チチパスやジョコビッチらが実践!4月のATPマスターズ1000モンテカルロ大会…

チチパスやジョコビッチらが実践!

4月のATPマスターズ1000モンテカルロ大会、ATP250リヨン大会と今シーズンのクレーコートで2勝を挙げるなど、このところ絶好調のステファノス・チチパス(ギリシャ/世界ランキング5位)。その理由を「呼吸法」や「瞑想」を取り入れたことによるものだと語った。テニス界ではノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク1位)も瞑想を実践しており、テニス以外でもコート上で自分をコントロールするためにその効果を実感しているアスリートが多い。今回は、アスリートが瞑想を取り入れることで得られる効果について紹介する。

【動画】モンテカルロ大会でのチチパスのスーパーショット集!

瞑想(メディテーション)とは
心配事を消し去るために行うもの

私たちは、本能的に身を守るためにネガティブな思考を持っている。例えば、「もしこの車が急に発進したら、ひかれるかもしれない」と思うことで、車から離れて歩いたりする予防的な行動が生まれる。一方、このような脳の働きが、時にテニスプレーヤーをはじめとするアスリートが自身の能力を最大限発揮する妨げになる場合がある。リスクをとって打ちこまなければならないタイミングで怖くなってミスをしたり、負けるのを恐れて保守的になりすぎてしまったりする。そのようなネガティブな感情をコントロールするために活用されるのが、瞑想のスキルだ。

瞑想は、ネガティブな考えや心配事を頭から消し去る効果がある。方法としては、まず安全で静かな場所に座り、目を閉じることから始める。目を閉じると、頭の中にたくさんの考えが存在していることがわかるため、それを一つずつ「この件を考えるのは後回しにしよう」と片付けていく。

考え事が一切なく、脳の中に何もない状態をつくるのが瞑想であり、訓練を続けると、すぐに頭が空っぽな状態をつくり出すことができるようになる。

とはいえ、いつも何かを考えるのが当たり前になっている私たちにとっては、突然、何も考えるなと言われても実践するのは難しい。そこで、まずは目を閉じた状態で呼吸の「吸う」「吐く」に集中してみるところから始めると、導入しやすくなる。そこから徐々に、鼻から長い時間をかけて呼吸をしたりしてコントロールできるようになると、瞑想がより深まるとされている。チチパスが語った呼吸法も、呼吸から精神をコントロールするために用いられている。

瞑想とマインドフルネスの関係

西洋において考え方が爆発的に広がったマインドフルネス。この言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。マインドフルネスは、ひと言で表すと「自分らしく今、この瞬間を生きる」ということ。私たちの脳は、将来、起こるかもしれない出来事を恐れたり、周囲に影響され過ぎて自分らしい決断を下せなかったりする。それらの外的な要因から解き放たれ、自分らしく今、この現在を生きるという考え方がマインドフルネスだ。

このマインドフルネスを実現させるために、瞑想が用いられている。そして、このマインドフルネスとテニスには非常に深い関係がある。

松岡修造氏が試合中に叫んだ
「この一球は絶対無二の一球なり」

「この一球は絶対無二の一球なり」という言葉は、早稲田大学庭球部のOBである福田雅之助氏が部に送った名言の一部。早稲田大学出身ではないが、元テニスプレーヤーの松岡修造氏がウィンブルドンでの試合で、マッチポイントまであと一本という場面で「この一球は絶対無二の一球なり」と叫んでサーブを放ち、ベスト8進出を決めたと言われている。

この言葉にある状態こそ、マインドフルネスな考え方である。結果を気にしすぎて感情が揺れたり、犯したミスにいつまでも引きずられたりするのではなく、今この一球のためだけに生きる。それこそがマインドフルネスな状態であり、アスリートが最も能力を発揮しやすい状況であると言える。

ナイキのパフォーマンスカウンシルのメンバーを務める心理学博士のミーガン・ジョーンズ・ベル氏は、瞑想を「スキル」であり、練習して身につける必要があるとしている。瞑想を身につけることができた選手は、コート上の練習だけでは得ることのできない、テニスにおいて最も重要なスキルを身につけたと言えるだろう。