試合後、小久保裕紀監督が「ホームが遠い試合でした」と語るように、アメリカの小刻みな継投の前に、あと一本が出ず。侍ジャパンはアメリカに1対2で敗れ、準決勝敗退。2大会ぶりの世界一奪取はならなかった。侍ジャパンの先発は大会前から「エース」と小久…

試合後、小久保裕紀監督が「ホームが遠い試合でした」と語るように、アメリカの小刻みな継投の前に、あと一本が出ず。侍ジャパンはアメリカに1対2で敗れ、準決勝敗退。2大会ぶりの世界一奪取はならなかった。

侍ジャパンの先発は大会前から「エース」と小久保監督から評されていた菅野智之投手(巨人)。その菅野は「これまで図ってきた意思疎通が大一番でできました」と振り返ったように、小林誠司捕手のリードを生かした投球で3回を無失点に抑え、試合の流れを作った。

だが4回、これまで何度も二塁守備でチームを助けてきた菊池涼介内野手(広島)が正面のゴロを弾いてしまう。まさかのエラーで走者を二塁に進めると、2死まで奪うが、マッカッチェン外野手にレフト前タイムリーを浴びて先制を許す。

それでも侍ジャパンは6回、菊池がアメリカの2番手・ネイト・ジョーンズ投手の158km/hの球を弾き返し、逆方向のライトスタンドに飛び込む雪辱の本塁打を放って同点に追いついた。

7回からは菅野に代わり千賀滉大投手(ソフトバンク)が登板。するとMLBのスター選手を揃えたアメリカ打線から三者連続三振を奪う圧巻の投球を見せた。しかし8回、スタントン外野手から三振で1死を奪うも、クロフォード内野手にヒットを浴びると、続くキンズラーに0ボール2ストライクと追い込みながらも、スライダーが甘く入り左中間を破る二塁打を打たれてしまう。

1死二、三塁のピンチを迎えると、続くアダム・ジョーンズ外野手を初球のストレートで詰まらせ、打球は三塁前に転がり三塁走者も本塁へ。本塁送球かと思われたが、松田宣浩内野手(ソフトバンク)が痛恨のファンブルで、やむなく一塁へ送球。結局、この生還を許した走者が決勝点となった。

写真提供=Getty Images

反撃を試みたかった侍ジャパンだったが、8回は2死一、二塁から登板した変則右腕のニシェク投手の前に筒香嘉智外野手(DeNA)がライトフライに倒れた。そして9回は守護神・グレガーソンが三者凡退に抑えられ、ゲームセット。アメリカが史上初となる決勝戦進出を決めた。

一方、2大会ぶり3度目の優勝を狙った侍ジャパンは前回大会に続き、準決勝敗退という結果となった。大会前から小久保監督が「日本の投手力の高さを見せたい」と言っていた通りの試合はできたが、世界一奪還の夢は次回以降に持ち越された。

小久保裕紀監督

「投手は本当によく投げてくれました。打者はなかなか芯でボールをとらえきれずに、ホームが遠い試合でした。守備のミスは出ましたが責められません。シーズン前のリスクがありながら、侍ジャパンのユニフォームに袖を通してくれた選手たちに感謝したいです。選手たちはよくやってくれました」

文・高木遊