卓球の低年齢化が進む昨今、小学生以下で卓球をはじめた選手が中学、高校以降でも活躍するケースが多い。一方で中学スタートでも創意工夫と戦略次第では、高校での全国大会出場も夢ではない。そこでRallysではトップアスリートや全国のプロコーチ・指導…

卓球の低年齢化が進む昨今、小学生以下で卓球をはじめた選手が中学、高校以降でも活躍するケースが多い。

一方で中学スタートでも創意工夫と戦略次第では、高校での全国大会出場も夢ではない。

そこでRallysではトップアスリートや全国のプロコーチ・指導者の力を借りながら、中学から卓球をスタートした高校生が各都道府県の代表となって全国大会出場を目指すためのヒントを継続して探っていく。

今回は中学の部活動で卓球を始めた高校1年生の宗萌美さん(千葉商科大学附属高)をプロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。

テーマは「全国を目指すために大切な初期設定」についてだ。




原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。

全国を目指す第一歩は「現在地の把握」から

中学1年で部活動で卓球を始めた宗さんは現在卓球歴3年。

ここから全国大会を目指すために最初にやるべきことは「今の自分のレベルを知ること」だ。

実際の指導シーン 〜1:40

「県でどれくらいの位置にいるのか、その前の地区(宗選手の場合は千葉県の市川・浦安地区)で何位に位置しているのか」を把握し、現実を明確に理解することからスタートする。

宗さんの場合、直近で高校1年生から3年生までが出場する地区大会があり、その結果が一つの目安になるという。

現在地を把握した上で、いつどのぐらいの実力になることを目指すのかを決めるという方針だ。

例え現在のレベルが低くても問題は無い。3年間をフルに使って実力を伸ばし、計画的にステップアップしていくことでチャンスは必ず巡ってくる。

全国大会の出場条件を調べよ



続いて大切なのが「“試合の種類”と“全国大会出場の条件”を調べること」だ。

シングルスの個人戦であれば、インターハイや全日本ジュニア、全国選抜のシングルス、東京選手権ジュニアなどが目指す全国大会のターゲットになり得る。

各都道府県の人口やレベルによって全国大会の出場枠の数は変わるが、調べてみると「意外と自分でもチャンスがあるかも」と思えるケースもある。

例えば全国高校選抜の個人戦の代表は団体戦出場校以外から選ばれ、かつ高1、高2のみが出場する。つまり、強豪校に所属していない選手にとってはインターハイよりも出場しやすい可能性が高い。

また、東京選手権は全国大会ながら推薦枠も幅広い。

「全ての選手が“今年の夏にインターハイに出る”という目標を立てる必要はない」と原田コーチも現在のレベルから逆算した現実的な目標設定を推奨する。

ライバルの「名前」と「戦型」を把握せよ




ライバルの名前と戦型を把握することにより、倒すべき相手が明確になり、練習にも身が入る。写真は星優真選手(東山高校)/撮影:ラリーズ編集部

次に大切になるのがライバルの研究だ。

まずは同級生の他校のライバル。そして上級生についても、どの学校の誰が強いのかを具体的に把握する必要がある。

「これがないと誰に勝ってどう進んで行ったら全国大会に行けるのかが分からない。長期計画や明確なビジョンが描けない」と原田コーチは強調する。



「大きな目標を長期で立てる時は、ポイント(中間地点)を通過していくことが大切」(原田コーチ)

この通過すべき中間地点が1人1人のライバルたちなのだ。

「○○高校の○○さんは右シェーク、バック粒高」など具体的な戦型も含めてマークしておき、そのライバルたちを倒すための練習を日頃から行うという考えだ。こうすることで日々の練習の目的意識が明確になる。

強みを徹底的に伸ばせ



現在地と目標とする大会、ライバルの把握と並行して行うのが、もちろん自身のレベルアップだ。

原田コーチは「まず強みを知り徹底的に伸ばす。弱みは強みを徹底的に伸ばし切ってから考えましょう」と助言する。

宗さんの場合は、強みのフォアハンドを強化するための指導が始まった。

実際の練習シーン 〜6:06

今回はコンパクトなフォームでのフォアドライブがテーマ。

早いピッチの連打をする際に、ラケットの角に当たったり、オーバーミスしてしまう原因は戻りが遅いことと、ラケットの高さが下がっしまうこと。これがないように反復練習を繰り返していた。

今回のまとめ



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文:ラリーズ編集部
企画協力:礼武卓球道場