東京オリンピック本番。サッカーは7月21日に女子のなでしこジャパン、22日に男子のU―24五輪代表が緒戦を迎える。最後…
■「後半はチームワークが乱れていたね」
―スペイン戦、日本は、よく後半も1点で抑えましたね。
後藤「本当にね。何点取られるのか、と思ったけど」
大住「だけどさ、日本の全員がペナルティエリアに入って守っているようじゃ、しょうがないよね」
後藤「相手もだんだんと疲れたというか、メンバーもコロコロと変えてきて、ミスが多くなっていたよね」
―スペインも、前半の終わりごろには疲れていましたね。
後藤「当然だよ、100%のコンディションな訳ないんだもん」
大住「替わって出てきた選手も、力があったよね」
後藤「そこが今日の違いだよね。日本は後半にメンバーを変えたらガックリと落ちたのに、スペインは色々と変えても相変わらずすごかった」
―スペインの選手は、技術を見せているような気がしました。
後藤「ただ、特に後半、彼らは一芸を見せることに執着しちゃったね。チームプレーよりも、俺が決めてやる、というのが見えてきた。けど、こういう試合だから仕方ないか」
大住「まあ、そうだね」
―試合終了が近づいて、上田綺世が1度、滑ってキーパーに当たっちゃって。
大住「上田が抜けた時の、三好康児のプレーはすごかったよね。ターンして、かわして持って行って、タイミングよくパスを出して。三好は交代で出てきて、堂安の代わりに右サイドをやっていたんだけど、その時はあまり良くなかった。けど、中に入ってからは、良くなったね」
後藤「最後の数分間で、みんなでチャンスを作って終わったのが良かったよね。イエローカードも2枚引き出したし」
大住「スペインの選手は苦し紛れに掴んでいたよね」
後藤「明らかなイエローだったね。だから、良いイメージで終われた。あのまま何もできないで守り切って1-1で終わるのと、最後にチャンスを作って試合を終わるのとでは、イメージが全然違う」
大住「1-0でリードしていたから、なんとか守り切りたい。そんな守り切るようなサッカーも、シミュレーションとしてあったのかもしれないね。それで1-1になったから、じゃあ出ていこう、ってなったのかもしれない」
■「三好のサイドキックは素晴らしかったね」
―相馬勇紀を中山雄太に代えたというのも、そういう狙いですか?
大住「うん。それで旗手怜央が前に出たからね」
―三好が上田に出したサイドキックは、気持ちよさそうなキックでしたね?
大住「素晴らしかったよね。ターンから、相手の当たりを押しのけて、前に進んで、という一連の流れが。
彼は堂安律や久保建英のスタンバイって感じがしていたんだけど、この間のホンジュラス戦では3人が並んで、三好は左サイドをやっていた。それで驚くくらい良かったんだよね。今日の試合ではミスが多いなとは思ったけど、真ん中になってからはとても良かったし。三好はオリンピックでの活躍が期待できるんじゃないかな」
後藤「右も左も、色んな所ができるしね」
―最後のフリーキックもゴールを感じさせました。
大住「それで跳ね返ってきた所を……」
後藤「キーパーがはじいて、最後は前田大然が」
大住「キーパーが目の前に来てビックリしていた。面白いフリーキックだったよね。シュートではなくて、あの強い球に合わせに行って」
―三好が、ずっと田中に蹴り方を説明していましたね。
後藤「俺が蹴る感を出そうとしていたんじゃない」
―川崎フロンターレの先輩後輩の関係が見えた気がしましたが。
大住「あまり先輩っぽくないけどな」
後藤「ははは。でも、川崎はやっぱりすごいよね」
大住「三笘薫がちょっと心配かな、今日もベンチに入らなかったし。足に張りがあるんだっけ?」
―そう考えると、上田に出る機会があったのは本大会に向けて良かったのではないでしょうか?
後藤「そうそう」
大住「上田は間に合うのかなって感じがするよね?」
後藤「初戦には間に合わないよ」
大住「初戦もだけど、4戦目くらいのつもりでいたら出番なしで終わっちゃう可能性もある」
後藤「秘密兵器ってことでさ。それに、けっこう太っちゃったんでしょ?」
大住「動きが重い感じがするよね。スピードもない」
後藤「これから1週間でコンディションを上げるのは難しいだろうね」
大住「最終セレクションの時に、あの状態だったら選ばれなかっただろうね」
後藤「メンバーが22人になったからいいものの、もしこれが18人のままだったら、さあどうしようって感じだよね。林を入れて、上田を外すのか。それとも、上田の回復に期待して、メンバーに入れておくのか」
―後半は、瀬古歩夢がディフェンスリーダーのような役割をしていましたね?
