3月8日、「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)の東京プール1次ラウンド2日目が行われ、侍ジャパンはオーストラリアに4対1で競り勝ち開幕2連勝。2次ラウンド進出に大きく近づいた。★「小林が良く引き出して…

3月8日、「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)の東京プール1次ラウンド2日目が行われ、侍ジャパンはオーストラリアに4対1で競り勝ち開幕2連勝。2次ラウンド進出に大きく近づいた。

★「小林が良く引き出してくれた。間も絶妙」(小久保監督)

1回表に無死一、二塁のチャンスを生かせなかった侍ジャパンは、2回裏に先発の菅野智之投手がオーストラリアのデサンミゲル捕手に本塁打を浴び、先制を許した。5回表には、松田宣浩内野手(ソフトバンク)の犠牲フライで同点に追いつくも、試合はまだどちらに転ぶか分からない展開だった。だが中盤での投手陣の粘りが勝利を呼び寄せる。

5回裏、1死一、二塁で菅野は球数制限の65球を超えたため降板。2番手にマウンドへ上がった岡田俊哉投手(中日)はいきなりストレートの四球で満塁としてしまう。さらに続く打者にも2ボールを与えたところで、小林誠司捕手(巨人)がマウンドへ。ここで41,408人の観客の大多数が、バッテリーに大きな声援を送る。これで緊張が解けたのか岡田は3球目にストレートを思いきりよく投げ込むと打球は二塁に転がり、4-6-3の併殺が完成。ピンチを凌いだ。

また、6回裏からマウンドに上がった千賀滉大投手(ソフトバンク)も155km/hのストレートで空振り三振を奪うなど三者連続三振を奪い、流れを引き寄せた。すると直後の7回表、開幕以後無安打だった中田翔内野手(日本ハム)が、オーストラリア・ウィリアムズ投手の初球のストレートを勢いよく弾き、打球はレフトスタンドに飛び込み勝ち越し本塁打。さらに8回表には、筒香嘉智外野手(DeNA)の2試合連続本塁打でダメ押しした。

そして8回は宮西尚生投手(日本ハム)、9回は開幕戦に続き牧田和久投手(西武)が試合を締め、侍ジャパンが見事に連勝を飾った。

試合後、小久保裕紀監督は「初回のチャンスを生かせずに苦しかったのですが、菅野が粘り強く投げてくれました。中継ぎ陣も良く、それが中田と筒香の本塁打に繋がりました」と明るく話した。

また、捕手の小林について「5回の声かけの間は絶妙でした。投手の良いところを引き出してくれていたので、勝っている展開であれば(8回裏のチャンスでの代打含め)代えるつもりはありませんでした」と、その信頼を語った。

大会前、「どんなことがあっても動かさない」と話していた中田と筒香による本塁打、「正捕手は固めない」と話していた中での小林の活躍。小久保監督の期待に応える活躍と期待を超える活躍が噛み合い、侍

ジャパンはさらに勢いを増していきそうだ。

写真提供=Getty Images


★コメント

菅野智之投手

「目標としていた5回を投げきれなかったですが、チームが良い形で勝てたので、次へのステップとしたいです。みんなが自分の力を発揮すれば、こういう試合も凌げると分かったので、次も力を合わせて戦っていきたいです」

中田翔内野手

「菅野がずっと一生懸命に投げてくれていたので、早く点が取りたい気持ちが強かったです。バットの先で感触は良くありませんでしたが、なんとか(スタンドまで)行ってくれという気持ちでした」

オーストラリア・ディーブル監督

「菅野には脱帽という言葉が当てはまる。我々も2つ3つのミスを除けば良い試合でした。ただ、休養日がある日本やキューバと違い、我々は3連戦なのでモイランら中継ぎをつぎ込むことはできませんでした。ただ、中国戦とキューバ戦に向けては自信がついたので、連勝したいです」

文=高木遊