髙見愛佳(スポ2=東京・足立新田)と園田稚(スポ1=東京・足立新田)。『王座制覇』に欠かせないのが、この2人の活躍だ。…
髙見愛佳(スポ2=東京・足立新田)と園田稚(スポ1=東京・足立新田)。『王座制覇』に欠かせないのが、この2人の活躍だ。昨年、1年生ながら全日本学生王座決定戦(王座)に出場したが、決勝で敗北し辛酸をなめた髙見。2019年世界ユース選手権2位、2020年全日本選手権3位など、十分すぎる実績を引っ提げ早大に入学した園田。そんな2人は王座に向けて、どのような準備を積んでいるのだろうか。
※この取材は6月12日にオンラインで行われたものです。
「10点が必要な試合だと痛感した」(髙見)

昨年の王座決勝で行射する髙見
――お二人はエリートアカデミーでも一緒に生活されていましたが、関係はいかがですか
髙見 その頃から変わらずという感じですね。今も昔もよく怒ってます。
――怒ることがあるんですね
髙見 高校の時が一番ひどかったです。毎日誰かに怒ってました。でも大学に入ったら、最初は覚えることがたくさんあるので。私と廣木(円華、人2=茨城・水戸二)が新人指導で、二人でこうした方がいいよ、と言うんですが、1年生の中で信頼してるのは稚だから、稚にきつく言っちゃうんですよね。そこはちょっと反省しています。
――園田選手から見て、指導は厳しいと感じていましたか
園田 厳しかったですけど、自分はあんまり人にズバズバ言えるタイプじゃないのですごいなと思いますし、言われて気づくこともありますし、指導されなくて後で「できてなかったよね」と言われるよりはそっちの方がいいですし。信頼してるからできることはありますね。
――お互いの性格についてはいかがですか
髙見 私最初からずっと言いたかったことがあって。こんなおしとやかな子じゃないです(笑)。めっちゃしゃべります。こんな真面目に話す子ではなくて、超が付くほど天然です。彼女はそれを天然だと思ってないです。おもしろい子です。
――髙見選手の印象はいかがですか
園田 あい先輩は本当に人見知りしないですし、本当に今のような、フレンドリーでずっと笑顔な感じです。昔と違うところはないですね。
――ここからは競技について質問していきます。まず髙見選手に伺います。昨年の王座から今までを振り返っていかがでしたか
髙見 やっぱり去年、本当にあと一歩のところで、私たちの点数もあまり悪くない中でのストレート負けで、同志社さんが本当に強くて。安久(詩乃)さんがずっと10点射ってたイメージしかなかったです。出ていた身としては本当に悔しくて、10点が必要な試合なんだなと痛感しました。そこからの練習は、うまくいかないこともあったんですが、王座でリベンジしたいという思いも強かったですし、すごくお世話になっている4年生の方たちと、王座制覇して最高の結果で終わってほしいとずっと感じていました。しんどくても、もっと頑張ろう、こんなところで諦めてられないという思いで、今まで頑張ってこられたと思います。10点に当てるために、外さないじゃなくて、当てるためにどうするかを考え直して、フォームとかを見直してこれたので、王座は私にとってターニングポイントだったかなと思います。
――具体的にフォームのどのような点を修正したのですか
髙見 一番は道具を変えました。青が好きでずっと青のハンドルしか使ったことがなかったんですが、気分転換として赤に変えてみました。あと大きかったのは、筋力が落ちたことで。冬は結構トレーニングをしていたんですが戻らなくて、やっぱり落ちた分を戻すのは時間がかかるので、それならと思って思い切ってポンドを下げました。近射で練習量を増やしたり、フォームに関しては一番変えたのは押し手だと思います。押し手が詰まりがち(肩が上がってしまう)なので、今もですが、前よりはよくなったと思います。あと顔向きも変えるように頑張っていて。王座の時のフォームと今とでは全然違うと思います。一つ一つできることからと思っていて、結構ずっとフォームは見直して変えていました。
――顔の向きも変えるのですね
髙見 本当は動かないのが一番なんですが、ずっとアンカーに入れるときに、私、顔で合わせにいくんですよ、無意識に。前か下に行っちゃって。前は百歩譲って、と言われるんですが、下に行くのはアンカーに入らなくなるので絶対ダメで。なのに無意識でやってるので、やばいなと思っています。意識してやって、しばらくしてまた下がって…同じことを繰り返してます。
