今年2月のまだ肌寒い日のインタビューで、20歳の西村優菜は昨年から続く2020-2021シーズンの目標として、「複数回優勝と賞金ランキングトップ5以内」を掲げていた。「最終的には海外メジャー制覇が目標です。その目標に少しでも近づける一年に…

 今年2月のまだ肌寒い日のインタビューで、20歳の西村優菜は昨年から続く2020-2021シーズンの目標として、「複数回優勝と賞金ランキングトップ5以内」を掲げていた。

「最終的には海外メジャー制覇が目標です。その目標に少しでも近づける一年にしたい」

 ツアー通算4勝(うち1勝はアマチュア時代)の古江彩佳とともに、昨年11月の樋口久子 三菱電機レディスでプロ初優勝を遂げている西村は、2000年度に生まれたミレニアム世代を牽引する立場だろう。

 そして、国内メジャー制覇の勲章は、同世代で誰より早く手にした。5月の第2日曜日の母の日に、4日間競技となる公式戦、ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ(茨城・茨城GC)を制し、ツアー2勝目を飾ったのだ。



ミレニアム世代で最初のメジャー制覇を遂げた西村優菜

 ツアーに帯同する母・枝里子さんが見守るなか、涙の快挙だった。

「母には、私のゴルフにずっとついてきてもらっていて、自分の好きなこともできていないだろうし、犠牲にしているものもたくさんあるはず。その分、こうやって優勝という最高の結果で恩返しできたのはよかった。本当にありがとうと伝えたいです。

 プロ2年目というこんなに早い段階で、メジャー優勝をできたことはすごくうれしい。(同級生の)古江さんもすっごく技術があって、刺激をもらいながらやってきた。一緒にレベルアップできたらいい」

 首位と3打差でスタートした最終日は"おはようバーディー"で勢いをつけ、前半だけで2つスコアを伸ばした。さらに12番のミドル、13番のショートでバーディーを重ね、気がつけば、最終日を首位で迎えた高橋彩華や、前半でスコアを伸ばしていた大里桃子らを逆転し、2位に2打差をつけて単独首位に立った。

 一日を通じてツアー史上最速という14フィートに設定された高速グリーンを攻略し、トップに立ってからも冷静さを保って逃げ切った。

「アウトを耐えて、インで3つ伸ばすイメージでスタートしました。(優勝争いの)緊張はあったんですけど、マネジメントに集中しなきゃいけない状況だったので、かえって平常心でプレーできました。

 7番の(5mの)バーディーパットはよかった。6番で短いパットを外してしまって、ちょっと流れが悪くなりそうなところを取り返せた(バウンスバックできた)のが、リズムよく回れた要因だと思います」

 西村の身長はツアーでも小柄な部類に入る150cm。ドライビングディスタンスは61位と、「飛距離には限界がある」と話す西村は、昨年末からのオフの間にショートウッドやショートゲームの技術を磨いた。

「今週はチップインが3回あった。グリーン周りからバーディーを狙えるというシーンがすごく多くて、これは昨年からの成長だと感じられます」

 4日間連続で、60台で回ったことも自信になった。初の国内メジャー制覇で、賞金ランキングも目標とする5位以内にあと一歩の6位まで上がった。

「まだまだ試合は続く。トップ10に入る回数を増やして、まずは複数回優勝できるように。その結果、賞金ランキングトップ5、賞金女王に少しでも近づけたら」

 座右の銘は「日々成長」。進化を重ねる"小さな新星"が、また一歩、夢に近づいた。