3月18日に開幕する第97回選抜高校野球大会。主役候補となる投打の注目選手を紹介します。9回目は米子松蔭(鳥取)…
3月18日に開幕する第97回選抜高校野球大会。主役候補となる投打の注目選手を紹介します。9回目は米子松蔭(鳥取)の新里希夢(のあ)投手(1年)。身長158センチの小さな大投手に迫りました。
打者には珍しい球の軌道
158センチ、56キロ。躍動感のあるフォームから体全体を使って投げ込む球は、球速以上に切れがある。昨秋の中国大会では全4試合に先発して2完封を含む3完投。大車輪の活躍で準優勝の原動力となった。
神戸市出身の右腕。中学2年の秋、当時所属していた野球チームの試合に来ていた塩塚尚人監督(33)の目に留まった。魅力だったのは、軽やかな体の使い方と伸びのある直球だ。塩塚監督の「小さい体を生かして育てる」という指導方針にも魅力を感じ、鳥取に越境入学することを決めた。
入学後は投手として順調に成長した。直球に加えてカットボールやスライダーなど4種類の変化球を制球良く操る。球の出所が低いので、打者はあまり見たことがない軌道になるという。背の高い選手をうらやましく感じた時もあったが、今では小さな体を最大限に生かし武器にしている。
投手だけではなく、捕手や内野手もこなせる万能型だ。昨秋の中国大会決勝では先発したものの、打ち込まれて五回途中6失点で降板すると、捕手の惣郷峻吏(そうごう・しゅんり)選手(2年)にマウンドを譲り、代わりに自らマスクをかぶった。
「(捕手で起用され)ちょっとびっくりした」と振り返ったが、それでも「チームを勝ちに近づけるのが大事」。3―6で敗れたものの、公式戦自身初の捕手までやり切ってみせた。
名前の「希夢」には、「希望を持って育ち、人生での夢をかなえてほしい」という意味が込められている。小柄な大投手がチームをセンバツ初勝利に導く。【深野麟之介】
<次回は24日朝、日本航空石川の蜂谷逞生(たくま)投手(2年)を公開する予定です>