――見つけてきた課題について今はどう対応していますか
髙見 まだまだ課題はたくさんあるんですが、(王座まで)あと1週間しかないので、できないところは割り切って、そこを気にするのではなくて、できるところに集中したいなと思っています。
世界ユース選手権で「アーチェリーに対する思いが変わった」(園田)

ナショナルチーム選考会で狙いを定める園田
――続いて園田選手に伺います。早稲田を選んだ理由は何だったのでしょうか
園田 高校生の時から、記録会で早稲田の選手と一緒になることもあって、雰囲気が良いので行きたいなと漠然と思っていて。3年生になって、あい先輩もいて行きやすそう、行ったら楽しそうだなと思ったので、志願しました。王座も2位ではありましたが、来年自分が1年生になる年に自分もメンバーに加わって優勝できたらいいなという思いがありました。今回選ばれたので、頑張りたいなと思っています。
――実際に練習に参加してみていかがですか
園田 みんなが、お互いに助け合う雰囲気があります。高校生の時はなかった雰囲気で、自分にとっても新しい刺激ですし、みんながアーチェリーうまくなりたいという気持ちで練習していて、自分も頑張ろうと思えるので、すごく楽しいです。
――高校の時との違いはどんなところにありますか
園田 高校の時はひたすら射つ、本数をこなすことばかりだったんですが、大学生になって環境も変わって、射てる時間も減ったので、量より質を求められることが増えました。自分のフォームや点数を考えさせられることが増えたので、自分についてより詳しくなったような気がします。
――大学に入って自分の知識がついたというのは、どのような点でしょうか
園田 技術面ですね。今まではずっと練習して、試合になってもただパーッと射って、ミスしても当たっても同じ気持ちでやってることが多かったんですが、大学に入って練習量が減って、練習量でカバーできなくなった分、自分のことについて考えるようになって。ミスしたらどこがどうなってミスしたのかとか、どうしたらそのミスが減らせるのか、より自分で考えるようになりました。試合でもしそれが出たら、次もそうするのではなく、減らすためにどうするのかを考えています。
――今まではミスしても当たっても動じていなかったということでしょうか
園田 なんでそこ行くんだろうなーみたいな感じで(笑)。例えば右にミスしてたら、ずっと右にミスすることもしばしばあって。でもコーチがいたので、稚もっとこうしてと言われて、分かりましたと言って、また射って、ということを繰り返していました。でも今はずっと見てくれるコーチがいないので、自分でそれをやるようになりました。
――これまで振り返って、園田選手はさまざまな大会に出場されています。その中で一番印象に残っている大会は何ですか
園田 おととしにあった、世界ユース選手権ですね。団体、個人、ミックスで出させていただいて、個人ではファイナルに出場してあと一歩のところで負けて2位だったんですが、本当に悔しくて。自分はそれまで、勝ちたいけど、自分の実力だからなと半分諦めている部分があったんですが、その試合のときはすごく悔しくて、もっと頑張れたなという点が大きかったです。そこで自分のアーチェリーに対する思いが変わったなと思います。
――アーチェリーへの思いはどう変わりましたか
園田 今までは勝負で競るとき、同点になったときとか、10点を射ったらほぼ勝ちに近づくんですが、その自信がなくて、しょうがないかなと諦める気持ちの方が大きくて。アーチェリーに対して100パーセント熱意がなくて、いけるところまででいいでしょという気持ちもありました。でもその試合の時に、何かあったというわけではないんですが、すごく悔しくて。今までそういう経験もあったのに、なんで自分で直してこなかったのかというのを考えて、自分の悪いところを見つけて、そこを直そうという気持ちになりました。
――勝ちたい気持ちが強まったのでしょうか
園田 そうですね、多分勝ちたい気持ちが増えたんだと思います。今までは勝っても負けてもどっちでもいいやという気持ちが大きくて、勝ったらうれしいけど負けたら自分の実力だよなというところがあったので、そこがなくなった気がします。
