8月9日に開幕する第103回全国高校野球選手権大会。風間球打(ノースアジア大明桜)という目玉選手が出場する一方で、群雄…

 8月9日に開幕する第103回全国高校野球選手権大会。風間球打(ノースアジア大明桜)という目玉選手が出場する一方で、群雄割拠の地方大会で敗れ去った逸材もいる。残念ながら大舞台に立つことは叶わなかったものの、ドラフト戦線に影響を及ぼしかねない20選手を紹介していこう。

 今年の高校生投手は現段階で4人の右腕が突出している。前出の風間に加え、小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、森木大智(高知)。それぞれに個性が異なり、優劣をつけるのは難しい。それだけに今夏のアピールが重要だったのだが、風間を除く3投手は甲子園に出場できなかった。



今年春のセンバツに出場した市和歌山のエース・小園健太

 小園は今春の選抜高校野球大会(センバツ)で県岐阜商の強打線を4安打完封に抑えるなど、高い制球力と投球センスを発揮。その反面、球威の物足りなさを指摘するスカウトもいた。

 春夏連続甲子園出場を目指した今夏、和歌山大会決勝で立ちはだかったのが名門・智辯和歌山だった。昨秋は市和歌山が3連勝した相手だったが、今夏は1対4で完敗。小園は8回を投げ、被安打7、奪三振0、与四死球5、失点4。投打にタレントを擁し、走攻守に鍛え込まれた智辯和歌山に屈する形になった。

 達は今春のセンバツで大ブレイク。身長193センチ、体重85キロの立派な体躯から最速148キロを投げ込み、そのポテンシャルは底知れない。だが、センバツでベスト4に進出した代償として左脇腹を負傷。春の県大会後には右ヒジ炎症もあり、今夏は背番号11で迎えた。

 奈良大会準決勝の高田商戦では試合中盤からリリーフするも、波に乗り切れず守備陣の乱れもあって逆転サヨナラ負け。とはいえ、大きなスケールに器用さも併せ持つ好素材だけに、今さらプロ側の評価が下がるとは考えにくい。

 森木は中学3年時に軟式球で最速150キロをマークし、野球界を騒然とさせた"スーパー中学生"だった。高知高進学後は思うような結果を挙げられずにいたが、雌伏の時期を過ごしながら着実にレベルアップ。今年5月には自己最速の154キロを計測するなど、本領を発揮しつつあった。

 だが、今夏の高知大会決勝戦で宿敵・明徳義塾に惜敗。8回まで2失点と踏ん張ったが、序盤からハイペースで飛ばした影響かボールの抑えが効かなくなり、2暴投でピンチを広げたところで降板。結局、一度も甲子園に出場することなく高校野球を終えた。

 プロ注目選手がひしめいた愛知では、最速150キロを超える畔柳亨丞(中京大中京)、竹山日向(享栄)の両右腕がともに愛工大名電の前に涙をのんだ。

 畔柳は今春センバツで力投を見せ、ベスト4進出へと牽引。愛知大会では準決勝で1対3と敗れ、春夏連続での甲子園出場はならず。試合後はプロ志望を明言した。

 竹山も畔柳と同様に球威のある速球派で、今夏は最速151キロをマーク。肥田優心ら豪華投手陣を擁して決勝戦まで勝ち上がったものの、愛工大名電の強打線を止めきれず。5対8で敗れている。

 山本大揮、柳川大晟の大型右腕二枚を擁した九州国際大付は、福岡大会準々決勝で飯塚の前に3対10とよもやの大敗。山本は身長184センチ、体重86キロとたくましい肉体を誇りながら、カットボールを武器にゲームメイク能力の高さを武器にする。一方、身長191センチ、体重85キロの柳川は潜在能力の高い長身右腕ながら、今夏はもうひとつ球速が伸びなかったのが気がかりだ。

 北海道では、最速148キロの本格派右腕・田中楓基(ふうき/旭川実)が北北海道大会1回戦で延長13回タイブレークの末、帯広大谷に10対12で敗退。田中は途中ライトに回りながら2度にわたってマウンドへ上がるも、波に乗り切れないまま交代した。

