香港ではどのぐらいスクールにお金がかかるのか!?レッスン内容なども紹介日本から…
香港ではどのぐらいスクールにお金がかかるのか!?
レッスン内容なども紹介
日本から飛行機で約3時間。コロナ禍以前は人気の海外旅行先であった香港は、実はテニスが盛んな地域でもある。今回は香港のテニススクール事情についてジュニアレベルの育成に絞って紹介する。
※「ドル」の記載はすべて香港ドル
【画像】香港のトレーニングセンターの様子
「テニスを習おう!」と思ったら
まず候補となる香港テニスアソシエーション
香港テニスアソシエーション(以下HKTA)は、政府の出資を受けて香港におけるテニスの発展や選手およびコーチの育成を行う機関。香港全土でレッスンを行っており、香港のほとんどのパブリックコートでレッスンが開催されている。そのためテニスを始めようと思ったら、まず自分の家の近くにあるHKTA開催のレッスンを探すのが一般的である。また、HKTAはレッスンだけでなく、地域レベルから国際レベルまで数多くのトーナメントを主催している。
HKTAの特徴としては、香港人だけでなく外国人のコーチが多く所属していることで、クラスでは広東語と英語両方が使われている。コーチの国籍は様々で、香港の歴史的な背景にからかイギリス人が多く、またスペイン人や中国本土からきたコーチも在籍している。この点は日本のテニススクールと大きく異なる点だと言える。
プロを目指すジュニアのクラスの月謝は約7万円
HKTAでは、まったくの初心者レベルからITFの大会に出場するレベルの選手まで幅広く育成を行っている。3歳からクラスがあり、両親のうちどちらかが一緒に受講することが可能となっている。より上の年齢になってから受講を開始する場合は、レベルチェックのためのテスト(アセスメント)により、入るクラスが選定される。多くの場合、年齢により振り分けられることが多いが、すでにトーナメントで実績がある場合や、それまで習っていたコーチによる推薦がある場合などは、よりレベルの高いグループに入ることも可能である。
費用は3歳から8歳までのビギナークラスで月600ドル(約8,500円/週1回、1回1.5時間)からと比較的リーズナブルな価格に設定されている。このビギナークラスだけでも、香港内の32ヶ所で行われている。
8歳前後からは、通常のクラスと上級クラスに分けられる。上級クラスに入る選手はコーチによって推薦されるか、トーナメントでの実績によってHKTAより招待が届く。上級クラスの子どもたちは香港島、九龍島、ニューテリトリーと3つのエリアにあるコートに振り分けられ、レベルの高い選手同士が一緒に練習することになる。この上級クラスの練習は、週に3回、1回3時間で、費用は月5,000ドル程度(約7万円)となっている。
香港テニスキッズの憧れ!
「National Tennis Squad」
HKTAには、10歳前後以上の将来有望な子どもたちが所属する「National Tennis Squad」と呼ばれるチームがある。このチームに入るには、まずHKTAからの招待を受けて、年に1回行われるアセスメントに参加しなければならない。アセスメントへの招待を受けるのは、HKTAがランキングやこれまでの実績をもとに選んだ選手のみである。合格した選手たちは、住んでいる地域によって4つの場所に分かれてトレーニングをすることになる。トレーニングは週4回、1回3時間で約5,000ドル(約7万円/1回あたり約6,000円)となっている。筆者の息子が9歳だった時に、日本の有名テニスクラブに参加した際の費用は1回3時間で6,500円だったので、香港と日本ではあまり差がないと言える。
ちなみに練習内容としては、2人1組でウォームアップをした後、3〜4つのコートに分かれてフィットネスを含むドリルを行う。その後ドリルで練習した内容を使い、試合に即した練習に移る。練習の順序に差はあるとしても、日本の有名テニスクラブの練習もドリルとフィットネス、試合形式が組み合わされていた。ただ、日本のほうがフィットネスに力を入れている印象で、ケガ防止の観点において優れていると感じた。香港では基本的にテニス(ラケットでボールを打つオンコートでのプレー)が中心となる。
NTSでは、海外遠征も行っており、台湾のナショナルトーナメントなどさまざまな大会にコーチとともに参加することができる。海外遠征を行う場合は別途、費用がかかる。
HKTA以外にも!