――そんな園田選手が、アーチェリーを続けていられる理由は何でしょうか
園田 その時はエリートアカデミーに入っていて、やめるという頭はなかったので、できるからやるという気持ちが強くて。自分は波があって、楽しいと思う時期とやめたいと思う時期も1年の中でいろいろあるけど、楽しい時期があるから続けられています。試合に行くと本当に楽しくて。自分は試合が好きで、勝負が好きというか、そこにいる人たちとのコミュニケーションがあることとか、いろんな要因で楽しいので、アーチェリーを続けています。
――髙見選手はいかがですか
髙見 昔は高校でやめるつもりだったので、高校まで頑張ろうくらいの気持ちでやってて。そうしたらアカデミーにスカウトしていただいて。アカデミーに入ったら、アーチェリーをやらなきゃいけないじゃないですか。やめるなんて選択肢はなくて正直きつかったんですが、さっき稚も言っていたように、アーチェリーやっていたからこそ出会えた人たちがたくさんいて。そこで出会えた人たちの方が、私の中で存在が大きいと思っています。だからやめられないなと思いますし、今の美優さん(中村美優主将、スポ4=北海道・旭川北)とか陽菜さん(高木陽菜、スポ4=東京・国際基督教大高)とかもそうですが、そういう人たちのために頑張りたいと思えるから、そういう出会いがあるからずっとアーチェリーやってるのかなと思います。
早稲田は時間に余裕をもって射てるのが強み

笑顔が印象的な昨年の王座メンバー。左から高木、中村主将、髙見、矢原七海(スポ2=福岡・柏陵)
――続いてお二人に伺います。ご自身の強みはどこにあると考えていますか
髙見 今は筋力も足りず、ポイントもはっきりしてなくて不安な中で練習をしているんですが、やっぱりこの1年で変わったなと思うのは、ネガティブにならなくなったことだと思っています。失敗しても、しょうがない、次頑張るしかないと、反省しすぎるのではなく、次はこうしたらいいというのを探す作業にすぐ移れるようになりました。そこではポジティブになったかなと思います。自分の中で踏ん切りが付けられるので、落ち込みすぎることは少なくなりました。
園田 自分は他の人に比べて、射つのが早い、時間を使わずに射てるタイプなので、団体戦でもみんなに時間を残して射てることが強みだと思います。そこで点数もしっかり出していけたら、先輩たちの役にも立てるかなと思います。
――逆に今課題に感じていることはありますか
髙見 私は結構グリップポイント(押し手のポイント)がはっきりしてないと射てないタイプなんですが、いつもそれを探しています。これだと思うのがあっても続けられなかったり、本当に合っているか疑いながら射ってしまうことが多いので、ここだと自信を持って射てるようになることが一番の課題です。
園田 私は今まで練習量に頼って、自分の感覚というか、センスを磨かなかったので、アーチェリー特有の射った瞬間にずらすとかをあまり考えてこなかったです。まだ足りない部分があるので、そこが弱みかなと思います。
――チームに関して、下級生の立場から見た今の王座メンバーの雰囲気はいかがですか
髙見 王座に出るチームの雰囲気は本当にいいと思います。私からすると過ごしてきた時間が一番長い、一番仲良い先輩たちと一番仲良い後輩なので。まだ稚が入りにくい部分もあると思うので、そこは私がサポートしていかなきゃと感じていますが、それ以外でも、誰から見てもいいチームだと思います。ちゃんとこうしてほしいと言えるし、練習の中で雑談とかで仲も深められるし、早稲田は笑顔が取り柄だと思います。
園田 自分は今練習で1番手で射っているんですが、自分がミスしても後ろの先輩たちが決めてくれるという安心感があります。焦らず落ち着いて射てるので、すごくいい雰囲気でやれていると思います。
――今のチームの強みは何だと考えていますか
髙見 一番の強みは、すごく時間に余裕をもって射てることだと思います。団体戦だと2分しっかり使うチームが多いんですが、早稲田って基本的にみんな早いんですよ。まず稚がすごく早いから、まだ稚が抜けた時点で1分半とか余っている状況で。風があっても戻せるし、待てるし、時間に全く不安がないのが強みです。
