東京五輪の初戦を10日後に控え、U-24日本代表がホンジュラスと親善試合を行なった。 結果は3-1で勝利。スコアばかり…

 東京五輪の初戦を10日後に控え、U-24日本代表がホンジュラスと親善試合を行なった。

 結果は3-1で勝利。スコアばかりでなく、内容的に見ても、特に前半はテンポよくパスを回し、多くのチャンスを作り出した。ボールを失ったあとの守備への切り替えも早く、チームとしてどう戦うのかが明確だった。

 5、6月に試合を行なったA代表同様、このチームもまた戦い方のベースが確立され、内容的に安定したパフォーマンスが発揮できるようになっている。少々気の早い話にはなるが、東京五輪後には、U-24世代のA代表への引き上げがスムーズに進むはずだ。

 コロナの影響もあり、ぶっつけ本番に近い状態で東京五輪に臨んでくる国があることを考えれば、事前準備という点で、日本はかなりのアドバンテージを手にしていると言っていいだろう。



五輪本番に向けて、順調な仕上がりを見せているU-24日本代表

 しかしながら、メダル獲得のためには、中2日で6試合を戦わなければならない(決勝のみ準決勝から中3日)。相手ゴールへ向かって速く攻め、失ったボールも高い位置からのプレスで奪い返す。そんな強度の高いプレーを、酷暑のなかで90分×6試合も続けるのは不可能に近い。

「暑いのでプレーにしっかりメリハリをつけないといけない」

 森保一監督も本番を見据え、そんなことを話している。

 ホンジュラス戦でも、選手たちがそれを意識している様子はうかがえた。

 前半の日本はどんどん縦パスを打ち込み、2人目、3人目が絡んだ厚みのあるコンビネーションを作り出すことができ、前が開けばドリブルで仕掛けることも多かった。前方向への圧力を強めることで、ホンジュラスを押し込んでいた。

 だが、後半に入ると一転、日本はボランチを中心に後方でボールを回す時間を増やした。つまりは、速攻から遅攻へと攻撃の進め方を変えたわけである。

 本番のシミュレーションとしては、悪い判断ではなかった。

「後半の入りも悪くはなかったと思う」

 キャプテンのDF吉田麻也がそう語ったように、前半終了時点での2-0のリードを生かし、うまく試合をコントロールしているかに見えた。

 ところが、意図的だったはずのペースダウンにもかかわらず、それに引きずられるかのように、日本選手の動きも落ちてしまった。足が止まり、セーフティーなパスコースを作れなくなり、ホンジュラスの勢いを引き出す結果になったのである。吉田が語る。

「徐々に流れを持っていかれるなかで、もう一回(流れを)引き寄せるゲームマネジメントをしなければいけなかった」

 ある程度動きが落ちるのは仕方がない。吉田をはじめ、海外組にとってこの時期はオフ明け直後。もちろん、彼らは自主トレなどを通じ、"東京五輪仕様"のオフを過ごしてきてはいるだろうが、まだこれからコンディションを上げていく段階にあるのも事実だからだ。

 しかし、ホンジュラスに試合の主導権を明け渡し、1点を失ったのは、それだけが理由ではないだろう。意図したはずのペースダウンが、図らずも選手の積極性を失わせたり、チームに混乱をもたらしたりした。そんな側面があった可能性は高い。せっかくのいい流れを、自ら手放すような結果になったのはもったいなかった。

 吉田が「(選手が)お互いに流れを理解して、今いくのか、いかないのか。そこに取り組んでいるところ」だと語り、「共通理解」を課題にあげているとおりだ。

 一つひとつの試合を見れば、戦い方のベースが固まってきたことは間違いない。どの試合でも、安定して強度の高いプレーができることも示した。

 だが、酷暑が予想される大会で、中2日の6試合をどう乗り切るか。その点において、課題を残したとは言えるだろう。

 とはいえ、「前回の合宿はギアを上げて、意識して強度を落とさないように、時間の使い方とかは気にせずにやった」(吉田)ことを考えると、チームは前回の課題を順調にクリアし、現在は次なるステップに進んでいるとも言える。

 6月の段階で、早々にオーバーエイジ枠の3人をチームに組み込んだ効果は間違いなく出ている。コロナの影響で出場各国の活動が制限されるなか、決して状況は悪いものではない。

 エンジンが軽快に回っていることはわかった。最高出力もかなり高い。だからこそ、あとはエンジンに負荷をかけすぎることなく、いかに効率よく、大会を通じて回すことができるか。

 そこに、メダル獲得のカギがありそうだ。