特色を生かしたテニスアカデミー
HKTAのほかにも、それぞれの特色を生かしたアカデミーが存在する。有名なアカデミーを2つ紹介する。アカデミーごとに特色が異なるため、香港の10歳前後の選手の中には、いくつかのアカデミーをかけもちしている選手も多くいる。
〈ブルゲラテニスアカデミー〉
スペインのバルセロナにあるブルゲラテニスアカデミーの分校。香港の中心地から車で30分ほどのサイクンという港町にある。ジュニア、大人向け、プロチームと幅広い年齢とレベル向けのトレーニングが用意されており、施設も新しく快適なことから、HKTAと並び人気のアカデミーとなっている。ベルギー人のヘッドコーチをはじめ、スペイン人やベネズエラ人など国際色豊かなコーチ陣が在籍しており、クラスにおける使用言語は主に英語。夏休みだけのコースなども用意されているため、日本からも参加しやすい。UTRの大会も頻繁に開催されている。
〈モダンテニスアカデミー〉
香港におけるジュニアレベルのトーナメントにおいて、どの年齢層でも上位となる選手を輩出しているのが「モダンテニスアカデミー」。コーチは全員香港人だが、トレーニングは英語と広東語で行われている。ディレクターであるKapo Tong氏は、過去にシェイ・スーウェイ(台湾/世界ランキング62位)のトラベリングコーチをしていた経験がある。練習はドリルが多く、毎回テーマに沿ったドリルを2時間程度行う。HKTAが開催しているNTSの練習方法とは異なる練習を求め、モダンテニスアカデミーに移動する選手も多い。
プライベートコーチの費用は約8,500円から
前述のHKTAのコーチに1対1のプライベートコーチを依頼する場合の費用は、メンバーが1時間595ドル(約8,500円)、メンバー以外の場合は620ドル(約8,800円)となっている。香港には、かつて有名なプロテニスプレーヤーのコーチだった人物や、シンガポール人の元デビスカップ代表選手、男子ツアーで戦った経験のある香港人コーチなどを口コミベースでたどって、プライベートレッスンを依頼するというケースがある。このようなケースでは、コーチの言い値で費用が決まるため、場合によっては1時間で2万円以上という場合もある。コーチにとっても将来性の高い選手を教えることにはメリットがあるため、ランキングが上昇することでコーチ費用を安くしてくれるような場合もある。
ちなみに筆者の経験では、9歳の息子が日本で有名コーチのプライベートレッスンを受講した際、費用として1時間1万円+コート代がかかった。どちらかと言うと、香港のほうがコーチによって費用の幅が大きいと言えそうだ。
強いジュニアは
ヒッティングパートナーを雇うことも多い
グループレッスンやプライベートコーチのほかに、香港ではヒッティングパートナーを雇うことも頻繁に行われている。大学生や香港ランキング上位のジュニアにヒッティングパートナーを依頼することが多く、知り合いやコーチなどに頼んで探してもらうのが一般的だ。費用は大体1時間250ドル(約3,500円)からで、コート代は雇った側が負担するケースが多い。多くの10歳前後の選手がヒッティングパートナーを雇い、より強い対戦相手との試合を想定した練習を行っている。
テニスが強くても勉強が一番大事
ジュニアの育成環境において日本と香港の大きな違いは、香港では勉強が何より大切とされていることである。香港では重要な試験の前は、トレーニングに参加する選手が一気に少なくなる。試合前日であっても、試験前なので昨晩は23時まで勉強していた、という話を頻繁に耳にするし、また香港16歳以下の大会で優勝するレベルの選手が、試験のために1週間まるまる練習をせず、いきなり試合に出場するというケースもよくある。
テニスを学ぶためのさまざまなチョイスがある香港
今回紹介した以外にも、香港にはさまざまなテニスアカデミーが存在する。またプライベートコーチも、プロを教えたことがあるコーチからマンションのテニスコートと契約をして教えているようなコーチまで数多く存在し、チョイスも多い。現在はコロナ禍によりなかなか渡航が難しい状況ではあるが、テニスと併せて英語や中国語を学ぶことができる場所として、大変魅力的であると言える。
文=山根ゆずか