「投げていて楽しいとか、気持ちいいといった感覚がない」。リーグ戦4カードを終え、早慶戦も1週間後に控えたこの日。徳山が…


 

 「投げていて楽しいとか、気持ちいいといった感覚がない」。リーグ戦4カードを終え、早慶戦も1週間後に控えたこの日。徳山が発したその言葉に、今季の苦悩が詰まっていた。

 

 昨秋、圧倒的な成績で早大を優勝に導いた早川隆久前主将(令3スポ卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)が卒業。徳山にとっては、早大のエースナンバー『11』を背負い、新エースとして期待されてのシーズンだった。しかし、今季の防御率は3・96。立大1回戦では、初回に大量失点を喫し自己ワーストとなる3回6失点でノックアウト。勝ち星も二つにとどまり、エースとしての役割を果たせないままでいる。

 


攻守を見せた中川卓(左)と笑顔を見せる徳山

 

「自分の良いところをもっと伸ばせばよかったのに、あれもこれもとどうすれば良くなるのかを考え過ぎてしまい、長所が消えてしまった」。ここまでの不調の原因は『より高いレベルへ』という試行錯誤の中にあった。もともと直球を中心に据えて、球のキレや制球力で相手打者を打ち取る投球が徳山の持ち味。だが、多くのことを考え取り組んだ結果、向上心が裏目に出て、直球の質が低下してしまった。直球が痛打されるケースが多いのもそのため。本来の自分の長所が弱点となってしまい、苦しい投球を強いられているのだ。

 

 今季残すカードは早慶戦のみ。優勝の可能性はついえたが、それでも徳山は冷静に話す。「今できることをしっかりやって、秋に抑えて優勝できたらこの不調も良かったなと思える」。目先のことだけではなく、数歩先までを見据えた言葉だ。この経験を無駄にしない。そして絶対にこのままでは終わらないという強い決意を感じさせる。不調を乗り越え、さらに成長した姿を見せたその時、もう一つ上の景色が目の前に開けるだろう。

 

(記事 荻原亮)

 

※紙面に掲載している記事と同様になります。紙面はから。(5/29公開)

 

◆徳山壮磨(とくやま・そうま) 
1999(平11)年6月6日生まれのO型。183センチ、82キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。投手。右投右打。座右の銘に「頭は低く、目は高く、口は慎んで、心は広く」という空手家の大山倍達が残した言葉を選んだ徳山選手。野球人としてだけではなく、一人間の心構えとしてこの言葉を常に意識しているそうです!