【大恵陽子=コラム『ちょっと馬ニアックな世界』】 先週13日、園田競馬場で3名の新人騎手がデビューしました。園田・姫路…

【大恵陽子=コラム『ちょっと馬ニアックな世界』】

 先週13日、園田競馬場で3名の新人騎手がデビューしました。園田・姫路で初の女性騎手となる佐々木世麗(ささき・せれい)騎手と、男性の大山龍太郎(おおやま・りゅうたろう)騎手、長尾翼玖(ながお・たすく)騎手。いずれも所属するのはトップ厩舎で、自厩舎からのバックアップに応え、3人ともがデビュー週に初勝利を挙げました。

 騎手激戦区ともいわれる園田・姫路でこれだけ早く初勝利を挙げるのはすごいこと。しかし、実際はデビュー初日は緊張から唇が青くなったり、悔しさに天を仰いだり、悲喜こもごもな1週間でした。10代の3人はジョッキーとしてどんなデビュー週を過ごしたのか、「ちょっと馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。

◆縁のある馬が誘導してくれた長尾騎手

 長尾翼玖騎手はデビュー戦で縁のある馬と共演を果たしました。

 それは、誘導馬のストラディヴァリオ。

 昨年、京都競馬場から園田へ移籍してきた誘導馬なのですが、長尾騎手は京都競馬場の乗馬センターに通っていた時、ストラディヴァリオに乗ったことがあったのです。

「洗い場では寝てしまいそうな馬でした」という思い出のある馬。そのことは誘導馬チームも知っていますから、長尾騎手のデビュー戦をストラディヴァリオが誘導したのは、もしかして粋な計らいだったのでは?と考えると、胸が温かくなります。

 そのデビュー戦を前に、師匠の橋本忠明調教師は「昨日は僕の方が緊張して、眠れませんでした」とソワソワ。

 レース直前もモニター越しにゲート入りを見つめながら「ゴーグルちゃんと着けてるかな?」と、とにかく落ち着かない様子でした。

 そうして迎えた初戦は8着でしたが、「止まりそうで止まらなかったですし、デビュー戦としては上等でしょう」(橋本調教師)と、まずは無事に終えることができました。

 初勝利が訪れたのはこの週最後の開催日となった16日の園田2R。自厩舎のメイショウキンカクで先行し、4コーナー手前で先頭に立って押し切り勝ちを決めました。

 前日までは「減量を生かしたレースができていなくて…。難しいです」と沈んだ表情だった長尾騎手。同期2人がすでに初勝利を挙げていて、焦りもかなりあったようですが、デビュー週に決められてホッとしたことでしょう。

 長尾騎手には双子の弟・翔琉(かける)くんがいます。

「僕の名前が翼玖で、二人で助け合ってはばたいてほしい、というのが由来だそうです。弟は公務員で、職種が違いすぎて助け合えないんですけどね(笑)」

 でも、きっと双子の弟も全力で応援してくれていたと思いますから、その声を力に変えてはばたいてほしいですね。

 (文=大恵陽子)