 今春センバツ初戦の明徳義塾戦で完璧なリリーフを見せ、話題になった伊藤樹(仙台育英)も甲子園に届かなかった。仙台育英は宮城大会で絶対的な優勝候補に挙げられていたが、4回戦でノーシードの仙台商に2対3で惜敗。伊藤は先発しながら押し出し四球を許すなど、3失点と持ち前の総合力の高さを発揮できなかった。

 東東京大会の準決勝・修徳戦で最速152キロをマークした市川祐(関東一)は、連投となった決勝戦で二松学舎大付の前に1対5と完敗。7回以降に4失点を喫するなど、疲れを隠せなかった。

 左投手では、春のセンバツ優勝投手に輝いた石田隼都(東海大相模)が不本意な形で夏を終えた。野球部内で新型コロナの集団感染が発生したため、神奈川大会準々決勝で出場辞退に。石田はそれまで3試合に登板して12回無失点と盤石だっただけに、惜しまれる。

「和製ランディ・ジョンソン」と話題になった身長191センチの大型左腕・羽田慎之介(八王子)は左ヒジのケガもあり、西東京大会で登板しないまま5回戦で敗退した。大器なのは間違いないとはいえ、今年に入ってプロスカウトに大きくアピールできなかった点が今秋のドラフト会議にどう影響するか。

 九州では、松本翔(真颯館)と泰勝利(神村学園)の両左腕が株を上げたものの、聖地には惜しくも届かず。松本は球質のよさと制球力の向上、泰は小柄ながら角度と球威のあるストレートを大いにアピールした。松本は福岡大会決勝で西日本短大付に0対5で敗れ、泰は鹿児島大会準決勝で鹿児島実に8対9と逆転サヨナラ負けを喫した。

 打者に目を移すと、右の強打者として関東で双璧を成す有薗直輝(千葉学芸)、吉野創士(昌平)はいずれも甲子園に駒を進められなかった。

 有薗を擁する新鋭・千葉学芸は今春の千葉王者に輝き、今夏も優勝候補筆頭だった。ところが、4回戦で千葉黎明の前に6対8で敗退。高校通算70本塁打を記録する有薗は徹底マークに遭いながら、8打数4安打とまずまずの結果を残した。

 吉野は大会前に腰痛を発症しており、今夏は本来の運んで飛ばすスイングは影を潜めた。埼玉大会では決勝戦まで進出したものの、浦和学院の前に4対10と完敗。高校通算56本塁打の長打力に成長の余地を残す身体もあり、将来性は高い。

 高校生野手の目玉になると思われた阪口樂(うた/岐阜第一)は、岐阜大会4回戦で海津明誠に1対2で敗戦。昨秋以降、公式戦で結果を残せていなかったが、今夏も10打数3安打5打点0本塁打とインパクトのある活躍は見せられなかった。

 捕手では、松川虎生(こう/市和歌山)、川上陸斗(福岡大大濠)、味谷大誠(花咲徳栄)とプロスカウトが熱視線を送る実力派が敗れ去った。

 中学時代から小園とバッテリーを組む巨漢捕手・松川は高校通算43本塁打の強打者でもある。今春センバツでは攻守に馬力を発揮し、今夏の和歌山大会でも2本塁打とらしさを見せた。

 川上は鋭いスローイングを武器に、今春センバツではエース左腕・毛利海大を巧みにリードしてベスト8進出に貢献。今夏は準々決勝で筑陽学園に0対3と完封され、甲子園への道が閉ざされた。

 味谷は関東ナンバーワンの強肩を売りにする捕手で、打撃力が向上して今年に入って台頭してきた。速球派右腕3人を擁して迎えた今夏は、5回戦で山村学園に5対6でサヨナラ負けに終わった。

 今夏はあえなく敗れたとはいえ、彼らの野球人生はこれで終わりではない。むしろ、これから本格的に花開くはずの素材ばかりだ。今回紹介した20選手は、今夏の敗戦をどのような糧とするのか。その前途には、輝かしい未来が待っている。