先頃、東京五輪の登録メンバーに選出された三好康児と久保建英のふたりには、ある共通点がある。 その共通点とは、再び時代が…
先頃、東京五輪の登録メンバーに選出された三好康児と久保建英のふたりには、ある共通点がある。
その共通点とは、再び時代が変わり始めたことを感じさせてくれるものであり、少々大袈裟に言うなら、日本サッカー史に残る"偉業"と呼んでもいいものだ。
現在のサッカー界では、3つのカテゴリーで年代別世界大会が行なわれている。
U-17ワールドカップ、U-20ワールドカップ、そして、U-23の世界大会として位置づけられる五輪である(東京五輪は開催が1年延期となったためU-24)。
これらすべての大会に出場できれば、育成段階での国際経験としては言うことなし。あとはA代表にステップアップし、年齢制限のないワールドカップ出場を目指すだけ、ということになるのだろう。
とはいえ、過去に日本代表としてワールドカップに出場した選手の中で、3カテゴリーすべての年代別世界大会を経験している選手は数少ない。早熟と晩成という、いわば相反するふたつの要素を兼ね備えていなければならないのだから、当然と言えば当然だろう。
これまでに、中田英寿、宮本恒靖、松田直樹、高原直泰、稲本潤一と、わずかに5人がいるだけだ(小野伸二もすべてに出場しているが、五輪はオーバーエイジ枠での出場だったため、ここには含めない)。

U-17からA代表まで、すべてのカテゴリーの世界大会に出場している稲本潤一(左)と中田英寿(右)
日本が世界に追いつこうと育成に力を入れ始めた1990年代、その成果として花開いたのが彼らだった。彼らは全員が1977年~1979年生まれで、5人そろって2000年シドニー五輪に出場。日の出の勢いで急成長を遂げた、当時の日本サッカーの勢いを物語っている。
しかしながら、2000年代に入ると、日本は年代別世界大会に出場するのが難しい時代を迎えてしまう。とりわけ長く世界から遠ざかることになったのが、20歳以下の世代である。U-20ワールドカップでは2009年大会から4大会連続で出場権を逃すことになった。
その結果、2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪に出場した(オーバーエイジ枠を除く)選手の中に、U-20ワールドカップ出場経験を持つ者はひとりもいなかった。これでは、3カテゴリーすべての年代別世界大会を経験できる選手が出てくるはずもない。
五輪が初めての世界大会。そんな選手がほとんどだったのだ。
ところが今回、わずか5人の先輩たちに肩を並べるべく、東京五輪の登録メンバーに名を連ねた選手が現れた。
それが三好と久保のふたりである。
1997年生まれの三好は、2013年U-17ワールドカップと2017年U-20ワールドカップに出場。2001年生まれの久保は、2017年U-17ワールドカップと同年U-20ワールドカップに出場しており、ともに東京五輪が3カテゴリー目の年代別世界大会ということになる。
しかも、久保は五輪に飛び級(次の大会にも出場できる年齢)でメンバー入りしており、これは前記の5人の中でも、中田、松田にしかない"快挙"。さらに言えば、中田も松田も、19歳で初めての五輪(1996年アトランタ大会)に出場したときはJリーグでプレーしていたのだから、すでにスペイン1部リーグでプレーする久保は、彼らを上回るハイペースで成長の階段を駆け上がっていると言えるだろう。
久保より4歳年上の三好も、負けてはいない。
一昨年のコパ・アメリカに出場した三好は、グループリーグ第2戦のウルグアイ戦で2ゴールを記録。世界最高レベルの国際大会で残したセンセーショナルな記憶と合わせ、結果を残すという点では、いまだA代表ではゴールがない久保をも上回っている。
いずれにしろ、ふたりはすでにA代表での実績があり、来年のカタール大会はもちろん、これから先、ワールドカップに出場する可能性は十分にある。というより、かなり現実的な目標になっているだろう。
ふたりの若きレフティが、黄金世代以来となる"世界大会コンプリート"にリーチである。