【イングリッシュ・プレミアリーグ マンチェスター・シティvsチェルシー 2021年5月6日(日本時間25:30キックオフ…

【イングリッシュ・プレミアリーグ マンチェスター・シティvsチェルシー 2021年5月6日(日本時間25:30キックオフ)】

 あまりに多くのものが懸かり、複雑に絡み合った試合だった。

 マンチェスター・シティとチェルシーが対戦するのは、これが今季3度目となる。そして、3週間後、再び対戦する。チャンピオンズリーグ決勝の舞台で、シーズンを締めくくるのだ。

 ミッドウィークに行われたCL準決勝を互いに勝ち抜き、今節のリーグ戦は突然、ヨーロッパ王者を決める試合の前哨戦となった。シーズンラストの大一番を前にして、互いに手の内はできるだけさらしたくないところだっただろう。

 だが、この一戦も十分に重要なゲームだった。マンチェスター・シティは、勝てばプレミアリーグ優勝が決まる。チェルシーとしても、来季のCL出場権獲得を確実にするため、残り4試合で着実に勝ち点を積み上げていく必要があった。

 より慎重だったのは、バルセロナでは手にしたビッグイヤーを前任のバイエルン・ミュンヘンで唯一取り逃しているペップ・グアルディオラだった。マンチェスター・シティは、パリ・サンジェルマンをホームに迎えたミッドウィークのCL準決勝セカンドレグから、GKエデルソンとルベン・ディアスを除く先発9人を入れ替えた。その9人はリーグ戦前節で先発していた選手であるものの、なんとフォーメーションを今季ほとんど採用していない3バックに変更してきた。

■シティが採用した驚きのシステム

 シティの今季の1試合あたりの平均パス数は675本。この試合ではその平均値よりもかなり少なく、相手のチェルシーをも下回る537本のパスにとどまったが、前半から前に出る姿勢を示していた。左CBのネイサン・アケを左に開かせ、ウィングバックのバンジャマン・メンディを高く押し出す。先に惜しいシュートを放ったのも、シティだった。

 本数は少ない分、シティは長短のパスを効果的に使っていた。それが実ったのが44分。自陣からのロングパスに走り込んだガブリエル・ジェズスがDFとラッキーな形で入れ替わることに成功。ボックス内からのクロスを、最後はラヒーム・スターリングが押し込み先制した。

 対するトーマス・トゥヘルも、3日前のレアル・マドリード戦から、先発5人を変えてきた。ただし、シティほどに大胆ではなく、3-4-2-1のフォーメーションは崩さなかった。

 むしろ、1トップに入ったティモ・ヴェルナーは、トゥヘルの親心と受け止めていたかもしれない。巨額の移籍金で招かれたプレミアリーグ初年度で、ゴールから見放される時間が長かった。CL決勝に向けても良い流れをつくり出そうとするかのように、快足を飛ばして攻撃の急先鋒となるシーンを披露していた。オフサイドではあったものの、1度はゴールネットを揺らしている。

 トゥヘルには、うれしい悩みが増えたかもしれない。セサル・アスピリクエタの起用法である。レアル・マドリード戦では右ウィングバックに入っていたが、この試合ではトゥヘルの初陣同様に3バックの右で先発した。その監督交代で右サイドバックからCBに入った頃のように、ボール奪取、攻撃参加と存在感を示す。同点ゴールの引き金を引いたのも、このスペイン代表DFだった。ハーフウェイライン付近でハキム・ジエシュが追っていたロドリゴから、かっさらうようにボールを奪って起点となる。その一連のプレーを締めたのも、アスピリクエタ。ボックス付近にいる4人の中から、最もDFの付きが甘いジエシュを冷静に発見。パスを通して同点ゴールを導いた。

■トゥヘル初陣を彷彿とさせる決勝点

 試合が振り出しに戻った時点から、互いにカードを切り当って勝ち点3を取りに行ったが、勝利の女神がほほ笑んだのは、より自分たちの形を崩さなかったチェルシーだった。痛み分けが見えてきたアディショナルタイム、右サイドのスペースへボールを呼び込んだのは、労をいとわず走り続けていたヴェルナーだった。ゴール右からの折り返しに走り込んでいたのは、トゥヘルの下で出番を取り戻していたマルコス・アロンソ。逆サイドでの展開と相手DFの位置を注意深く観察していた左ウィングバックが、劇的な逆転ゴールを蹴り込んだ。

 今回は、チェルシーが笑った。だが、アンドレアス・クリステンセンが負傷退場するアクシデントもあった。選手起用に、さらに頭を使うこととなった。

 先制直後にシティが奪ったPKをセルヒオ・アグエロが決めていれば、また流れは変わっていたかもしれない。それでもグアルディオラは、パネンカを失敗したアグエロを責めることはしなかった。この日の戴冠はならなかったが、翌日の2位マンチェスター・ユナイテッドの結果次第では、タイトルが転がり込んでくる可能性がある。とにかく、最後に笑えばいい。賢人の目はCL決勝、あるいはもっと先を見つめているのかもしれない。

 シティが今季残す公式戦は、あと4試合。一方でチェルシーが5試合であるのは、FAカップ決勝を挟むからだ。チームマネジメントなどピッチ内外で、CLファイナリストたちの複雑で、熱い戦いが続く。

■結果 マンチェスター・シティ 1-2 チェルシー

■得点
44分 ラヒーム・スターリング(マンC)
63分 ハキム・ジエシュ(チェルシー)
90+2分 セサル・アスピリクエタ(チェルシー)

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