東京オリンピック本番。サッカーは7月21日に女子のなでしこジャパン、22日に男子のU―24五輪代表が緒戦を迎える。最後の…
■「飲水タイムを過ぎたあたりからチャンスがきた」
―まずは、五輪本大会直前のテストマッチとなった、7月17日のスペイン戦から話しましょう。堂安律のゴールには驚きました。
大住「本当だよね。ゴールの予感はしなかったね、なかなかシュートに持っていけない試合だった。その前のプレーで、久保建英が無理矢理に打ってブロックされていたけど」
後藤「あと、その前に林大地が良いシュートを打ったよね」
大住「ああ、そうだったね」
後藤「遠藤航の見事なくさびに反応して。それに、コーナーキックから板倉滉がヘディングしたのも、ゴールをかすめたし。途中までは全然だったけど、あのあたりの時間からチャンスらしいチャンスが出てきた」
―30分を超えたあたりですか?
後藤「そうそう。飲水タイムを過ぎたあたりからね」
―しかし、それにしても堂安のゴールは気配がしなかったと言うか……
大住「うん。あのとき、久保は堂安に出したのかな?よくわからないけど、あのパスを相馬勇紀が一生懸命に追っかけていたよね?」
後藤「そうそう。ただ、あの角度なら、久保は堂安が来るのは見えていたでしょ」
大住「簡単なシュートじゃないけど、軽々と決めるよね」
―堂安は、12日のホンジュラス戦とスペイン戦で目立っていましたね。
大住「6月の試合から、堂安は飛びぬけていたよね」
後藤「彼は安定感があるよね」
大住「いつも高いレベルのプレーができているんだ」
後藤「むしろ、スペイン戦はゴールの場面までは出来が悪いくらいだった。今日なんかは、ちょっとコントロールに時間がかかっちゃってたね」
大住「プレーの回数が少なかった。グラウンドがちょっと柔らかかった気がする」
後藤「今日は相当ね……。スペインの選手も一生懸命に芝を直していたし」
大住「今回の国際試合3試合は、グラウンドがあまり良くなかった。ヨドコウ桜スタジアムも良くなかったし、京都のサンガスタジアムも。天候がずっと悪かったから、きびしいよね?」
―湿気はどうでした?
後藤「湿気もあったし、なにより風がなかったのがつらいよね。スタジアムの構造もあるけど」
大住「暑さは慣れるまでが大変だよね。あの中で走れるようになるのは、かなり……日本の選手は得意かと思ったけど、やっぱり、急にああいう環境になると難しいよね」
後藤「ちょっとね」
―それもあってか、キックオフから日本のプレスが全然ききませんでした。
後藤「きかないと言うか、スペインが上手いからプレスをかけてもかわされちゃう。普通の相手だと、あれでミスをしてくれるんだけどね。さすがスペインだよ」
大住「全然レベルが違うよね」
後藤「行くとかわされちゃうからね」
大住「やはり、日本の生命線は前線からのプレスだと思うし、それが1試合でどのくらい長い時間できるかが大事なんだけど、日本が最高の状態でプレスをかけようとしても、スペインからは取るのはなかなか難しかったね。
それで結局は最後のところの、吉田麻也、冨安健洋で取るしかなくて、それからの組み立てだとゴールまでは行くのはなかなか難しかった」
後藤「だから、プレスをかけるにしても、そこで奪おうとか、あるいは相手のミスを誘発しようというのではなくて、最初からコースを限定しようというくらいで、最初から行かないと。下手に行くと、かえって、かわされてピンチになっちゃうからね」
大住「そうだよね。まあ、やっていると思うんだけど。前半は特に、ディフェンスラインのバランスが良くて、距離感も良かったし」
後藤「さすがだよね」
■「前半の選手がよすぎた」「後半はちょっとね」
大住「日本が大量に選手を入れ替えた後半のバラツキと比べると……」
後藤「いかに、前半に出ていた吉田、冨安、酒井がすごいのかを際立たせちゃった」
大住「そうそう」
後藤「前半はピンチがあっても、なんとかしのげるような気がしたけど。後半は、スペインのシュートが全部入っちゃうんじゃないかって気がして」
大住「ディフェンス4人の高さや距離が揃わないんだよ。前半は、ものすごくキレイに同じ距離で並んでいたんだよ」
後藤「並んでいると言っても、ちゃんと行くところは行くしね。ラインブレイクをして詰めに行くとか、そのタイミングが、とても良かった」
大住「今日は遠藤航が、その組み立ての時に、センターバックの2人のあいだに何度も入っていたでしょ? 前の試合では、あまりやっていなかったんだけど。そして遠藤がいなくなったら、田中碧が、あのポジションに入ってやっていた。あそこに、この1週間の変化と言うのがあったね」
