慶大戦連敗後、田中監督が寮内清掃を選手に課したという

 東京六大学野球の春季リーグは第5週を迎え、8日の第1試合は3-1で明大が法大に競り勝った。エースの竹田祐投手(4年)がリーグ戦初完投勝利。第3週で慶大に2連敗を喫した悔しさを跳ね返した。

「1週空いて、その時間を本当に有効に使えたなっていう率直な気持ちです」。田中武宏監督は安堵感を滲ませながら試合を振り返った。4月24日は慶大に5-6で敗戦。竹田は6回途中6失点と不甲斐ない結果に終わっていた。翌25日も1-4でチームは2連敗を喫した。

 2週間前、神宮球場を後にした明大野球部は帰寮後、練習ではなくあることに取り組んでいた。「メンバーは帰って全員で寮内の清掃を行いました」。普段から技術のことはあまり口にしないという田中監督。チームの悪い流れを断ち切るために選手に課したのは寮内の清掃だった。

“人間力野球”を掲げる明大野球部。もちろん、普段から4年生がトイレの清掃を行うなど、「島岡寮」は清潔に保たれている。しかし、指揮官の狙いはただ綺麗にするということではもちろんなかった。「野球ができるという感謝を、ね。全員寮生活でやらせてもらっているのも親御さんがお金を払ってくれているから。綺麗にするのは当たり前。より一層日常生活を厳しくしました」。清掃後はグラウンドで練習もしたというが、誰一人嫌な顔せず法大戦に気持ちを向けていた。

エース竹田がリーグ戦初完投勝利&1年生の宗山が初本塁打

 試合は竹田が9回を投げ、失点は5回に三浦銀二投手(4年)に本塁打を放たれた1点のみ。107球の完投で「(エースナンバーの)11番にふさわしい投手に近づいてきた」と指揮官もうなずく投球を披露した。期待のルーキー宗山塁内野手(1年)のリーグ戦初ヒット、初ホームランもあり、法大との初戦を白星で飾った。

 竹田が「野手のみんなに助けてもらったので次は自分が助けられたらいいなと思います」と振り返ると、宗山は「自分の結果を追い求めるんじゃなくてチームが勝つためにっていうのを常に意識しています」と話す。それぞれが誰かのおかげ、誰かの為にという気持ちを持ってグラウンドに立っている。

「(慶大に)負けた瞬間から、チームは特に4年生を中心に野球以外のことをやってくれた。やっぱり生きてくるんだなあ」と語る田中監督は、最後にこう言い残した。「明日も明治らしい野球をしたいと思います」。明治の伝統である“人間力野球”が息を吹き返してきた。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。