ゴールラッシュの口火を切る見事な先制ゴールを含め、2得点3アシストという目に見える結果を出した南野拓実(サウサンプトン…
ゴールラッシュの口火を切る見事な先制ゴールを含め、2得点3アシストという目に見える結果を出した南野拓実(サウサンプトン)は、そのほかの得点シーンにも効果的に絡んだように、ナンバー10の役割を十分に果たしただろう。これで2次予選6試合連続ゴールである。その勝負強さも評価に値する。
森保一体制発足時から攻撃の軸を担い続ける南野は、大迫勇也(ブレーメン)と並んでこのチームのエースであることに疑いの余地はない。ただもっとも、そのエースの活用法を指揮官はいまだ定められないでいるように感じる。

日本代表の10番を背負ってプレーする南野拓実
森保監督を悩ませているのは、鎌田大地(フランクフルト)の台頭だ。
ドイツでたくましさを増すこのアタッカーは、柔らかさと力強さを兼ね備え、バイタルエリアで起点となれるプレーヤー。中央でどんと構えてボールを引き出せるので、CBやボランチは躊躇なく縦パスを打ち込むことができる。そこからの展開力も持ち合わせており、攻撃の流れを生み出すには打ってつけの人材だろう。
この鎌田の急成長により、それまでトップ下を主戦としてきた南野が左サイドに押しやられた格好だ。それが3月シリーズで導き出した、森保監督のひとつの答えである。
今回のミャンマー戦でも、並びは同じだった。もっとも、過去に「トップ下が一番やりやすい」と語っていたように、南野はやはり中央でこそ輝きを増すタイプ。サイドに張る機会は少なく、中目のポジションを取り、ボランチとディフェンスラインの間に入り込んでボールを引き出すプレーを頻発した。
懸念されたのは鎌田とのポジションかぶりだが、"渋滞"はさほど引き起こされなかった。
「大地や僕がスペースで受けて前を向ければ、チャンスになると感じていた。僕らふたりは相手のボランチとCBとの間のスペースをうまく使うタイプ。僕が外から入るか、大地が中から入るか。お互いがかぶらないように意識しながらできたと思う」
南野自身がそう語るように、両者がお互いの位置取りを意識しながら、プレーイメージを共有していたことがうかがえる。
また、南野が中に入ることで、背後に控える長友佑都(マルセイユ)の攻撃参加の機会も増加。そこからゴールも生まれたように、このシステムはある程度機能したように感じられた。
ただし、やはりというべきか、ファーストポジションがサイドであれば、当然ゴールから遠ざかることとなる。
先制点を奪ったものの、その後、大迫がゴールを重ねていくのとは対照的に、南野はそこからしばらくシュートを打てなかった。前半終了間際に半ば強引にシュートを放ったプレーから、10番の焦りを感じずにはいられなかった。
そうした南野の心情を察知したのか、森保監督は62分にボランチの守田英正(サンタクララ)に代えて、ウインガーの原口元気(ハノーファー)を投入。ボランチを1枚削り、原口を左に入れ、南野は鎌田とともにインサイドハーフ(シャドー)の位置に回った。
その直後、中央の位置で大迫のスルーパスを受けた南野の2点目が生まれることになる。相手が引きこもったことも影響しただろうが、ポジションを変えた南野はボールに関わる頻度が増え、得点の匂いも強く感じさせるようになっていた。
「前半の形だと、僕もサイドに張ってプレーすることもあるし、あえて広がりを持たせるやり方になる。シャドーの場合は、流動的に動きながらもっとFWの近くでプレーできるし、ボランチと同じラインまで落ちてボールを受けて運ぶというプレーもできる。今日の相手ではわからない部分もあるけど、どうやったらもっとお互いを生かしていけるかを、練習から考えながらプレーしていきたい」
どちらがいいという言及ではなかったが、ポジションによって当然、求められる仕事が変わってくる。それにより自身の持ち味が生きるか否かも変わってくることは確かだろう。
過去にも日本代表の10番には、ポジション問題がつきまとった。中村俊輔や香川真司も、ともにトップ下でのプレーを望みながらサイドに押しやられ、持ち味を発揮できないことがクローズアップされている。
とりわけドルトムントではトップ下として輝きを放っていた香川が、左サイドでプレーした代表では苦悶の表情を浮かべていた姿が思い出される。アルベルト・ザッケローニ時代の10番の苦悩が南野にも起こり得るかもしれないのだ。
先制点の場面に象徴されるように、前半の形でも鎌田との好連係は育まれている。しかし、サイドのポジションは守備のタスクがより求められるし、長友が高い位置を取るやり方である以上は、そこがウイークポイントとなる危険性も高まる。
モンゴルやミャンマーのように、常に押し込める展開であれば表面化はしないだろう。だが、相手の力量が高まり、低い位置まで押し込まれる展開になった時に、「前を向いてゴールに向かう」という南野の持ち味が希薄となる可能性も否定できない。
「システムをふたつ以上、チームとして持っておくのはアドバンテージになると思います。ただ、強い対戦相手に対してできてこそだと思うので、その部分は今回の活動を経て、最終予選では使えるようになっていないといけない。ワールドカップを見据えてやっているので、そういうチームとやった時にうまく機能できるようにやっていきたい」(南野)
サイドかシャドーか、あるいはトップ下か。10番のポジション問題は、今後の日本代表の強化における焦点となるだろう。まずは格上との対戦となる、6月11日のセルビア戦がひとつの試金石となりそうだ。