リーグ屈指の左腕が待望の今季初勝利 東京六大学野球春季リーグ第4週の第2日が2日、神宮球場で行われ、法大が5-1で早大に勝利した。先発の山下輝投手が8回112球を投げ、被安打5、10奪三振の快投。初回こそ失策などでバタつき1点を失ったが、以…

リーグ屈指の左腕が待望の今季初勝利

 東京六大学野球春季リーグ第4週の第2日が2日、神宮球場で行われ、法大が5-1で早大に勝利した。先発の山下輝投手が8回112球を投げ、被安打5、10奪三振の快投。初回こそ失策などでバタつき1点を失ったが、以降は得点を許さなかった。「真っすぐとカットボールが良かった。ランナーを出してから粘れたのが良かった」と納得の表情。加藤重雄監督も「今季1番良かったんじゃないかな。安心感がありました」とうなずいた。

 珍しくマウンド上で気持ちを前面に出した。「自分が声を出して投げたり、そういうことによって打線にも火が付くかなと」。鬼気迫る姿に、加藤監督も「マウンドでの唸り声は普段から聞いたことがない。きょうは気合が入っていた」と驚いていた。

 右のエース・三浦銀二と左のエース・山下の「2枚看板」を擁する法大。開幕からなかなか得点することができず、苦しい戦いが続いてきた。加藤監督も「もう少し打ってくれると思っていた」と嘆き節。しかし、この日は鬱憤を晴らすような12安打。マウンドで山下が見せる気迫に、打線も応えた。

裏では偉大な先輩がプロの舞台で投げ合っていた

 この日、楽天生命パークで行われていた楽天-ロッテ戦は、東京六大学ファンも注目する投げ合いだった。昨年のリーグ戦でエースとして凌ぎを削った楽天ドラフト1位の早川隆久投手(早大)と、ロッテドラフト1位の鈴木昭汰投手(法大)が投げ合った。

「おふたりとも接点のある先輩なので、刺激は常にもらっています」

 山下は、高校では木更津総合で早川の後輩、大学では鈴木の後輩にあたる。偉大な先輩の背中を間近で見てきた。「やっぱりあの世代の左ピッチャーだったら、おふたりがとびぬけて凄い」。昨年はベンチから、両投手の投げ合いを目に焼き付けていた。エースの立ち振る舞いは自らも参考にしている。

「昭汰さんに関しては、日ごろの練習からランニング量のすごさや投げている姿をずっと見てきた。マウンドでの度胸というのは早川さんと昭汰さんは似ていて堂々としている」

 直球の質や変化球の使い方……。同じ左腕ということもあり、学ぶことも多かった。

 身長188センチ、体重95キロと大きな体から、最速151キロの直球を投げる左腕は、プロからの注目も集める。早大・小宮山悟監督も「ボールそのものは相当なレベル」と評価していた。高校、大学の偉大な先輩を追いかけ、プロを目指している。

 この日の勝利で早大相手に1勝1敗。早大と勝ち点で並び、3位につけている。第1戦を任されている三浦の安定感は抜群。打線が噛み合えば自ずと優勝は見えてくる。春連覇へ、負けられない戦いが続く。(上野明洸 / Akihiro Ueno)