【大恵陽子=コラム『ちょっと馬ニアックな世界』】 先週13日、園田競馬場で3名の新人騎手がデビューしました。園田・姫路…
【大恵陽子=コラム『ちょっと馬ニアックな世界』】
先週13日、園田競馬場で3名の新人騎手がデビューしました。園田・姫路で初の女性騎手となる佐々木世麗(ささき・せれい)騎手と、男性の大山龍太郎(おおやま・りゅうたろう)騎手、長尾翼玖(ながお・たすく)騎手。いずれも所属するのはトップ厩舎で、自厩舎からのバックアップに応え、3人ともがデビュー週に初勝利を挙げました。
騎手激戦区ともいわれる園田・姫路でこれだけ早く初勝利を挙げるのはすごいこと。しかし、実際はデビュー初日は緊張から唇が青くなったり、悔しさに天を仰いだり、悲喜こもごもな1週間でした。10代の3人はジョッキーとしてどんなデビュー週を過ごしたのか、「ちょっと馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。
◆デビュー週に3勝! 「気持ちが楽になった」と佐々木騎手
ついに園田・姫路競馬に初となる女性騎手が誕生しました。
佐々木世麗騎手、18歳。落語を習っていた中学生の時には、地元・広島のテレビ局から密着取材を受けたこともありましたが、彼女が選んだのはジョッキーの道。ダートグレードレース3勝を誇り、園田・姫路リーディングの新子雅司厩舎所属としてデビューを迎えました。
「今朝の調教から緊張してたんちゃうか?唇が青かったで」
デビューの朝、そう声をかけた新子調教師。佐々木騎手は「寒かったからです」と答えつつも、いつもより若干表情が硬く見えます。
デビューは13日の園田3R。
園田・姫路初の女性騎手ということは、受け入れる側もいろいろと「初めて」があり、そのうちの一つが「4kg減で乗ってもらうこと」でした。
早速それを感じられたのがデビュー戦。道中最後方から4着まで着順を上げてきたレース内容を見て、「やっぱり4kg減は大きいね」という声が調教師からも聞こえました。
同日の8Rでは自厩舎のモズトリプルエーに騎乗。実績上位馬への騎乗とあってか、本馬場入場で引いていた小田尚子厩務員(2018年黒船賞を勝ったエイシンヴァラーを当時担当)は「彼女は緊張したら笑っちゃうらしくて、緊張しとったね(笑)。でも、『掛かったらどうしよう』って心配していた返し馬も慎重に行けていて大丈夫そうですね。あとは見守るだけです」と送り出しました。
1番人気に支持されましたが、結果はまさかの最下位。鼻出血を発症していたことがレース後に判明し、いたし方ないとはいえ、すごく落ち込んだ様子でした。
こうしてデビュー初日は本当の笑顔を見せることのなかった佐々木騎手ですが、翌日のメインレースを単勝1.5倍のワシヅカミで逃げ切って初勝利を挙げました。
「これまであんまり出遅れたことがなかったのが、初日はすべて出遅れてしまって心が折れました。でも、ワシヅカミでやっとスタートが成功して勝てて、気持ちがすごく楽になりました」
初日から決して出遅れているようには見えず、師匠の新子調教師も「スタートは巧い」と話していたのですが、本人の中では納得がいっていなかったようです。
いい意味で肩の力が一気に抜けた佐々木騎手は、続く最終レースもタガノオボロで勝ち、翌日も4Rをゴールデンバレットで逃げ切り勝ちを収め、デビュー週3勝をマークしました。
表情も柔らかくなり、これからどんどん活躍してくれることを願います。
(文=大恵陽子)