後藤「あそこで遠藤、田中が揃っていればね。ひとりがそれをやって、ひとりがパスを出しに行ける。結局、田中もそっちのほうが忙しくて、得意のパス出しまで行けなかったんだけどさ」
大住「板倉滉と役割を変えたほうが良かった気がするよね」
後藤「今日の板倉は良かったもんね」
大住「板倉自体は本当に良かった。1試合を通じて、非常にレベルの高いプレーをしていたね」
―それでも、田中にボールが集まっていましたね。
大住「いや……だけど、田中にボールが行っても、苦しまぎれのパスになっていたから。田中から受けようって選手が全然いなかった」
後藤「そうなんだよ。田中は一生懸命にパスコースを探しているんだけど、戻すしかなくなっていた。あそこでしっかり持って、前を向いてパスコースを探そうとするのが、さすがなんだよ。むやみに蹴ろうとしなかった。
相手が来たら、パッとそこでキャンセルもするしさ。さすがは田中なんだけど、結局はパスコースを見つけられずに戻さざるを得ない場面が多かったよね」
大住「あれでパンッと受けて、前に出られればチャンスが生まれるんだけどな」
後藤「もっと信じて誰かが走っていないとね。せっかく走れる選手が出ていたのに」
大住「田中が持ったら誰かが受ける、という事にしないとさ。もったいないよ」
―前田大然は、もうちょっとコースを狙ったほうが良いと?
大住「前田は、そこまで悪くなかった」
後藤「守備も頑張ったし」
大住「前田の良さというのは、スペースに走って、そこでパスを引き出して、攻撃の起点を深いところで作ること。それはできていたと思うよ」
後藤「上田綺世が全然ダメだったから、今日は最後までトップを前田にしたほうが良かったよね」
大住「そうだよね。上田のところで、全部取られちゃったしね」
後藤「今日の上田は動けないし、ほとんど何もできなかった。まるで、なでしこジャパンのセンターフォワードみたいだよ(笑)」
■「左サイドバックは中山でもよかったかも」「悩みどころだよね」
―今回のスペイン戦のスタメンについては、どのように思われましたか?
後藤「今のメンバーの中で、ちゃんと組んだのが前半でしょ。後ろは不動のディフェンスラインで、2列目も不動のライン、そしてセンターフォワードには、最もコンディションの良い林を入れた。ほぼベストのメンバーだよね。なぜ、田中を後半に持っていったのかは知らないけど」
大住「田中はコンディションが良くなかったからね、試合も全然やっていないし」
後藤「そうそうそう。今年の前半には試合をやりすぎたしね」
大住「左サイドバックは中山雄太でもよかった気はする」
後藤「そこが悩みどころだったね」
大住「中山は、力がすでに分かっているからだろうけどさ。旗手怜央も悪くなかったね」
後藤「そうそう、左サイドバックでもできるしね。最後はサイドハーフもやらされて。頑丈な人はそういう扱いなのかな、って思ったけど」
大住「けど、前半はあそこでリズムが崩れることが多かった。もっとダイレクトなプレーでリスクを冒してもいい気がしたんだけど、旗手はリスクのないプレーをしていたね。もっと行ってよかったよ」
後藤「まあ、サイドバックは本職じゃないし。相手はマルコ・アセンシオだしな」
大住「ははは。相手の名前は知らないほうが良いんだよ」
―そう考えると、前半はよく持ちこたえましたね。
大住「たしかに相手は上手くてリズムも良かったから、なかなか難しい面はあるんだけど。やっぱり、相手をリスペクトしすぎ。スペインだとか、ユーロに出ていた選手だとか、そういう部分がチラッとあったよね」
後藤「うん、あったね」
大住「比較にはならないけど、かつてロシア・ワールドカップでベルギーと戦った時の日本代表とは、やっぱり違うなと言う感じはしたよね」
後藤「今日はそのイメージを消すというか、中和するための試合だった。相手も上手かったけど引き分けたんだし、後半にメンバーを変えても引き分けたんだぜ、ってさ」
大住「たしかにスペインは上手かったけど最後のところで抑えられるよ、っていうイメージは持てたかもしれないね。中盤は抑えがたかったけどさ」
後藤「スペインの中盤はすごいよな。ひとりひとりが上手いし、良いポジションに入って受けるから、受けた瞬間が本当に楽なんだよな」
大住「打開力が本当にあるよね。たとえ問題を突きつけられても、すぐに打開する」
後藤「それで最後はゴール前で短いパスを、ポンポンッと簡単に繋いでね」
―いとも簡単にプレーをしているように見えましたね。
後藤「そう、さすがです」
大住「優勝候補だよね」
後藤「スペインはヨーロッパの中で一番本気なんだから」