園田 あい先輩が言っていた通り時間の余裕がありますし、みんな決めてほしい時に10点に決めてくれるチームです。相手と競っている大事なとき、10点が必要なときに、射てる力のあるチームだと思います。
――個人のことについて伺います。1週間後に王座を控えていますが、今の調子はいかがですか
髙見 私はまだ100パーセントではないなと思っています。道具に関しては100パーセントにしたんですが、自分の気持ちの面で、実感が湧いていないというのもあるんですが、まだこれでいいやと思えるくらい自信がある練習ができていなくて。その不安な部分をあと2、3日でなくしたいなと思っています。
園田 私は高校生の時に比べて練習量も減っているので、自分の最高だった時に比べると低いですが、それよりも今はいろんな練習もして知識も増えています。今出せる最大限を出せるようにこの1週間で仕上げていきたいなと思っています。
――王座を控えた今の心境についてはいかがですか
髙見 あと1週間かと思うくらい、早かったなと思います。あと1週間で4年生の先輩たちも引退して、61代になるんだなと思うと実感がなくて。寂しいという思いが強いです。4年生の方々にお世話になって、絶対に恩返ししたいとずっと1年生の時から思っているので、60代として勝ちたい、もっと気を引き締めて頑張らなきゃなと思います。
園田 私もあまり王座だという感じがしないです。入学してすぐに出させていただいてうれしいので、4年生の先輩たちの役に立てるよう、気を引き締めていきたいなと思っています。
――お二人にとって4年生の存在というのはどのようなものでしょうか
髙見 私は2個上と結構仲が良かったので、話す機会も多くて。正直4年生がいなかったら私はどうやって部活をやっていけばいいんだろうというくらい存在が大きくて。私も一緒に引退したいですって言ってるくらい、本当に私にとって大きな存在です。
園田 私は早稲田に入って2カ月くらい一緒に練習してきて、直接指導はあまりなかったんですが、リーダーとしてチームを引っ張ってくれる姿を見たり、王座に向けて一生懸命練習している姿を同じ仲間として見てきたので、その先輩がいなくなってしまうのは、すごく寂しいなという気持ちがあります。
――王座に向けて、意識している選手や大学はありますか
髙見 上に来るのはきっと近畿大学さんとか、日本体育大学さんとか、同志社大学さんとか、基本的に変わらないと思います。やっぱりそういう大学さんを意識して今日も練習していました。意識しすぎるのは良くないかもしれませんが、去年(決勝で)負けた同志社大学さんには絶対に負けたくないと思いますし、どこもメンバーがそろっていて強豪なので、一戦一戦勝つために何ができるか、自分たちに集中してやっていきたいと思っています。
園田 あい先輩が言った大学の方にも負けられないですし、私はエリートアカデミーで同期だった日本体育大学の渡邉(麻央)という選手がいるんですが、プライベートでも仲良くしていて、なんとなくお互いに負けたくないなという気持ちがあります。今回も「何点だった?」という話にはなると思うので、そこでは負けたくないです。
――最後に、王座への意気込みをお願いします
髙見 去年と同じになるんですが、王座制覇します。60代のために、出られなかった男子の分も頑張りたいと思います。
園田 上の3人の足を引っ張らないように、王座制覇できたらいいなと思います。頑張ります。
――ありがとうございました!
(取材・編集 森山裕介、朝岡里奈)
◆髙見愛佳(たかみ・あいか)
2001(平13年)6月5日生まれ。東京・足立新田高/エリートアカデミー出身。スポーツ科学部2年。YouTuberの東海オンエアが大好きだという髙見選手。休みにはよく動画を見てリフレッシュしているんだそう。一番好きなのは「りょうくんです」と目を輝かせていました!
◆園田稚(そのだ・わか)
2002(平14年)4月23日生まれ。東京・足立新田高/エリートアカデミー出身。スポーツ科学部1年。TWICEやNiziUが好きで、オフには彼らの動画をよく見るという園田選手。インドア派と思いきや、出かけるのも好きなんだとか。国内で行きたいところは北海道。地元から遠く、あまり行ったことがないからだそうです!