一、二塁で併殺を狙った二塁手・後藤貴大(3年)が一塁へ悪送球し、…
第89回選抜高校野球大会(第5日)は24日、神戸国際大付(兵庫)が東海大福岡(福岡)に1-2でサヨナラ負けを喫した。エース左腕・黒田倭人(3年)が好投を演じたが、同点の9回1死一、二塁で併殺を狙った二塁手・後藤貴大(3年)が一塁へ悪送球し、サヨナラエラー。まさかの形で姿を消した。
■二塁手の悪送球でサヨナラ負け…166センチ左腕・黒田、悔やんだ自分のミス
第89回選抜高校野球大会(第5日)は24日、神戸国際大付(兵庫)が東海大福岡(福岡)に1-2でサヨナラ負けを喫した。エース左腕・黒田倭人(3年)が好投を演じたが、同点の9回1死一、二塁で併殺を狙った二塁手・後藤貴大(3年)が一塁へ悪送球し、サヨナラエラー。まさかの形で姿を消した。
歓声は一転、悲鳴となった。1-1で迎えた9回1死一、二塁のピンチ。カウント2-2から背番号1の黒田が投じたこの日117球目、チェンジアップを相手の橋本はひっかけた。打球は遊撃正面のゴロ。球場の誰もが併殺、延長戦突入を予感した瞬間、マウンドで振り返った黒田の視界に、まさかの光景が飛び込んできた。
遊撃手の田淵が捕球し、二塁へ転送。一塁走者を封殺したが、二塁手の後藤が転送したボールは一塁手の遥か頭上を越す暴投となった。一塁側ファウルゾーンを転々する間に二塁走者は生還。ピンチ脱出のはずが一転、サヨナラの悲劇となった。神戸国際大付ナインは茫然とグラウンド上に立ち尽くした。
兵庫県大会を制し、近畿大会は準優勝。堅守と強打で勝ち上がってきたが、7年ぶりの大舞台では自分たちのプレーができなかった。悪送球した後藤は「サヨナラというのが頭にあったので、どうしてもアウトにしたいと焦ってしまいました」と悔やんだ。
それでも、黒田は166センチの小さな体に“本当の敗因”を背負い込んだ。悔やんだのは味方のミスではなく、自分のミスだった。
■「今日はピンチでも落ち着いて投げられた。でも…」、黒田が悔やんだ1球とは
「今日はピンチでも落ち着いて投げられたと思います。でも、9回は普段は出さない四球を先頭で出してしまったことが悔しいです」
このイニングの先頭、5番の星野にカウント3-1から投じたストレートが高めに外れ、四球を出していた。5回以降は無安打投球。まして、9回表で無得点に終わり、延長戦でしか勝ちがなくなった直後、なんとしてもムードをもり立てたいところ。それだけに、先頭打者が重要になることを理解していたからだろう。サヨナラのリスクがつきまとう先攻で、不必要に四球を出した1球で、味方にプレッシャーを負わせたことを悔やんだ。
「(9回は)併殺を狙って低めに投げられた。粘り強くは投げられたと思います」
そう言って、前を向いた左腕に涙はなかった。試合には敗れたが、2ケタ10三振を奪い、6安打2失点と好投。地元の大声援を受け、ファンの記憶に残る熱戦を演じた。背番号1を背中に着ける者の矜持を示した黒田。春に得た苦い教訓を糧に、夏、もっと大きくなって再び甲子園に戻ってくる。