首位川崎フロンターレは鹿島アントラーズに競り勝ち、開幕から20試合無敗のJ1新記録を打ち立てた。しかし、一時期のような…
首位川崎フロンターレは鹿島アントラーズに競り勝ち、開幕から20試合無敗のJ1新記録を打ち立てた。しかし、一時期のような大量得点を奪っての圧勝は見られなくなって久しい。気になるのは、代表選手たちの過密日程と疲労だ。三笘薫のドリブルの切れは鈍っていないか、田中碧のボール奪取の回数は減っていないか……。東京オリンピックが終わった後、フロンターレの野望「J1とACLの同時制覇」への視界は良好なままなのだろうか。
■替えのきかない田中碧と山根視来
そのため、主力選手たちに疲労がかなり溜まっているのは明らかだ。とくに厳しい状態にあるのが心境著しい田中碧だ。
無理もない。鬼木監督はMFの田中と右サイドバックの山根視来だけは全試合で起用しているのだ。
北海道コンサドーレ札幌との試合では田中はベンチスタートとなったが、これはきわめて異例のことだった。やはり、疲労を考慮されての休養だったのだろう。しかし、勝ちきれない展開の試合となったため、田中はハーフタイムに交代出場し、そして攻撃のテンポを上げることによってゲームの流れを変えて勝利の立役者となった。
なにしろ、田中と山根の2人はこれまで川崎フロンターレの全試合に出場しており、そして、そのほとんどがフル出場だ。
たとえば、川崎の左のサイドバックのファーストチョイスは登里だ。鋭い攻撃参加と俊足は何度もチームを救っている。だが、今シーズンの前半、登里が昨年の負傷が癒えずに欠場していた期間は旗手がサイドバック起用されていたし(だから、今回もU-24代表ではDF登録となった)、車屋が左サイドバックで起用されることも多い。
だが、右サイドバックは山根ただ1人なのだ(いざとなれば、登里は右もこなせるだろうが)。
こうして、過密スケジュールでチーム全員に疲労が溜まっている中、中心選手の1人である田中や山根の疲労度は相当に高くなっているのだ。
昨年の優勝チームである川崎にとって今シーズンの最大の補強は田中が急成長したことだった。接触プレーにも強くなったことで中盤でボールを奪い切る守備力を身に着け、前線のFWの足元に鋭く、速いボールを送り込む能力は他の追随を許さない。将来の日本代表の攻撃の中心になっていくべき選手である。
だからこそ、鬼木監督としても田中をベンチに退けることがなかなか難しいのだ。
しかも、田中も山根も日本代表にも招集されている。3月の代表戦では山根はA代表に参加して韓国を相手に先制ゴールを奪う活躍を見せ、一方の田中はUー24代表のアルゼンチンとの強化試合の第2戦で勝利の立役者となった。
■田中碧を待つ過酷なスケジュール
6月のU-24代表の活動(5日に対U-24ガーナ代表戦。12日に対ジャマイカ戦)でも田中は中心選手として活躍するはずだ。3月のアルゼンチン戦では実現しなかった田中と三笘のコンビネーションも代表の試合でぜひ見てみたい。また、オーバーエイジとして招集された遠藤航とのコンビネーションが確立されれば、秋に開幕する予定のアジア最終予選でも2人のコンビが活用できるようになるだろう。
しかし、U-24代表の活動が終わってチームに戻ってくると、すぐにACLのグループステージが待っており、田中はウズベキスタンに遠征して中央アジアの慣れない環境の中で6試合を戦うこととなる。さらに、ACLの戦いが終わるとすぐにオリンピックに向けたUー24代表の準備合宿に入り、東京オリンピックでは酷暑の中で最大6連戦を戦って、再び川崎に戻ってJ1の戦いに臨まなければならないのだ。
明らかに試合過多である。
もし、疲労を溜め込んだ田中碧が故障するようなことがあったら、川崎の「J1とACLの同時制覇」は難しくなってしまうかもしれないし、また、オリンピックでのメダル獲得にも黄色信号が点滅することになる。
ここはぜひ、川崎のスタッフと代表のスタッフで話し合って、どこかのタイミングで田中碧に休養を与える時間を設定すべきだろう。