【UEFA EURO2020 準決勝 イタリアvsスペイン 2021年7月6日(日本時間28:00キックオフ)】 クロア…
【UEFA EURO2020 準決勝 イタリアvsスペイン 2021年7月6日(日本時間28:00キックオフ)】
クロアチア戦、スイス戦と連続で延長戦となったスペインが、絶好調のイタリア相手にまたしても延長戦を演じた。
延長を戦って2度勝利したチームは必ず優勝している、というこれまでのジンクスと、PKを2度戦ったチームは2度目で必ず負けている、というジンクスとが重なることになったが、この試合で破られたのは前者だった。
試合の行方を直接的に左右したのは、2度のアルバロ・モラタvsジャンルイジ・ドンナルンマだ。
イタリア1点リードの80分、アタッキングサード手前中央でボールを受けたモラタがドリブルで前進。ボールをダニ・オルモに預けた背番号7はそのまま中央を走り抜け、ディフェンスラインを破ってリターンを受けるとドンナルンマとの読み合いを制し同点ゴールを奪った。
この場面でイタリアの守護神は軸足の振り上げ方で左へ飛ぶことを選んだが、モラタが選んだのは進行方向そのままのコース。結果として、シュートから逃げるように飛ぶというゴールキーパーとしての屈辱的な姿を晒す屈辱を味わってしまった。
雪辱を果たす機会はPK戦という形で訪れた。
ゴールライン上で静かに前を見るドンナルンマの視線はモラタの顔よりもやや下、今回は体の開き方でコースを読み、軸足が振り上がった瞬間には既に左へ飛ぶ動作に入っていた。ボールを左の掌に完璧に当てて見事にストップすると、直後のジョルジーニョが冷静に沈めて勝負が決した。
■スペインの原動力は何か
最終的な試合のハイライトは彼ら2人の駆け引きであり、勝ち抜いたのはイタリアだったが、3連続で延長戦を繰り広げ、前評判以上の成績で記録上は1敗もせずに大会を終えたスペインの原動力はなんだったのだろうか。
この大会のスペインには、フォワード不足、という言葉がついて回った。この試合のゴールを含め、大会合計で3得点を挙げたモラタも脅迫めいた批判を浴びることがあった。
それだけ、中盤が優れており決定機が多かったということだ。
シャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタがいた頃とはテンポや距離感が異なるが、スペインのサッカーがボール保持をベースにしていることは変わっていない。そのスタイルと今の時代のスタンダードになっているハードワークをどちらも兼ね備える存在として称賛を浴びたのは、18歳のペドリだった。
全試合で先発出場した彼の相手の痛いところを突くパスはこの試合でも際立ち、特に12分にスルーパス1発でミケル・オヤルサバルにディフェンスラインの裏、しかもペナルティエリア内ど真ん中を突かせた場面は強烈なインパクトを残した。ここでもオヤルサバルがコントロールに失敗して、シュートを放てずにフィニッシャー役が悪い目立ち方をしてしまったが、フォワード不足、と言われてしまうのは、こうして中盤が素晴らしいプレーを続けてきたからだ。
その中盤で一際輝いていたペドリだが、彼の良さを引き出すことも含め、スペイン全体を支えていたのはセルヒオ・ブスケッツだった。