大住「センターバックの2人はよくやってた。個人的には、よく頑張っていたと思うよ。」
後藤「吉田、冨安、酒井宏樹がいて。そして、前には遠藤航がいて。その中で、誰か一人がいなくなった時に、町田でも瀬古でも誰かが1人だけ入った時にはちゃんとできるとは思うけどね。ただ、全部がレギュラーじゃないようなメンバーになってしまうと、今日みたいなことになってしまう」
大住「今日の後半は特に右サイドがひどかったからね」
■「旗手はどこでもやれる」「本当にすごいよね」
―橋岡大樹がいるところですか?
大住「だって、スペインのチャンスはすべて右サイドだったよ。それで、前田が必死になってカバーしてさ。左は、旗手が平気な顔をして守っていたけど。橋岡は次から次へ裏を取られていたし」
後藤「そうそう。それに相手も分かっているから、次から次へと攻めてくるもん」
大住「森保一監督も、もっと厳しく行け、って言ってはいるんだけど。それで行くと、待ってました、ってかわされてバタバタになっていた。最後は滑って、すってんころりんをやっちゃったし。
メンタル面での準備ができていなかったのかなって。はりきりすぎて、アピールしようと空回りしていたのかも。
あそこは、メンバー発表の前のこの激論でも、僕は菅原由勢だって言っていたんだよね。6月の試合を見て、橋岡はないだろうと踏んでいたんだけど。けれど橋岡を選ぶというのは、センターバックもできるからだろうし、ヘディングもあるしね」
後藤「身体能力もあるし、将来性を考えて、やらせたいという気持ちは分かる」
大住「けど、ボールを持った時はすごく雑だしさ。得意の守備でああなったら厳しいよね」
後藤「旗手は左サイドが本職じゃないけどさ。橋岡の場合はね……」
大住「橋岡を入れるなら、中山を入れて、旗手を右にした方がよっぽどよかった気がする」
後藤「すごいな、旗手は今度、右サイドバックか」
大住「彼はどこだってできるよ」
後藤「左サイドハーフ、右サイドハーフ、トップ下……」
大住「ボランチはやっていないよね」
後藤「そうだね。やらせてみたい」
大住「真ん中の線がないね。ボランチとセンターバックと」
―林大地の評価はいかがですか?
大住「林は良いよ」
後藤「ワントップ候補の3人の中では1番。この間のホンジュラス戦も良かったし」
大住「シュートが入らなかったから落ち込んだみたいだけど。動き自体は良かった」
後藤「うん」
大住「久保と堂安とも合うんだよね」
後藤「それに前でボールを収めて、スペインのディフェンダーが来ても、けっこう持ちこたえてパスが出せたじゃない?」
―背負って、溜めますよね?
後藤「今日だと、33分に冨安が後ろからドリブルで持ってきて、それで右に開いた林に当てて。林はディフェンダーが来てるのにしばらく持ちこたえて、酒井が右サイドから上がってくるのを使ってチャンスを作っていた」
大住「あれね。酒井に対して、完全に抜けさせるパスを出したよね」
後藤「そうそう。それで最後は久保がシュートして、コーナーキックになった」
大住「絶対にあれはブロックされるのに、なんで打つのかな?まあ、自分で決めたいというのを思っていたんだろうけどね」
■「後半のメンバーを変えなければ…」
―気持ちが力んでいましたね?
大住「そうそうそう」
後藤「点が入った後のカメラに向かっての表情がすごかった」
大住「94年のアメリカ・ワールドカップのディエゴ・マラドーナみたいだったね」
―後半は完全にスペインのゲームで、日本の頑張りが足りなければ、最後に逆転もされそうでしたが。
大住「3、4点を取られても不思議じゃなかった」
後藤「よくあそこまで持ちこたえられたよ」
―持ちこたえられた要因は?
大住「まず、いくつも決定的な形があったのに、相手がシュートミスしてくれたね。それで救われた。ただ、センターバックはよく跳ね返していたし。けど、サッカーとしては、ああいう試合を長々と何十分も続けてはダメだよね」
後藤「しょうがないよ、スペインだから」
大住「今回の試合としては、全員を出すのがテーマだったんだけど。ハーフタイムに何人も交代してさ」
後藤「キーパー入れて7人だね」
大住「だから仕方がないとは言えるんだけど、森保監督も、はやく時間よ過ぎろ、って思っていたんじゃないの?」
後藤「まあ、跳ね返し続けたのは、えらいよ」
大住「だけど、ああいう試合になってはいけない。それに、結果は二の次だからね」
後藤「結果のことだけを言うのなら、前半のメンバーのままでやって2-0で勝つのが良いんだろうけど」
大住「前半で1点を取ったんだけど、30分くらいまでは何もできなかった。そこは、もうちょっとどうにかしてほしかったかな」
後藤「後半にメンバーを変えなければ、後半はもっと互角に渡り合えただろうね。けど、今回の試合はそういうのが目的ではない。出ていない選手を試合に出させて、スペイン選手の強さや強度を味合わせるのが目的だから」