【明治安田J1リーグ 第13節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸 2021年5月9日 13:03キックオフ】「黛也、ど…
【明治安田J1リーグ 第13節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸 2021年5月9日 13:03キックオフ】
「黛也、どうした!」
神戸のゴールキーパー、前川黛也にそう呼びかけたのは、おそらく酒井高徳だった。
前半、時間を追うごとにマリノスは神戸のプレス強度に慣れ、一方的な時間帯が続くようになった。攻撃を凌ぐだけの時間が長くなっていった中で、なるべくゴールから遠いところでプレーをしてもらいたくなったのだろう。前川はロングボールで前線に託すことを選ぶようになっていった。
先の掛け声が飛んだのはその時だ。
この試合でマルコス・ジュニオールがアクシデントでピッチを去ったものの、急遽投入された天野純が大活躍を見せたように、今のマリノスは誰が出てきても、そしてどんな状況でも、自分たちのスタイルを貫き通している。
好調同士の対戦となったこの試合で差になっていたのはその部分だった。試合開始直後こそ勢いよくプレスをかけた神戸だったが、マリノスに適応されて一度ペースを握られてからはビルドアップをしようにも焦りからミスが出てしまうようになり、いつしか耐えるばかりになっていた。
■背番号1の活躍
アンドレス・イニエスタやアユブ・マシカ、リンコンといった強力な選手が控えていることも、その姿勢に拍車をかけてしまったのかもしれない。神戸は自らの戦い方を出そうと試みなくなってしまい、前川のロングボールはそれがわかりやすく表れたものだった。
酒井以外にもその状況を危惧していた選手はいる。山口蛍は試合後「チーム全員がもう少し勇気を持ってトライしていかないといけない」「びびっていてはうまくいかないのは当然」とコメントしたが、日本代表に選出されるまでに成長を遂げ「プレーの意識は日本代表で変わった」(4月の湘南戦後)とまで言う背番号1は決してそのまま終わろうとはしなかった。
79分、バックパスを受けた彼が選んだのは、思い切って中央を前へと進むことだった。レオ・セアラを置き去りにし、左に展開しようとしたところまでは素晴らしい判断とプレーだったが、そこでキックミスをしてしまい失点に繋がってしまった。
結果が手痛いものになってしまったためにエラーの部分だけが大きく目立ってしまうことになったが、これが神戸らしさを取り戻そうとしたプレーだったことは特筆しておきたい。前半に「どうした!」と言われた消極的な姿はそこにはなかった。
■まだ25試合もある
山川哲史や菊池流帆も臆せずにトライをすることで急成長を遂げてきた。これまでの前川もそうだ。湘南戦ではビルドアップの場面で山川へのパスをミスして相手のスローインにしてしまっても、すぐに再び同じチャレンジをした。たとえミスをしても、山口が言っているように、酒井やフェルマーレンら経験豊富な選手たちはそれが意味のあるプレーをしようとしたものであれば好意的に捉えてくれる。
敗れた神戸だが、まだ2敗目。順位も5位だ。今回は結果がついてこなかったものの、試合の中で見失ってしまった自分たちの戦い方を、らしさを失ってしまっていた前川自身が取り戻そうとしてみせたことは、まだここから25試合もあるリーグ戦、そしてクラブの将来にとって大きなプラスに変わっていくだろう。
■試合結果
横浜F・マリノス 2―0 ヴィッセル神戸
■得点
41分 オウンゴール(横浜F・マリノスの得点)
80分 天野純(横浜F・マリノス)