古馬の「長距離王決定戦」と言えるGI天皇賞・春(阪神・芝3200m)が5月2日に行なわれる。 過去10年の結果を振り返…

 古馬の「長距離王決定戦」と言えるGI天皇賞・春(阪神・芝3200m)が5月2日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は3勝、2着1回と信頼度は今ひとつ。おかげで、3連単では過去10年で6回も10万円超えの高配当が生まれている。2012年には145万2520円という超高配当まで飛び出している。

 そして今年も、荒れる雰囲気が漂っている。というのも、京都競馬場の改修工事によって、阪神競馬場で施行されるからだ。この舞台替わりについて、日刊スポーツの太田尚樹記者はこう語る。

「例年なら、開幕2週目の京都で行なわれる天皇賞・春。そのため、高速決着や瞬発力勝負になることが多く、長丁場のレースながら、スピードが求められることが結構ありました。

 それが今年は、12週連続開催の最終日となる阪神が舞台。依然、速い時計が出ていますが、内回りに限れば、上がりタイムも鈍り始めています。馬場が荒れていることは確かで、例年のような瞬発力勝負にはならないはず。長丁場のレースらしく、持久力がより問われると思います」

 また、デイリー馬三郎の木村拓人記者も、阪神開催であることが今年の大きなポイントになるとして、波乱ムードを匂わせる。

「京都では、3コーナーすぎからの下り坂で加速して、ステイヤータイプでなくてもがんばり切れてしまうのが特徴でした。しかし、直線の上り坂を2回走ることになる阪神では、従来の天皇賞・春よりもタフな条件となって、今まで以上に長距離適性が求められることになるでしょう。

 実は、過去2年の覇者であるフィエールマンを管理していた手塚貴久調教師に以前、『3連覇はどうか?』と聞いた際に『阪神ではどうかな......』と洩らしていました。つまり、阪神が舞台となると、中距離実績の延長線上では通用しないかも、ということ。

 とすれば、中距離では足りない馬、より長い距離に適した馬を狙いたい。そういう意味では、前走で気性面における難しさを出したアリストテレス(牡4歳)や、タフさに疑問がある上位人気の牝馬たちはどうかな、と思っています」


長距離戦で安定した結果を残しているユーキャンスマイル

 そこで、木村記者はユーキャンスマイル(牡6歳)を有力な伏兵候補に挙げた。同馬は、3歳時のGI菊花賞(京都・芝3000m)で3着と好走し、過去2回挑んだ天皇賞・春でも5着(2019年)、4着(2020年)と善戦。さらに、GII阪神大賞典(阪神・芝3000m)でも、1着(2020年)、2着(2021年)と結果を残している、現役屈指の"長距離砲"だ。

「ユーキャンスマイルは、最後の切れ味を求められる東京や京都ではワンパンチ足りないのですが、阪神大賞典での実績でもわかるように、今年の舞台は最適。コース替わりが最も有利に働くのは、この馬と見ています。

 前走は休み明けということもあって、最後は勝ち馬に離されましたけど、2着を確保。底力もあり、タフな馬場にも十分対応できるはずです」

 木村記者はもう1頭、「本命にしてもいいくらい」と言って、ディバインフォース(牡5歳)を推奨する。今回は"平成の盾男"武豊騎手が騎乗するのも魅力だ。

「まだ3勝クラスの格上挑戦になりますが、勝ちあぐねているのは、いかにもスタミナ比べのステイヤータイプであるため。要するに、今年のレースこそ、この馬の出番と言えます。

 2走前の2勝クラス・淡路特別(3月20日/阪神・芝2600m)では、距離とタフなコースを味方につけて快勝。3歳時には菊花賞でも4着と奮闘し、長距離適性を感じます。他の馬が阪神・芝3200mでパフォーマンスを落とす分、この馬には利があるでしょう」

 一方、太田記者はディアスティマ(牡4歳)に注目する。

「新装後、阪神・芝3200mで唯一行なわれた前走の3勝クラス・松籟S(2月27日/阪神・芝3200m)の勝ち馬。1周目=外回り→2周目=内回りという特殊なコースを経験した"地の利"があります。

 3勝クラスのレースとはいえ、3馬身差の圧勝。とりわけ、刻んだラップが秀逸でした。最初の1000mを59秒4という速いタイムで入って、続く1000m~2000mでは63秒7と緩めたものの、2000m~3000mで再び59秒2という速い時計をマーク。よどみないラップを刻んで、後続のスタミナを奪いました。まさに典型的なステイヤーの勝ちっぷりでした。

 同馬を管理する高野友和調教師も、『見た目は、3200mは持たないんじゃないか、というくらいムキムキですけど、外見と内面が違って、いい心臓を持っている。性格もパニックにならず、走れる。前走のラップを分析して"天皇賞へ行きましょう!"となった』と、十分な手応えを抱いています。GI大阪杯を逃げ切った僚馬レイパパレの再現もあり得るでしょう」

 太田記者ももう1頭、気になる馬がいるという。

「オーソリティ(牡4歳)です。前走のGIIIダイヤモンドS(2月20日/東京・芝3400m)では1番人気に推されながら2着。その結果、思っていたよりも人気を落とした印象で、人気の盲点と言えるかもしれません。

 前走は、鞍上の川田将雅騎手がなだめて我慢させ、直線半ばで先頭に立つ勝ちパターンでしたが、結果的に抜け出すのが早すぎたことで、勝ち馬の目標にされてしまいました。決して、距離が敗因ではありません。むしろ、適性を示したパフォーマンスだったと言えます。

 成績的には左回りがベターといった印象がありますが、右回りでも2勝を挙げています。そして、長距離戦でモノを言うのが、鞍上の手綱さばき。今年、GI2勝を含めて重賞9勝と、相変わらず大舞台に強い川田騎手の存在も、大きなプラス材料となるでしょう」

 確たる主役不在で波乱必至の伝統の一戦。ここに挙げた4頭が、アッと驚くような高配当をもたらしてくれるかもしれない。